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旧コラム 消費者問題: 2010年12月
現在のコラムはこちらから
「ペットとマンション」 【消費者問題】
弁護士の仲田誠一です。
今日はクリスマスですね。昨晩はよいクリスマスイブを過ごされましたでしょうか。私は,家族とトマト鍋を食べただけです。
前回,クリスマスイブとは関係のない熱帯魚飼育の話をさせていただきましたね。
そういえば,以前に,よくあるマンショントラブルとして管理費問題をお話させていただきました。覚えていますか?滞納者が自己破産しても新しい所有者から回収できるなどお話しました。
今回は,熱帯魚の話をさせていただいたついでに,よくあるマンショントラブルの続きとして,「ペットとマンション」の問題をお話させていただこうと思います。
◆ ペット飼育禁止の規約は守らないといけない?
ペットブームといわれて久しいですね。
ペット飼育OKの分譲マンションも増えてきたように思います。
ただ,まだまだ,ペット飼育禁止の規約があるケースが多いでしょう。たとえば,小鳥・魚類以外の動物の飼育の禁止や,他の居住者に迷惑・被害を及ぼす恐れのある動物の飼育禁止が,管理規約などで定められているのではないかと思います。
そのようなペット禁止規約は守らないといけないのでしょうか?
「自分のマンションだからいいじゃないか」と思いたくなりますよね。
実際に争われた事件もあります。
裁判所は,その中で,そのようなペット禁止規約の有効性を認めています。ペット禁止規約は,マンションでの平穏な生活の維持などのために合理的理由があるという理屈です。
したがって,ペット禁止規約は,守らなければなりません。
◆ ペット禁止規約に違反する住人に対して何が請求できる?
まずは,話し合うことになるでしょう。直接迷惑がかかっている居住者からは言いにくいので,管理組合として注意するのがいいでしょう。
おそらく,違反している居住者は,ペット禁止規約を知りつつ飼っている確信犯です。また,ペットを捨てろ,ペットを殺せというのか,とペットの命をかたに反論し,話し合いで解決しないかもしれません。
かといって,例外を認めてしまうと,規約がなし崩しになってしまい,ほかにも問題が生じるかもしれません。
では法的には何が請求できるのでしょう?
裁判所は,ペット禁止規約違反に対しては,厳しい態度をとっているようです。
違反行為に対して,禁止命令や損害賠償請求を認めたケースがあります。
そこで,あくまでも程度問題ですが,話し合いで解決できない住民に対しては,飼育禁止命令や損害賠償を請求することができることになります。
また,鳴き声,糞尿,悪臭などの程度が著しいケースでは,「共同の利益に反する行為」として,専有部分(つまり居室)の使用禁止なども請求できます。この点は,ペット飼育が認められているマンションも同様です。
◆ 「共同の利益に反する行為」とは?
先ほど触れた「共同の利益に反する行為」は,マンショントラブルの説明には欠かせない言葉ですので,ここで簡単に説明しておきます。
所有権者はその物を自由に使用・収益・処分できるのが原則です。この所有権の概念は,封建制度を否定した(何重もの土地支配を否定したなど)という歴史的意義があります。
でも,みんなが所有権の自由を主張すると,社会に混乱が生じて(たとえば隣地所有者の争いが多発します),社会生活が成り立たないのも現実です。そ こで,所有権自由の原則は,あくまでも原則であり,社会生活を維持するために一定の制限が加えられることは当然だと考えられています。
その所有権の制限が,分譲マンションにおいて顕在化しているのが,区分所有法6条1項であり,そこで,「区分所有者は,」「区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない。」と定められています。
そして,区分所有法は,「共同の利益に反する行為」を行った区分所有者に対しては,差止請求,使用禁止請求および競売請求の3つの裁判上の請求ができるとも定めています。
なお,区分所有法上,「共同の利益に反する行為」をしない義務は,区分所有権者以外の専有部分の占有者(賃借人など)にも課されています。賃借人が義務に違反する場合にも同様な請求ができることになります。
◆ 最後に
次回には,マンションに関するトラブルでまだお話していないものを,ご紹介させていただこうと思います。
PS.先日,中学1年生の甥っ子が私のコラム,ブログを読んでくれていると聞きました。励みになりますね。
(なかた法律事務所) 2010年12月29日 00:08
「リフォームには集会決議が必要?」 【消費者問題】
弁護士の仲田誠一です。
みなさん仕事納めはいつでしょうか?
