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旧コラム 離婚問題: 2018年11月

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婚姻費用、養育費の減額・増額 [離婚問題]

弁護士の仲田です。離婚のお話です。

婚姻費用は、離婚成立前までの他方配偶者と未成熟子の生活費等扶養負担、養育費は、離婚後の未成熟子の生活費等扶養負担です。

 

養育費、婚姻費用が調停あるいは審判・判決で決まった後に、それを増額・減額することはできるのでしょうか。以前にも書かせていただきましたが、先日、婚姻費用の減額が成立した事例があったこともあり、改めてお話します。

 

養育費・婚姻費用の増額・減額の調停・審判により変更することは可能です。

変更には、まず、合意時、審判、あるいは判決時に予測できなかった事情の変更が必要です。被扶養者が増えた、収入の変動があった等ですね。

 

次に、事情変更があったからといって、自動的に変更してくれるわけではありません。

事情の変更によって、現在の婚姻費用、養育費を維持することが明確に不公平な結果となっていると認められなければなりません。事情の変更があったら改めて一から相当額を算定し直すということではないのですね。決めた額を維持していいのかの判断になります。

そのため、被扶養者が増えたなどの変更を必要とする明確な理由がある場合は別として、義務婚姻費用、養育費の増額・減額は簡単には認められないという印象です。

 

なお、定説ではないですが、審判あるいは判決により決まった婚姻費用、養育費よりも、調停で決まった婚姻費用、養育費の方が変更するのが難しいように思います。様々な事情を基に合意で決められているからでしょうか。

 

先日扱った事案では、現在の金額では不公平なのだということについて生活状況や財産状況の詳細な説明により、裁判所に理解してもらえたのではないかと思います。

 

離婚、婚姻費用、養育費、財産分与、慰謝料請求等、離婚問題のサポートはなかた法律事務所にご用命を。

 

広島の弁護士 仲田 誠一

なかた法律事務所

広島市中区上八丁堀5-27-602

https://www.nakata-law.com/

 

https://www.nakata-law.com/smart/


経営者の離婚 [離婚]

広島市の弁護士仲田誠一です。

経営者の離婚についてお話をします。

同族中小企業の企業法務にも関わりますね。

 

経営者の相続と同様、経営者の離婚も、給与所得者の相続、離婚と違った難しさがあります。
けっこう大変なのです。

 

まずは自社株、個人所有の事業用資産、会社への貸付金等が財産分与対象となりうることです。
これは経営者の相続の場合と同様ですね。
ここでまず、ややこしい話になります。

平時には、経営者はそれらが財産だとは思っておりません。会社のための財産だと思っているでしょう。
ところが、離婚になると、個人の財産という現実に直面するのです。
自社株が財産分与財産になるのか、その評価はどうなるのか、あるいは事業用資産はどう保全するのか、会社への貸付金を現金化できるのか等、進め方に工夫が必要です。

株式の評価が高い場合には、現金化できない資産であるにも関わらず財産分与に苦労します。
株式現物を分与してもいいのですが、経営の安定のためには現物ではなく金銭で分与するという方法を考えるでしょう。
債務超過会社ではない限り気を付けないといけませんね。

会社への貸付金も財産ですからね。
会社が倒産状態ではない限り、法的には財産としてカウントされてしまうでしょう。
予め銀行借入等で個人と会社の貸借関係を整理した方がいいかもしれません。
事業承継、相続対策と同じです。

事業用資産(例えば工場の土地建物)が個人所有の場合には、財産分与の対象となることがありますね。

不動産については、担保分を評価額から控除してくれることは原則としてできないことは相続の場合と同様です。
事業用不動産などを売却してお金に換えることはできません。
金銭で分与をする、あるいは他方配偶者の名義である場合には買い取るということもしないといけないでしょう。


勿論、先代からの事業承継で相続・贈与で得た株式や事業用資産は原則として財産分与の対象とはなりません。
例外として、他方配偶者に当該財産の維持等に一定の寄与が認められる場合には寄与の分だけ分与が認められることがあります。

