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旧コラム 仲田 誠一: 2019年5月 2ページ目
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低額譲渡・無償譲渡 [企業法務]
広島県広島市の弁護士仲田誠一です。
今回の企業法務コラムでは、法人が絡むことの多い低額譲渡・無償譲渡についてお話ししようと思います。
個人・法人間の低額譲渡・無償譲渡は事業承継対策や相続紛争の処理などで見受けられますね。
節税対策としても行われるのでしょう。法人と法人間のものも、グループ戦略の変更や節税対策などで行われることがあるでしょう。
法律的にきちんと契約あるいは遺言をして譲渡を成立させることは当然の前提です。
今回は、そのような行為に伴うリスクについてお話しましょう。
【個人→個人の場合】
(無償譲渡)
個人間の贈与ですからこちらは単純です。
贈与者には課税はありません。
受贈者には贈与税課税がなされます(相続税評価ベース)。
暦年贈与は別として、大きな資産の贈与は、相続時精算課税制度あるいは事業承継対策税制等の特例の利用を検討することになるでしょう。
(低額譲渡)
売主は当事者間で決めた代金額を収入として譲渡所得課税の問題となります。
低額譲渡とされると、買主には贈与税課税があります(相続税法7条)。相続税評価額と代金額の差額が贈与とみなされます(みなし贈与)。
低額譲渡(「著しく低い価額」による取引)かどうかについては、所得税法と異なり、基準がありません。
時価の2分の1以上での取引でも否認される可能性があります。
事業承継対策として株式を買い取る際の価格設定には注意ですね。
なお、みなし贈与については、同族会社における増資による出資持分の価値の変動や同族会社の資産の低額譲受のケースでも問題になり得る怖い制度です。
【個人→法人の場合】
(無償譲渡)
個人には譲渡所得税です。所得税法59条1項1号のみなし譲渡です。
時価(相続税評価ではありません)で売却したものとみなされる点に注意が必要です。かなりの税金を覚悟しないといけないケースがあります。
法人は、時価で益金計上され、法人税課税されることになります。
事業承継対策で事業用不動産を法人に遺贈する場合など気を付けてください!
(低額譲渡)
個人は、みなし譲渡です(所得税法59条1項2号)。
低額譲渡に当たるかは、時価の2分の1を下回るかどうかが基準になります。
低額譲渡となると、代金ベースではなく時価ベースで譲渡所得税が課されます。
法人は時価と実際の代金の差額について、法人税課税されることになりますね。
【法人→個人の場合】
(無償譲渡)
法人は時価での譲渡があったものとして法人税課税されます(法人税法22条2項)。
個人は役員等であれば給与所得、その他では一時所得での所得税課税です。
ベースはやはり時価です。
(低額譲渡)
無償譲渡と同じ考え方です。
法人は時価での譲渡があったものとして法人税課税です。
時価と代金の差額について、個人の給与所得あるいは一時所得での所得税課税ですね。
【法人→法人の場合】
(無償譲渡)
譲渡法人は時価での取引をしたとみなされ、譲受法人も時価で取得したものとして法人税課税があります。
(低額譲渡)
譲渡法人は時価での取引をしたとみなされ、譲受法人も時価で取得したものとして(時価と代金の差額)に法人税課税があります。
なお、同族会社の行為・計算否認という怖い否認規定(所得税法157条、法人税法132条の2、相続税法64条、地法税法72条の43)があります。
税負担を不当に減少させる結果となる行為は(当該行為又は計算が通常の経済人の行為として不合理、不自然なものと認められるかが基準です)、正常な行為や計算に引き直して更正または決定を行う権限が税務署長に認められています。
同族中小企業が絡む行為は常にこの危険があります。
イレギュラーな資産譲渡をする場合には、法律面だけではなく税務面からも慎重に検討して進めなければいけません。
顧問契約、契約トラブル、企業法務サポートのご用命は是非なかた法律事務所に。
広島の弁護士 仲田 誠一
なかた法律事務所
広島市中区上八丁堀5-27-602
(なかた法律事務所) 2019年5月 6日 09:15
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