私は,前職が銀行員であったので,仕事納めは12月30日,仕事始めが1月4日,というのが当たり前だと思ってしまっています。裁判の予定が12月 30日や1月4日に入ることはなく,物理的にはもっと休めるのですが,やはり銀行や役所が休みではない以上,仕事をしないと気持ちが悪いのです。
そのような私の気持ちは事務員さんや他の弁護士にとっては理解し難いらしいです。
結局,年末年始は他のみんなは多く休みを取り、私だけが長く働くはめになっています。
今回は,前回のペット問題以外のマンショントラブルについて,少し紹介させていただこうと思います。
◆ 専有部分と共有部分
マンションには,専有部分と共有部分があるのはご存知ですね。
でも,その区別については,実はなかなかややこしい問題もあるのです。
専有部分とは,区分所有権の対象となる建物部分です。居室部分ですね。
共有部分とは,専有部分以外の建物部分,その付属物,および規約で共用部分とした部分です。
廊下,階段,建物玄関,エレベーター,電気配線,ガス・上下水配管,消防設備,貯水槽,浄化槽などです。ベランダも一般的には共用部分と考えられています。
専有部分か共用部分か争われるものがいくつかあるのですが,それはまたの機会にお話します。
◆ 隔壁は共用部分ですか?
例えば,隔壁(専有部分相互間の境界部分を構成する壁)は共用部分でしょうか?
この点は,境界部分の骨格をなす中央の部分は共用部分であり,上塗り部分だけが専有部分であるとされています。隔壁は,建物を支える面もあり,建物の維持管理上,共用として管理されるべきだからです。
◆ リフォームには集会決議が必要ですか?
基本的には,管理規約の定めによることになります。
法律上の話をすると,区分所有法は,共用部分の変更に集会の決議を要求しています(17条,18条)。
したがって,勝手にした隔壁の撤去やベランダの改造などのリフォームは,集会決議を経ない共用部分の変更として,法律違反行為になるので気をつけて下さい。
この点については,バルコニーに勝手に温室を作った区分所有者に対し,管理組合がその撤去を求めて認められた例があります。
◆ 専有部分ならどう使ってもいい?
そんなことはありません。前回,「共同の利益に反する行為」を説明させていただきました。
専有部分の利用に関するトラブルとしては,前回のペット問題のほか,建物の基本構造に大きな影響を及ぼすような増改築,住居専用と定めた規約に違反してなされた事務所・営業所使用などがあるでしょう。
それらは,具体的な事情によって,「共同の利益に反する行為」と判断されるならば,法律上,差し止めや使用禁止,競売の請求の対象となります。
◆ 最後に
マンションでのトラブルの防止や早期解決には,日ごろの住民間のコミュニケーションが大事です。いうまでもありませんね。
また,ひとたび居住者による問題行動を発見したら,それが既成事実化してしまう前に,即座に対処してください。それが円満な解決の秘訣だと言えます。
さらに,管理組合の日ごろの活動に,無関心ではいけません。他の住民が無関心であることをいいことに,理事長が勝手なことをしてしまうのは珍しいことではありません。
管理組合の活性化やトラブルへの早期対処のためには,熱心で世話好きな方が1人でもいてくれれば非常に助かりますね。
もしそういう方がいらっしゃったら,うるさがらずに協力し,大事にしてあげましょう。
(なかた法律事務所) 2010年12月28日 00:12
破産って恐い? 2 【借金問題】
ネット配信等でCDが売れなくなったと聞いて久しいですが、ネット配信等をあまり利用しない若年層がCDを買っているのかもしれませんね。
◆ 破産をするとみんなに知られてしまう?
