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旧コラム 仲田 誠一: 2016年2月
現在のコラムはこちらから
自己破産、民事再生で車はどうなるか [借金問題]
広島県広島市の弁護士仲田誠一です。
債務整理のうち、自己破産、個人再生をお考えになる方の中で、どうしても車がないと困るとおっしゃると相談されることが多いです。
住んでいる場所、仕事の関係あるいは介護の関係で、どうしても車がないと困る場合ですね。
まず、債務整理のうち任意整理ではあまり問題とならないですね。
財産を処分される場面はないですし、所有権留保のオートローンを債務整理の対象から外せばいいだけです。
そこで、今回は、自己破産、個人再生における自動車の取り扱いについてお話します。
まず、車が所有権留保物件なのかどうかが問題となります。
所有権留保とは、代金や立替金を支払うまで所有権をクレジット会社が保有する形の担保です。
自動車の場合には車検証の所有者名義がご本人ではないケースです。
自己破産、個人再生では、一部の債権者を対象から外すことはできません。
車が所有権留保物件であれば、支払いをストップする以上、法律上返還義務があります。
債権者が車の返却を受けることを引き揚げといいます。
所有権留保物件の車の中には、価値が全くないため引き揚げをしないと債権者が所有権を放棄するケースもあります。
なお、銀行のオートローン、マイカーローンの場合には所有権留保がなされていないことが通例です。
所有権留保物件でも車を残したい場合もあります。
その場合には残債額で親族等に買い取ってもらう例もありますね。
その方法は複数あり、債権者と相談して決めることが多いです。
破産者の財産からお金を出したのではない限りは、問題視されないことが多いです。
ただし、仮に残債よりも価値が高い車であれば、その差額が問題となりますね。
要件が厳しいのであまり使わなない方法ですが、個人再生で別除権協定を結んで所有権留保物件を残すということも考えられます。
ただし、所有権留保物件の車を債権者に車を返却する場合には注意が必要です。
登録が対抗要件(担保として誰にでも主張できる要件)となっている普通自動車は簡単に返してはいけません。
車検証上、クレジット会社が所有者として記載されているのならばいいのです。
しかし、販売会社等が記載されている場合は、対抗要件がない担保になる可能性があります。
そのまま返してしまうと後の法的手続で、否認対象行為として見られ、それだけで管財事件になる可能性があります。
民事再生上も類似の問題が生じます。
販売店が所有者として記載されている場合であっても、最近の契約書では、対抗要件を備えた担保として見られるケースもあります。
難しい言葉ですが、法定代位構成の保証方式の契約書で最高裁が認めました。
弁護士に確認してもらわないといけません。
普通自動車と異なり、軽自動車は引き渡しが対抗要件です。
基本的には占有改定という引渡しが認められるので、返却の際には神経質に考える必要はありません。
次に、あなたが車の完全な所有権を持っている場合(所有者登録があなたの名義の場合)、車を処分する必要があるかどうかが問題となります。
処分しないといけないかどうかは、状況によって異なります。
自己破産ではどうでしょうか。
自己破産においては、広島本庁では、初年度登録後6年以上経っているのであれば、価値はないと評価してくれ、原則として処分は必要ありません。
通常は残すことができます(破産管財人によってはそれでも時価を調査することはあります)。
ただし、外車や高級車等古くても価値が出そうな車の場合には話が別です。
管財事件になり処分をされることもあります。
また、車が借金の原因になっているような場合は処分を勧奨された経験もあります。
そこまで古くない車の場合はどうでしょうか。
管財事件の場合には破産管財人による処分の方向に進みます。
もっとも、処分の代わりに価値相当の現金を入れる方法もありますし、車がどうしても必要な事情があれば自由財産の拡張も可能でしょう。
同時廃止事件では処分しなくても大丈夫です。
ただ、車の価値がある場合には、管財基準(広島本庁では財産20万円が基準)により、それだけで管財事件になることがあります。
自己破産ではなく個人再生ではどうでしょうか。
勿論、所有権留保物件は返却が必要なことは個人再生と自己破産とで異なりません。
所有権留保物件ではない場合には、個人再生においては、車の価値が清算価値にのってきます。
個人再生の返済額は、
債権額の5分の1(多くの場合です。債務額によって基準が変わります)
清算価値(財産額)
100万円
のうち一番大きい金額といった基準で決まります(小規模個人再生の場合)。
給与所得者等再生では、可処分所得の2年分という基準が加わります。
車の価値によっては清算価値が大きくなり、返済額が増えてしまうということがありえます。
ただ、処分をする必要はありません。
なお、先ほどの所有権留保物件で登録がクレジット会社とずれて対抗要件がない普通自動車についても、その価値が清算価値に加算されます(その場合、車を返す必要があるのかは解決されていない問題ですが、返還をしないという理屈が十分成り立ちます)。
以上、自己破産、個人再生における車の取り扱いについて簡単にお話しました。
結局はケースバイケースでよく考えないといけない問題ですので、お早目に弁護士にご相談ください。
借金整理(自己破産、個人再生、任意整理等)のサポートはなかた法律事務所にご用命を。
広島市中区上八丁堀5-27-602
なかた法律事務所
