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旧コラム 2011年1月 3ページ目
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債務整理をしたいけど・・・」 1 【借金問題】
弁護士の仲田です
「債務整理」という言葉が巷に溢れるようになって数年でしょうか。
最近は法律事務所などのTVコマーシャルなんかが登場していますが,その中でも「多重債務問題」「過払金返還請求」など叫ばれていますね。やりすぎ感は否めないですが。
「債務整理」という言葉自体はもう食傷気味かなと思います。しかし,「債務整理」がどのようなものか,どのような場合にどの手段を選択すればいいのか,をきちんと理解している方は意外と少ないのではないでしょうか。
今回から数回にわたって,「債務整理をしたいけど・・・」ということで,債務整理はどのような方法があって,どのようなときにどれを選択すればよいのか,をざっとお話していきたいと思います
◆ 「債務整理」とは
「債務整理」とは,文字どおり債務を整理することですが,方法としては,「任意整理」,「特定調停」,「民事再生」,「自己破産」があります。
そして,それらのどの方法をとっても,過払い金があるケースでは「過払金返還請求」を伴うことになります。
それらの制度などをざっと眺めてから,じゃあ結局,どのような場合にどのような方法を選択したらよいのか,を考えていきたいと思います。
◆ 「過払金返還請求」とは?
まず始めに,どのような債務整理の方法をとったとしても,検討しなければならない過払金の返還請求について説明します。
消費者金融や信販系のキャッシングなどは,ここ最近まで利息制限法上の法定金利を超える金利で貸付をしていました。
ちなみに,利息制限法の所定利率は,元本10万未満の場合が年利20%,元本10万以上100万未満の場合が年利18%,元本100万以上が年利15%です。
そのような取引をしていた場合,最高裁の判例で,払いすぎた金利を元金に充当して計算することが認められています(「引き直し計算」と呼ばれます)。
それでは,引き直し計算の説明をしましょう
たとえば,年利28%で50万円を借りていたとしましょう。法定金利は年利18%です。
毎月返済額が2万円だったとすると,業者の取引明細では,支払った2万円の内訳は,元金返済8,333円,利息支払約11,667円(年利28%での1ケ月分の利息)になると思います。
一方,法定金利で引き直し計算をすると,利息支払いは,約7,500円(年利18%での1ヶ月分の利息)になるはずです。
払い過ぎの利息が4,167円(業者の明細の利息11,667円-引直し計算の利息7,500円)ほど出ます。
それを元金に充当するというのは,簡単に言えば,元金を,8,333円(業者の明細上の元金返済額)+4,167円(払い過ぎの利息)=12,500円,返済したと計算し直すのです。
それを毎月の取引ごとに計算しなおします。借金の残高がどんどん減っていくはずです。契約した金利年利28%と法定金利年利18%の差額だけが減る のではありません,翌月の計算はもともとの業者の計算よりも元金が減っているので,どんどん計算していけば,単純な金利差よりも大きい差が出てきます。
再計算をしていくと,だんだん借金の元金が減っていき,そのうちゼロに,さらに計算上マイナスになっていきます。
そして、マイナスになった場合には,本来は借金がないにもかかわらずお金だけ払ったことになっています。法律的には,貸金業者が法律上の原因なくして利得(「不当利得」と言います)を得ている状態になり,借主は,その不当利得の返還を業者に対して請求することができます。
これが,過払金返還請求です。
◆ どのくらいの期間借りていたら過払金が出るの?
一概には言えません。
一般的には,例えば一定の金額を年利28%から29%の金利でずっと借り入れていた場合,7年から8年で,過払金が出始めるとは言われています。
ただ,人によって借り方,返し方にはむらがあります。貸金業者から取引履歴を開示してもらい,実際に計算してみないと,正確なことはわかりません。
一般的には,借入残高が右肩上がりの方は,多く払いすぎている金利が残高が少ない頃のもののため,取引期間がより長くないと過払金が発生しにくいとは言えます。
逆に,借入残高が右肩下がりの方は,取引期間がより短くても過払金が発生します。
◆ 過払金が出なかった場合は払いすぎた金利は無駄になるの?
過払金が出なくても,借入元金は減るのですから,無駄ではありません。
引き直し計算の結果残った借入金残高を,法律上支払うべき借金残高として,返済していけばいいのです。
これは,後でお話しする任意整理の形になります。
残高が減るのですから,毎月の返済額もぐっと減ることになります。
したがって,過払金が出なくても,債務整理をするメリットはあるのです。
◆ すでに返済し終わっている場合に過払金を請求できるか?
消滅時効にかかっていない限り請求ができます。
消滅時効は,最終取引日から10年です。
したがって,完済してから10年以内であれば請求できます。
◆ 取引の分断とは?
ここで気をつけて欲しいのは,一度その貸金業者からの借金を完済し解約をして,(多くの場合は勧誘があるのですが)再度同じ業者から借入をした場合,業者は2つの取引が別だと主張してきます(取引の分断の主張と呼ばれます)。
どうしてか
例えば,完済時に30万円の過払金が出ていたとしましょう。そして今日,50万円を借り入れます。
取引が続いているなら,次の返済日の引き直し計算は,50万円から過払金30万円を差し引いた20万円を元金として計算します。
一方,取引が別だとすると,過払金30万は別に置いといて(これはこれで請求できますが),次の返済日の引き直し計算は,借りた金額そのままの50万円の残高スタートで計算をすることになります。
両者を比べると,(上に書いた引き直し計算の理屈を思い出して欲しいのですが,)元金が減っていくスピードが大きく変わることになり,結局,過払金の金額に差が出てしまうのです。
業者としては,過払金が小さい方がいいに決まっているので,取引の分断を主張するのです。
さらに,完済したのが10年以上前であれば,取引が別だとされてしまうと,完済時の過払金が時効にかかって請求できなくなることになります(その場合でも,相殺には使えますので諦めないでください)。
ますます業者としては主張したいわけです。
この点は,過払金返還請求訴訟でもよく争いになる点です。
◆ 今でも過払金を請求すると返ってくるの?
武富士の会社更生法適用申請でもおわかりのとおり,大手の貸金業者も日々資金繰りが厳しくなっています。中小業者では,事実上取れないところもあります。
また,業者からの支払い率や支払い時期も,日々悪化しています。
いつまで回収できるかは貸金業者の体力次第です。悩んでいる暇はありません
◆ 最後に
結局,過払金返還請求の説明だけで長くなってしまい,それしかお話できませんでした。
まだまだ過払金返還請求の細かい話はあるのですが,また別の機会にします。
とにかく法定金利よりも高い金利で借りている人,借りていた人は,できるだけ早く(貸金業者が倒産しないうちに)弁護士などの専門家に相談,依頼してください。
続きはまた次回にお話しさせていただきます
(なかた法律事務所) 2011年1月 4日 00:24
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