破産手続き上,債権者には裁判所から通知が行きます。しかし,借金に関係のない職場や親族には連絡は行きません。
もちろん,破産手続の中で,破産者の住所氏名等が「官報」に載ります。「官報」とは政府が発行する新聞のようなものなのですが,見たことないですよね?普通 の方は見ないものです。また誰かが見ようと思っても,破産者はたくさんいらっしゃるので,いつ出るかわからなければ,なかなか見つけられるものではありま せん。
ただ,職場に一定年数以上勤務されている方は,退職金の見込額を裁判所に報告する必要があります,もしかしたらその関係で職場に協力をお願いする必要が出てくるかもしれません。
また,破産申立書類の準備にご家族の協力が必要な場合もあるケースもあるかもしれません。
私は,ご家族に関しては,(依頼者がどうしてもいやだとおっしゃるなら別ですが,)ご家族には相談するようお奨めしています。依頼者に経済的に立ち直ってもらうためには,ご家族に事情を知っていただき,協力していただいた方がいいと思うからです。
結論を申し上げますと,職場や家族に知られずに破産をすることは可能なのです。
◆ 破産をすると仕事を続けられない?
答えは原則としてNOです。
通常の会社員であれば破産の影響はありません。
ただ,一部の仕事だけ「資格制限」と言うものがあり,破産手続中はその仕事に就けません。
どのような仕事に就けないかは,細かく法律等で決まっています。
保険外交員や警備員など,人のお金を預ったりする職業が多いようです。
もっとも,一部の職業に資格制限があるといっても,それは破産手続が終わるまでです。破産手続が終わると法律上の制限は消えます。
自分の職業が資格制限に該当するかは,専門家にご相談ください。
◆ 破産をするとみんなに迷惑がかかる?
こちらも,答えは原則としてNOです。
もちろん,債権者には迷惑をかけることにはなります。ここで「みんな」とはご家族のことを念頭に置いています。
破産によって直接ご家族に迷惑がかかることはありません。
法律上,ご家族といっても別人格と扱われますので,あなたが破産をしてもご家族に債務が移るということはありません。
ただ,あなたがご家族等の借金の保証人になっている場合,あるいはご家族等があなたの借金の保証人になっている場合は,別です。
あなたが破産をする際には保証債務も債務として手続に乗せる必要があります。具体的には保証している相手方(たとえばお父さんの銀行からの借金に保証をして いる場合にはその銀行)に通知をすることとなり,(先の例では銀行からお父さんに対し)新たな保証人の追加などを要求されることもあります(銀行とお父さ んが交渉することになります)。
また,あなたが破産をするということは,当然,あなたの保証人に対し債権者から請求が行くことになります。
さらに,不動産をご家族と共有している場合には話が複雑になるでしょう。不動産の維持は,非常に込み入った話になり,ケースごとに判断する必要があります。弁護士などの専門家とじっくりご相談してください。
◆ 最後に
みなさんが思っているほどは,破産は恐くないということをお話しました。
もちろん,破産を積極的に勧めているわけではありませんからね。
ただ,破産でしか救われない方もたくさんいらっしゃるのが現実です。
借金でご苦労されている方は,是非早く弁護士等にご相談ください。あなたにあった解決策を考えましょう。
みなさんが思っているほど「弁護士も恐くない」ですよ。
(なかた法律事務所) 2010年12月26日 14:13
破産って恐い? 1 【借金問題】
懐かしかったです。高校の仲間と会うと,すぐに高校生に戻った気分になりますね。
ご存知のとおり「総量規制」の導入(年収によって貸付額を制限する)を含む貸金業法の改正があり、新規貸付がなかなかできなくなり資金業者の経営は悪化してきています。また,武富士の経営破たんをきっかけに,心配した消費者から過払金返還請求が急増し、経営環境がさらに悪化して新規貸付に慎重になっているようです。貸付が減っているということは、他から借りて借金を返してやりすごす自転車操業ができなくなっているということで、弊事務所でも返済に行き詰った方のご相談が増えてきています。