弁護士 仲田 誠一
債務整理のうち、自己破産、個人再生をお考えになる方の中で、どうしても車がないと困るとおっしゃると相談されることが多いです。
住んでいる場所、仕事の関係あるいは介護の関係で、どうしても車がないと困る場合ですね。
まず、債務整理のうち任意整理ではあまり問題とならないですね。
財産を処分される場面はないですし、所有権留保のオートローンを債務整理の対象から外せばいいだけです。
そこで、今回は、自己破産、個人再生における自動車の取り扱いについてお話します。
まず、車が所有権留保物件なのかどうかが問題となります。
所有権留保とは、代金や立替金を支払うまで所有権をクレジット会社が保有する形の担保です。
自動車の場合には車検証の所有者名義がご本人ではないケースです。
自己破産、個人再生では、一部の債権者を対象から外すことはできません。
車が所有権留保物件であれば、支払いをストップする以上、法律上返還義務があります。
債権者が車の返却を受けることを引き揚げといいます。
所有権留保物件の車の中には、価値が全くないため引き揚げをしないと債権者が所有権を放棄するケースもあります。
なお、銀行のオートローン、マイカーローンの場合には所有権留保がなされていないことが通例です。
所有権留保物件でも車を残したい場合もあります。
その場合には残債額で親族等に買い取ってもらう例もありますね。
その方法は複数あり、債権者と相談して決めることが多いです。
破産者の財産からお金を出したのではない限りは、問題視されないことが多いです。
ただし、仮に残債よりも価値が高い車であれば、その差額が問題となりますね。
要件が厳しいのであまり使わなない方法ですが、個人再生で別除権協定を結んで所有権留保物件を残すということも考えられます。
ただし、所有権留保物件の車を債権者に車を返却する場合には注意が必要です。
登録が対抗要件(担保として誰にでも主張できる要件)となっている普通自動車は簡単に返してはいけません。
車検証上、クレジット会社が所有者として記載されているのならばいいのです。
しかし、販売会社等が記載されている場合は、対抗要件がない担保になる可能性があります。
そのまま返してしまうと後の法的手続で、否認対象行為として見られ、それだけで管財事件になる可能性があります。
民事再生上も類似の問題が生じます。
販売店が所有者として記載されている場合であっても、最近の契約書では、対抗要件を備えた担保として見られるケースもあります。
難しい言葉ですが、法定代位構成の保証方式の契約書で最高裁が認めました。
弁護士に確認してもらわないといけません。
普通自動車と異なり、軽自動車は引き渡しが対抗要件です。
基本的には占有改定という引渡しが認められるので、返却の際には神経質に考える必要はありません。
次に、あなたが車の完全な所有権を持っている場合(所有者登録があなたの名義の場合)、車を処分する必要があるかどうかが問題となります。
処分しないといけないかどうかは、状況によって異なります。
自己破産ではどうでしょうか。
自己破産においては、広島本庁では、初年度登録後6年以上経っているのであれば、価値はないと評価してくれ、原則として処分は必要ありません。
通常は残すことができます(破産管財人によってはそれでも時価を調査することはあります)。
ただし、外車や高級車等古くても価値が出そうな車の場合には話が別です。
管財事件になり処分をされることもあります。
また、車が借金の原因になっているような場合は処分を勧奨された経験もあります。
そこまで古くない車の場合はどうでしょうか。
管財事件の場合には破産管財人による処分の方向に進みます。
もっとも、処分の代わりに価値相当の現金を入れる方法もありますし、車がどうしても必要な事情があれば自由財産の拡張も可能でしょう。
同時廃止事件では処分しなくても大丈夫です。
ただ、車の価値がある場合には、管財基準(広島本庁では財産20万円が基準)により、それだけで管財事件になることがあります。
自己破産ではなく個人再生ではどうでしょうか。
勿論、所有権留保物件は返却が必要なことは個人再生と自己破産とで異なりません。
所有権留保物件ではない場合には、個人再生においては、車の価値が清算価値にのってきます。
個人再生の返済額は、
債権額の5分の1(多くの場合です。債務額によって基準が変わります)
清算価値(財産額)
100万円
のうち一番大きい金額といった基準で決まります(小規模個人再生の場合)。
給与所得者等再生では、可処分所得の2年分という基準が加わります。
車の価値によっては清算価値が大きくなり、返済額が増えてしまうということがありえます。
ただ、処分をする必要はありません。
なお、先ほどの所有権留保物件で登録がクレジット会社とずれて対抗要件がない普通自動車についても、その価値が清算価値に加算されます(その場合、車を返す必要があるのかは解決されていない問題ですが、返還をしないという理屈が十分成り立ちます)。
以上、自己破産、個人再生における車の取り扱いについて簡単にお話しました。
結局はケースバイケースでよく考えないといけない問題ですので、お早目に弁護士にご相談ください。
借金整理(自己破産、個人再生、任意整理等)のサポートはなかた法律事務所にご用命を。
広島市中区上八丁堀5-27-602
なかた法律事務所
弁護士 仲田 誠一
https://www.nakata-law.com/smart/
(なかた法律事務所) 2016年2月 3日 09:58
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