 

また、配偶者が会社役員になり、報酬をもらっている、従業員となっている場合も、ややこしい話になります。
役員を解任するのか、その場合に会社に損害賠償義務が発生するのか、解雇ができるのか等々、進め方に工夫が必要です。
節税対策が裏目に出てくる場面です。

実際に、取締役となっていた他方配偶者を解任し、残り任期分の役員報酬相当額の損害賠償請求をされる例もあります。
取締役はいつでも解任できますが(もちろん議決権を確保しておかないといけませんが)、正当な理由が無い場合には損害賠償請求がなされ得ます。
離婚は正当な理由にはならない可能性が大きいです。
他方配偶者を役員にするのか、取締役の任期は何年にするのか、リスクを考えた上で決断しておかなければいけません。
役員の任期は、閉鎖会社では10年まで伸ばせることになっておりますが、離婚時にはリスクが高いですね。

節税対策が裏目に出てくる点は、事業用資産を配偶者名義にしているケースもありますね。上述のとおりです。

 

このような会社経営者の離婚は、給与所得者の離婚と比べて、考えないといけないことが多いためご注意ください。

株式と個人所有の事業用資産、役員の任期・報酬を例に挙げて説明させていただきました。

会社のリスク管理としてもきちんと考えておかないといけないことです。

 

離婚、婚姻費用、養育費、財産分与、慰謝料請求等、離婚問題のサポートはなかた法律事務所にご用命を。

 

広島の弁護士 仲田 誠一

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広島市中区上八丁堀5-27-602
 

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給与収入と事業所得がある方の婚姻費用・養育費 [離婚]

広島市の弁護士仲田誠一です。

今回は離婚のお話をいたします。

 

婚姻費用・養育費の金額について所謂算定表というものが存在するのはご存知でしょうか。
インターネットでも算定表を見ることができますね。

弁護士は勿論、調停員も裁判所も算定表を見ます。
法律ではないですが、その妥当性が広く認められているため、事実上参考にされるものです。
調停では算定表を基にして調停成立が図られますし、審判、訴訟でも算定表の考え方に沿って計算されている例が多いです。

 

離婚のご相談いただいた際は、双方の収入と家族構成がわかれば算定表を見てある程度の相場を答えることができます。
算定表は絶対の基準ではありません。
実際には、双方の生活状況を家計収支表などで説明し、具体的に妥当な金額が定められることになりますので、一応の目安と考えてください。
口座引き落としなどで相手の生活費を支払っている場合など、どこまで反映されるか明確にはお答えできないケースも少なくありません。

また、算定表はモデルケースを基に作られているので、事情がそれと異なる場合は、算定表を作成する基となった計算式に立ち戻って計算をしていく必要があります。
これがなかなかややこしい計算で、その場で数字をお答えするのは難しいです。
大学生の子がいる場合や、住宅ローンがある場合などですね。

 

計算が難しいケースの1つに、給与収入と事業所得の両方がある方のケースがあります。

いろいろな考え方があることは承知の上で、大きく2つの計算方法を示すと、
①給与収入を事業収入に換算して事業収入額に加算する方法、
②事業収入を給与収入に換算して給与収入に加算する方法
です。

収入を他の収入に換算するのも算定表によりますが、①と②で計算結果に多少金額のずれが出てくるので厄介です。


かつ、計算の際には、様々な控除等をどう扱うか、更に議論があります。
減価償却費は各種控除などの扱いです。


そのため、婚姻費用・養育費の見込額をお話しするときは、様々なパターンを検討して幅のある見込みを立てる必要が出てきます。

 

離婚に絡む問題は定説がない議論も多くあるのですが、これもその1つです。

婚姻費用、養育費の問題は一見簡単なように見えます。
しかし、ケースバイケースの判断がなされる事柄です。実際は解決に苦労することが多いです。

 

離婚、婚姻費用、養育費、財産分与、慰謝料請求等、離婚問題のサポートはなかた法律事務所にご用命を。

 

広島の弁護士 仲田 誠一

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