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旧コラム 不動産問題: 2018年12月

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不動産を共有することの注意点 [不動産]

広島県広島市の弁護士仲田誠一です。
 

今回の不動産問題コラムは不動産の共有のお話です。

 

様々な理由で不動産が共有になっているということがあります。
相続の際の遺産分割、遺留分減殺請求の結果共有状態となるケースや夫婦が共同で住宅ローンを組んでいるケースが多いでしょうか。

 

不動産の共有は、専有部分のある区分所有の場合と異なります。
部分的な所有ではなく、不動産「全体」の〇分の〇の持ち分があるという状態です。
理屈上は、共有者各人が共有物の全体を持分の割合で使用収益する権利があるのです。

 

不動産が共有状態である場合、どのようなことが起きうるでしょうか。

 

収益費用関係の清算関係が出てきます。
 

共有状態の場合、その不動産の利用による収益(果実)も費用も持分に応じて配分されるのが原則です。
利用していない側から利用している側に対し賃料相当額の不当利得返還請求あるいは損害賠償請求がなされる可能性があります。
固定資産税等の費用負担をしている側から、負担していない側に対して、費用負担分を不当利得返還請求、場合によっては費用償還請求の形で請求されることも考えられます。

本来は共同事業として共有者各人が申告をしなければなりません。
 

利用している側に対する利用していない側からの明け渡し請求もあります。


不動産の利用は持ち分の過半数で決定されるため、過半数持分者から明け渡し請求がなされることはあります。
原則認められそうですが、そう単純ではありません。
利用している共有者が占有するに至った事情によっては、使用貸借など利用権の設定が認められたり、明渡し請求が権利濫用であるとされて、明渡し請求が認められないこともあります。
なお民法(相続法)改正で配偶者居住権が創設されることにもなっています。

 

共有物分割の話もあります。


不動産に限らず、民法では、共有状態は異例の状態と見て、共有関係を解消する方向の手段が設けられています。
共有物分割請求です。
基本的には調停、訴訟と進めるのですが、最終的に折り合いが付かない、お金で清算もできないということになると、競売に至ってしまいます(勿論、分割できる不動産であれば現物分割もあります)。

通常は、金銭で折り合いをつけるか、あるいは共同で売却をする形の和解で解決します。
そうでないとお互い困りますからね。
勿論、利用権の設定や権利濫用なども絡んでくる話ですが。

なお、稀なケースですが、取得時効の援用により解決をする場合があります。
遺産分割がなされずに所有者名義が何代か前の方のままであるが、長年自分の物として占有し費用も負担していたというケースが典型例です。
今更合意を全員から取り付けるのが難しいとして、訴訟により解決をすることになります。

このように見ていくと、共有状態はややこしいですね。
不動産の共有は避けた方がいいかもしれません。

 

不動産に関するご相談はなかた法律事務所にご用命を。

 

広島の弁護士 仲田 誠一

なかた法律事務所

広島市中区上八丁堀5-27-602

https://www.nakata-law.com/

 

https://www.nakata-law.com/smart/


賃貸物件の更新拒否の正当理由 [不動産]

広島市の弁護士仲田誠一です。

不動産問題のうち賃貸物件の更新拒否(立ち退き請求)のお話です。

借地借家法の定めから、家主からの賃貸借契約の更新拒否には正当な理由が必要です。

いったん人に貸すとなかなか返って来ないのですね。
 

弁護士は家主、借主の双方の立場に立ち得るので、どちらの味方をするわけではありません。
ただし、借家人保護の法制は、賃貸物件が溢れてきている現在では、修正が必要なような気もしております。
家賃保証会社やそれに加えての保証人の強制などの方が問題のような気がします。

勿論、悪質な立ち退き請求は現在でも存在しますのでそれは別問題です。
正さないといけません。

 

ところで正当理由には様々なものがありますが、簡単には認められませんね。
家主側の理由が弱い場合には立退料の支払いと併せて正当な理由が認められるケースもあります。

具体的な事情に応じてケースバーケースの判断がなされますので、似たような裁判例を探して見込みを立てるしかありません。
立退料の問題に収斂することも結果的に多いですね。

 

最近ご相談が多いのが建物の老朽化です。
耐震の問題で大家さんの関心も高いのではないでしょうか。

しかしながら、裁判例を見ると、単に老朽化したから建て直しをしたいということだけでは正当な理由が認めらない傾向のようです。
自家利用の必要性等の他の理由も要求されます。
もっとも、老朽化の程度の問題あるでしょう。

 

大家も老朽化したまま貸すのは事故があったときを考えると怖いですね。
一方で、賃料との兼ね合いで耐震化工事の費用を出すことが難しい例も多いはずです。
耐震化の問題が社会問題になっている中、老朽化による更新拒否は必ずしも家主側の身勝手な理由とは言えません。
裁判所の判断も今後徐々に変わっていかざるを得ないのではないでしょうか。

 

不動産のお悩み事がございましたらなかた法律事務所にご相談を。

 

広島の弁護士 仲田 誠一

なかた法律事務所

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賃料不払いによる賃貸物件の明渡請求 [不動産]

広島市の弁護士仲田誠一です。

不動産問題です。収益物件をお持ちの方が避けて通れない明渡請求のお話です。

割合、賃貸不動産の明渡しの請求を扱うことがあります(勿論、明渡しを請求された側の案件も扱います)。


不動産の明渡し請求は賃料の不払い等の賃貸借契約の解除に伴うケースが典型的ですね。

 

1 内容証明による解除通知

2 訴訟提起

3 強制執行
 

の順で進めていきます。


強制執行までに和解をして退去することも多いです。
出ていく方も都合があり、貸主側も早期解決を図るメリットがあり、円満に解決するメリットが双方にあるからです。

ただ、借家人の態度によっては、強制執行まで進むことも珍しくはありません。
連帯保証人との関係で訴訟を提起することもあります。

 

明渡しのご相談の際には、明渡請求に関する費用を聞かれることも多いです。

勿論、弁護士費用は契約で確定できます。

しかし、執行費用が読めません。

執行費用は、実際に執行官が業者を物件に連れて行って見積ります。物件の広さ、物の多さにより費用が異なります。
物件の状況によって幅があるのが現実で、おおよその金額しかお話しすることができません。

ワンルームで荷物も少なかったケースで一番少なかったのは20万円くらいだったでしょうか、
ファミリータイプで荷物が多いときには100万円を超えるということもありました。
一応ワンルームでは50万円、ファミリータイプでは100万円は覚悟しておいてくださいと予めお話いたします。
勿論それよりも小さい金額になることは珍しくはないですが。

最終的に明渡しの強制執行まで行くとかなりの費用が掛かることは現実です。
しかし、
家賃滞納者に居座られてしまうと家賃相当損害金の損失は拡大していきます。

どうせコストがかかるのであれば、費用をかけてでも早めに対処をした方が得策です。

また、早めの法的手続が、早期の和解や任意退去につながる可能性もあります。

動き出しは早い方がいいですね。

 

不動産のお悩み事がございましたらなかた法律事務所にご相談を。

 

広島の弁護士 仲田 誠一

なかた法律事務所

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