また、弊事務所でも過払金返還請求事件を多く抱えていますが、貸金業者の経営悪化に伴い、回収率 (計算上の過払金と実際に取り戻せる金額の比率)は急激に悪化しています。早々に、第2、第3の武富士が出てくるかもしれません。消費者金融などの高い金利で借入している方、あるいは借入していた方は、できるだけ早めに相談してください。
さらに、周りに相談できない、配偶者などに知られたくない、どこに相談したらいいかわからない、といったような方の中には、新聞記事にもあったように現金化業者に頼って、あるいはクレジットカードで商品を買ってすぐに売ることにより現金を得て、一時しのぎをする方が多いようです。それでは、何の解決にもなりません。借金を増やしてしまうだけです(クレジット利用も「借金」です。高い手数料分借金が増えてしまいます)。それだけでなく、以前にも書きましたが、いよいよ追い詰められて破産をする際には、その行為が問題視されてしまいます。
なお「ソフトヤミ金」と呼ばれる業者は、「ソフト」と呼ばれていても悪質な違法業者です。「ソフト」と言っても、借り手に警察や弁護士に駆け込まれないように、督促に手心を加えるだけです(個人的には呼び方が不適切だと思います)。絶対に借りてはいけません。人生が狂ってしまいますよ。
◆ 破産って恐い?
やっと本題に入りますが、みなさん「破産」って恐いでしょうか?
多重債務のご相談にこられる方の中には、最初に「絶対に自己破産はしたくない」という方がかなりいらっしゃいます。
その中にも自己破産を選択されるのが適切な方もいらっしゃるわけでして、そのような方には自己破産の制度を説明します。その際、そもそも自己破産について、今までの生活ができなくなる、子供など周りに迷惑をかけてしまう、など誤解している方が多いように感じます。
そこで、「破産は皆さんが思っているほど恐くない」ことをご紹介しようと思います。
テーマ上、個人の自己破産のお話になりますが、法人の自己破産のお話はまたの機会にさせていただこうと思っています。
◆ 破産すると身ぐるみを剥がされる?
答えはNOです。自己破産をしても身ぐるみを剥がされるわけではありません。
なぜでしょうか?
それは、破産制度(個人の破産制度)は、破産者の経済的更生を図るための制度だからです。経済的に立ち直れないような制度であればその目的が達せません。
法律的に説明するとややこしいのでここではざっとしか説明できませんが、現預金,家財道具や価値のない(古い)車、解約返戻金の大きくない保険等、総額99 万円までの財産なら(原則として)残す途が用意されています。また,賃貸物件にお住まいの方であれば、そこを出る必要もありません。
少なくとも,破産自体によって生活ができなくなるということはないのです。
私が本題に入るのが遅く、長くなってしまいました。
次回に今回話せなかったことについて書かせていただきます。
(なかた法律事務所) 2010年12月25日 14:12
マンショントラブル、管理費を払ってもらえない! 3 【消費者問題】
弁護士の仲田誠一です。
時間があるときは朝,散歩をしてから事務所に出勤するようにしています。朝日を浴びることで,体内時計がリセットされるので,散歩をした朝はいつも以上にやる気を持って、気持ちよく仕事に取り組んでいます。
さて,前回は、滞納管理費は特定承継人にも請求できること、住宅ローン破産が増えていることなどをお話しました。
今回は、その他の管理費問題についてお話します。
◇相続のために管理費が滞納されたら?
区分所有者に相続が発生したために管理費の滞納が発生した場合はどうなるのでしょう?
この場合には、法律的に滞納管理費は相続人の「連帯債務」になると考えられています。そのため、それぞれの相続人に「全額」を請求することができることになります。もちろん、二重、三重にもらえるわけではありません。一人から全額を回収できたとすると、あとは相続人間の問題となります。
相続人が全員相続放棄をしたらどうでしょう?実際に扱ったこともあるのですが、これは難しい問題です。相続人が不存在となってしまうと裁判所に相続財産管理人を選任してもらって請求をするという大変な手間がかかってしまうことになりそうです。抵当権がついている物件では、さらにややこしくなってしまう悩ましい問題です。
◇エレベーターを使用しない階の所有者からの管理費の減額請求にはどう対処すればよいのか?
