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旧コラム 身近な法律知識: 2018年12月

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とても怖い贈与税 [身近な法律知識]

広島県広島市の弁護士仲田誠一です。

今回は贈与税のお話をします。

贈与税というものをご存知でしょうか。言葉は聞いたことがあるのではないでしょうか。


私は、広島大学大学院法務研究科(ロースクール)で租税法の講義をしています。

税金の法律を教えているのですが、税金は、所得税なら所得税法、法人税なら法人税法という法律に基づいて課税されています。
主に所得税法、法人税法について講義していますが、相続税法の講義もします。

贈与税には贈与税法という法律はありません。ご存知でしたか。

実は、相続税法の中に贈与税の規定があるのです。

 

誤解を招くことを恐れずにわかり易く説明すると、贈与税とは相続税を確実に徴収するために、生前に財産を移動することを制限するための税金と言えます。
相続税の補完税です、だから相続税法に贈与税が規定されていると理解することができます。

講義のメインは所得税法と法人税法なので、あまり相続税法は触れられないのですが、弁護士実務上は、贈与税のリスクに至る所で接します。

そのため、意識して贈与税のことは講義に入れることにしています。

 

贈与税の目的は相続税を確実に取るためです。
だから、贈与税はべらぼうに高い税率です(一番と言ってもいいです)。
生前贈与することを躊躇するような税金がかかるのですね。


そのため、一般に、税金がかからない分だけ(基礎控除分だけ)毎年贈与をする暦年贈与というものが行われたりします。

また、事業承継のように生前贈与が社会的に要請される分野や、住宅建築促進・世代間の資産移転等の政策目的が絡む住宅資金や教育資金などの分野で、贈与税がかからない特例制度が設けられています。
特例を作り贈与をし易くしているのですね。
そうでないと誰も生前贈与しませんから。

 

名目がはっきりしない経済的価値の移転は贈与とみなされる危険があります。
また、時価と乖離した取引をする場合も同じような危険があります。


何かイレギュラーなことをする際、例えば親族間で安く株や不動産を売買(低廉売買)するときは、贈与課税がなされる可能性を検討する必要があります。
離婚の財産分与も均衡がとれていない場合は、贈与税課税のリスクがあります。

弁護士として示談をする際も例外ではありません。
その名目・解決方法によって贈与税課税のリスクも生じます。
気を付けないといけませんね。


課税庁に否認され贈与税を課されると無申告加算税あるいは過少申告加算税も加わりますね。

また、贈与税は、相続税もそうですが、連帯納付義務が定められています。贈与された方だけではなく、贈与した側も贈与税の納付義務が課されるのです。
怖いですよね。
そのため、贈与する場合には、きちんと相手方が申告をして納税をするのか確認した方がいいのです。

贈与税に限らず、物が動く、お金が動く場合には何かしら税金がかかる可能性があります。常に課税関係を意識しないといけません。

 

お悩み事がございましたらなかた法律事務所にご相談を。

 

広島の弁護士 仲田 誠一

なかた法律事務所

広島市中区上八丁堀5-27-602

https://www.nakata-law.com/

 

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契約書は何通作成する必要があるのか【身近な法律知識】

広島市の弁護士仲田誠一です。
 

契約書(協議書、合意書等の名称でもなんでもかまいません。)は何通作成する必要があるのでしょうか?

実は、契約書の通数に法律上の決まりはありません。

そもそも、契約(合意)が有効かどうかには、契約書を作成したかどうかは直接関係ありません。

契約書などの書面がなくても、契約の成立は認められ得ます(書面による合意が要求される特別な行為も例外的ににございます)。

現に、訴訟においては、契約書がない合意の成立が争われることが多いです。

ただ、契約書を作成した方がいいのは勿論です。
契約の成立の証拠を残さないといけませんし、後日の紛争を防ぐためには取り決め内容を書面にしておかなければなりません。
書面がない合意は、他にそれを証明できる行為や物(FAXやメールのやり取りでも)がなければ、合意ないものと扱われます。

契約書を作成する際には、通常は、合意の当事者の数だけ作成し、各1通保管する方法をとることが多いですね。

契約書などの最後に「本書を2通作成し、甲乙各1通保管するものとする。」と言った文言が入っているのはそのことです。
各当事者が原本を1通保管したいのが通常ですからね。

勿論、当事者の数と契約書の作成数はイコールでなくても構いません。

例えば、破産事件で破産管財人弁護士として不動産を売却する際には、売買契約書の原本は1通作成し、買主にお渡しし、当方は写しを保管することはよくあります。
特に原本は必要ないですし、印紙税の節約にもなりますし。

逆に、相続における遺産分割協議書では、預金の払い戻しや登記など多数の手続を並行して行わざるを得ないケースの場合、同時に手続を進めるために当事者の数より多めの通数の遺産分割協議書を作成することもありますね。

このように、契約書(合意書、協議書等)は是非とも作成しなければなりませんが、その通数は特に決まりがあるわけではありません。
適宜必要な通数を作成されたらいいでしょう。

悩み事がございましたらなかた法律事務所にご相談を。

 

広島の弁護士 仲田 誠一

なかた法律事務所

広島市中区上八丁堀5-27-602

https://www.nakata-law.com/

 

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