エレベーターを使用しない階の所有者から管理費の減額を要求されるケースも多々あるようです。
管理費の金額は,原則として、専有部分の床面積の割合で決まります。そのため、エレベーターを使用しない階の所有者が不公平感を持つことがあるのです。
エレベーターは誰のためにあるのでしょう?
この点、エレベーターは誰でも使用ができます。また、エレベーターはマンション全体の価値を支えているとも言えます。これらのことから、エレベーターは建物全体の共用部分と考えられています。
そのため、組合決議などで管理費に差を設ければ別ですが、上記のような一方的な減額請求は認められがたいでしょう。裁判例もそのような判断をする傾向にあります。
3回にわたって管理費の問題をお話しましたが、マンションのトラブルはさまざまです。次回以降に、それらのこともお話ししたいと思っています。
(なかた法律事務所) 2010年12月20日 14:00
マンショントラブル、管理費を払ってもらえない! 2 【消費者問題】
さて、前回は滞納管理費の回収は難しいこと、をお話しました。今回も引き続き、マンションの管理費問題についてお話します。
滞納者本人から、あるいは競売から回収できない場合はどうなるのでしょうか?
まだ諦める必要はありません、法律上,滞納管理費は滞納していた所有者の「特定承継人」にも請求できるのです。
◇滞納管理費は「特定承継人」にも請求できる
「特 定承継人」とは、マンションの買受人、マンションを贈与してもらった人、抵当権実行などによる競売手続で落札した人、などです。一般的な法律の理屈からす るとそれらの人に滞納した人の責任を引き継がせるのはおかしいとも言えるのですが、多数の人が共同して建物を維持する、マンションの特性から,法律によって特別に認められているのです。
そこで、事実上、滞納者から誰かが区分所有権を受け継ぐのを待って、管理費滞納問題を解決するケースも多いのではないでしょうか。
逆に言うと、中古マンションの購入や競売入札を検討する際には、滞納管理費等の確認は必須です。必ず仲介業者や裁判所の備え付け資料により確認してください。
◇最後に…不景気が続き、破産の案件が非常に多く、弊事務所もさながら破産事務所の様相を呈しております。その中で、住宅ローンの負担に耐えかねて様々なところから借金をして、苦しい思いをしながら、頑張られるだけ頑張って最後に私の所へ駆け込まれる方も多いです。
結局,破産をしてしまうと家を手放さなくてはならなくなり、苦しい中で頑張って来られた期間がもったいなかった、早めに手を打てば早く楽になれたのに、という思いをされる方もいらっしゃいます。
そのような方がいらっしゃったら,是非お早めにご相談ください。解決策を一緒に考えましょう。
(なかた法律事務所) 2010年12月19日 13:58
マンショントラブル、管理費を払ってもらえない! 1 【消費者問題】
さて、マンションでの生活は便利なものですが、他人が同じ建物で生活するとトラブルもつきものです。以前,某新聞コラムにも投稿したテーマで恐縮ですが,弁護士によく相談が寄せられる分譲マンションに関するトラブルについてお話しようと思います。
管理組合が一番困るのは管理費の滞納問題でしょう。近時は不景気が続き,住宅ローン破産者も増えているようで,管理費の滞納も増えているかもしれません。
管理費が滞納されている場合の対処法としては,口頭や手紙での催促,内容証明郵便での督促がまず行われるでしょう。それが効を奏しない場合に初めて法的な措置(支払督促あるいは少額訴訟)をとるという流れになるでしょう。
また,滞納がひどい場合には,法律上,専有部分(居室)の使用禁止や競売請求も認められます。
しかし,滞納者はそもそも滞納管理費を支払う余力がない方が多いでしょう。また,住宅ローンでマンションを購入した所有権に抵当権がついているため,物件価値からローンを差し引くと価値が残らない場合も多いでしょう。
そのため,上に書いたような手段によって,滞納者本人から滞納管理費を回収することや,競売により回収することは,現実には難しいかもしれません。
滞納者本人から,あるいは競売から回収できない場合はどうなるのでしょうか?
まだ諦める必要はありません,法律上,滞納管理費は滞納していた所有者の「特定承継人」にも請求できるのです。
少々長くなりましたので,次回にその点について詳しくお話しするとともに,所有者に相続が発生して管理費が滞納した場合の対応や,管理費の減額請求などにについてお話したいと思います。
(なかた法律事務所) 2010年12月18日 01:20
敷金、原状回復義務について 2 【消費者問題】
弁護士の仲田です。本日は前回の続き「原状回復義務」についてお話しますね。
前回少し触れましたが、確かに借家人には「原状回復義務」がありますが、「新品同様に戻す」という意味ではないんです。
住むために借りるのですから建物は当然によごれますよね。したがって、建物の通常の使用に伴う損耗(通常損耗)及び経年劣化は当然に予定されるものですから、家賃によって賄われるものとされています。
国土交通省が公表している「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」に詳しく書かれているので、ご興味がある方は参照してみてください。
といっても、通常損耗も借家人の負担とする特約も条件付で有効とされています。
簡単に要件を書くと
①特約の必要性があり暴利的ではないなど客観的合理的理由があること
②賃借人が通常の原状回復義務を超える義務を負うことを認識していること
③特約による借家人の義務負担の意思表示があること
です。
そのため、上記のような特約が賃貸借契約に盛り込まれているのかもしれません。
ただし、そのような特約がある場合であっても、事情によって、信義則に反し消費者の利益を一方的に害するものとして消費者契約法10条により無効になりえます(機会がありましたら詳しく説明させていただきます)。
原状回復義務の範囲が争われるのは建物退去後の敷金返還の場面だと思いますが、契約の段階で上記のような賃貸借契約を結ばされてしまうとトラブルの素です。できれば、契約段階でトラブル発生を防ぎたいものです。
賃貸借契約に限らず、契約書に署名捺印をする際には、内容をよく読んで、「うるさいやつだ!」と思われるのも覚悟で、おかしいと思ったところは必ず確認して下さい。
ちなみに、保証人をとった上に保証会社との契約を要求する業者も多いようです。なんかおかしいですよね。
以前は保証人がいない場合に保証会社との契約を要求するのが一般的だったと思います。こちらも交渉して、保証会社との契約は外してもらいました。
(なかた法律事務所) 2010年12月11日 01:05
敷金、原状回復義務について 1 【消費者問題】
弁護士の仲田です。
金曜日は、異業種交流会の忘年会でした。忘年会のシーズンに入り、最近寂しい流川界隈も賑やかでした。
さて、今後、皆さんにお役に立ちそうな話や私が興味を持っているお話を、随時お話させていただきたいと思います。
今回は、消費者問題として、敷金、原状回復義務についてお話します。
私は最近引越しをしましたが、業者から出された賃貸借契約(その中の特約)がヒドイものでした。単なる「汚れ」も含めた退去時の原状回復費用がすべて借主負担であり、しかもハウスクリーニング、畳の張替え、クロスの張替えも借主負担とするという契約でした。このような契約であれば、貸主は事実上借主負担において無限定で(敷金を超えて)部屋を新しくすることもできます。恐くて契約できません。
そのため、私は契約書の該当箇所を訂正してもらいました(「うるさいやつだ!」と思われたでしょうが・・・)。
このような契約は、借主側の負担を不相当に重くするもので、広島の賃貸契約書がすべてこのようなものであれば非常に問題だと思います(貸主側の事情もよくわかりますが、法律判例に則った公正な社会であって欲しいです)。
借家人には、確かに「原状回復義務」があります。でも実は「原状回復義務」とは新品同様に戻すという意味ではないんです。
次回、「原状回復義務」の内容について詳しくお話しさせていただきます。
(なかた法律事務所) 2010年12月10日 01:03
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