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旧コラム 離婚問題: 2018年12月

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財産分与、慰謝料と税金 [離婚問題]

広島県広島市の弁護士仲田誠一です。

 

広島大学大学院法務研究科(ロースクール)での租税法の講義では、毎年、離婚にまつわる税金の話をしています。

弁護士はお金や物のやりとりに関与することが多いです。
お金や物がやりとりされると、必ず税金を気にしないといけません。
そのため、弁護士実務にまつわる税金の話をしています。

離婚も例外ではありません。特に、将来弁護士になった場合は離婚にかかわることが多いですからね。

 

財産分与の課税関係からお話ししましょう。

 

財産分与は無償で財産を移転しますね。
しかし、贈与税課税はないのが原則です。
財産分与は夫婦共有財産の清算ですからね。


ただし、贈与税・相続税を免れる目的の財産分与のすべて、過大な財産分与である場合の過大部分、には贈与税が課税されます。

実際問題として、離婚をしたいしたくないの力関係などの事情によっては、離婚の成立を最優先し財産分与においてかなり譲歩された形の離婚が成立することもあります。
2分の1の割合を大きく超えるような財産分与には少し気を使います。

 

なお、法律上は贈与者も連帯納税義務を負います。
リスクは当事者双方気にしなければなりません。

 

土地や建物の分与の際には、分与者に譲渡所得課税がなされます(譲渡所得税の話は不動産による財産分与に限られません。ゴルフ会員権等、資産による分与の際には考えることになります)。


資産による財産分与は、財産分与時の時価で譲渡した(収入が時価額)と見られます。

今のご時世では、婚姻中に取得した不動産の時価が取得価格(建物は減価償却の考えが適用されますが)を上回っていることはあまりません。
そのため、実際に課税されることはあまりないでしょう(居住用財産の譲渡に関する特例の活用もできます)。

ただ、忘れてはいけないリスクです。

 

不動産の財産分与の場合、分与さえた方の不動産取得税も気になるところです。
しかし、不相当なものではない限り、課税されません。
夫婦共有財産の清算ですからね。


勿論、所有権名義変更登記の際の登録免許税、将来の固定資産税の負担はありますよ。

 

なお、慰謝料債権は非課税です。慰謝料をもらっても課税されません。
慰謝料は無形損害・精神的苦痛に対する損害賠償金ですから。

不相当な額ではない限り、所得税、贈与税等の課税がなされることはありません。

離婚協議書を作成する際には、財産分与と慰謝料の両項目を使ってバランスを取ることはありますね。
登記する際の登記原因はどちらかにしないといけないのですが。

 

離婚にあたっては、ケースによっては税金で足元をすくわれるリスクもあるということです。
中には、税金がかかることを知らなかった(錯誤があった)として、離婚協議の無効が認められたケースもあります。

 

離婚、婚姻費用、養育費、財産分与、慰謝料請求等、離婚問題のサポートはなかた法律事務所にご用命を。

 

広島の弁護士 仲田 誠一

なかた法律事務所

広島市中区上八丁堀5-27-602

https://www.nakata-law.com/

 

https://www.nakata-law.com/smart/


離婚と自己破産 【借金問題】

広島市の弁護士仲田誠一です。

債務整理の話、その中で自己破産と離婚との関係です。

自己破産申立てに伴って離婚をされるご夫婦もよくいらっしゃいます。
経済的破綻が離婚の理由になったケースですね。

 

ところが、自己破産申立て直前の離婚で、かつ財産分与や慰謝料の支払いを伴う場合、破産手続において問題視されます。
財産隠し、破産財団からの財産の散逸を疑われるのです。場合によっては偽造離婚も疑われます。

 

経済的破綻が離婚の引き金になった場合、どうしても離婚が自己破産申立て準備(受任通知による支払停止や経済的危機状態)に近接して行われますね。
タイミングが悪くても仕方がないではないか(不自然ではない)と思うのですが、破産法の理屈上は仕方がないです。

 

財産分与・慰謝料等の離婚時給付は、贈与等無償行為とは扱いが異なります。
贈与等無償行為は時期にも依りますが、簡単に否認されてしまいます。
否認されると、破産管財人から返還を求められます。
これに対し、財産分与は夫婦共有財産の持ち分が顕在化した結果の清算です。
また、慰謝料発生原因が存在するのであれば慰謝料支払債務も発生します。
これらは、直ちに否認されるわけではありません。

 

基本は、不相当な(正当な理由がない、あるいは過大な)財産分与や慰謝料が否認される(受領者が返還を求められる)と考えていいのでしょう。

もっとも、慰謝料支払債務については、相当な原因があり相当な金額であっても、元配偶者に対してだけ債務を支払ったとして、別途偏頗弁済が問題となり得ます。
ここまで言われるときついのですが。

自己破産直前の離婚は、そこら辺を調査するために管財事件になることが比較的多いかもしれません。
申立時にどれだけきちんと説明できるかにもよります。

自己破産申立の直前の離婚でも、財産分与や慰謝料支払いがなく養育費支払いのみという場合は、基本的に同時廃止で終わっています。

 

管財事件になると、破産管財人による調査がなされます。
別れた配偶者等に事情を聞かれることもあります。

申立代理人として、あるいは破産管財人として、離婚と自己破産の問題を数多く扱ってきましたが、必ず突っ込まれることです。
離婚の仕方、財産分与の仕方、慰謝料の支払方法によっても、説明が異なってきます。
判断も変わってきます。

後々問題にならないよう、あるいは問題になっても傷口が浅くなるように、お早めに弁護士に相談された方がいいです。

 

このように、離婚が絡む自己破産はかなり神経を使うことになります。

 

なお財産分与が管財人に否認されなくとも、財産分与の結果として共有になった不動産がある場合には、破産管財人から一緒に売却する、あるいは持分の買取り等を要求されます。
その限りで他方配偶者も自己破産手続に関わってくることにご注意を。

また、養育費は非免責債権であり通常はそのまま支払われますが、財産分与、慰謝料を分割払いにしている場合には破産債権となり免責対象となることもご留意ください。

 

債務整理(任意整理、民事再生、自己破産等)のサポートはなかた法律事務所にご用命を。

 

広島の弁護士 仲田 誠一

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婚姻費用、養育費の対象となる子は未成年者? [離婚問題]

広島市の弁護士仲田誠一です。

離婚のお話です。

 

未成年者が婚姻費用、養育費の対象となるというイメージを持たれているかもしれません。

以前にも書かせていただきましたが、よく聞かれるため簡単にお話しします。

 

正確には、婚姻費用、養育費の対象となるのは未成熟子です。

未成熟子とは、身体的、精神的、経済的に成熟化の過程にあるため就労ができず第三者による扶養を受ける必要がある子とされています。

 

未成年者であっても、独立して経済的に自立している場合には未成熟子ではありません。

成年者でも大学卒業までの扶養義務が認められることがあります。
既に大学に進学している場合には比較的問題なく認められるでしょう。
お子さんが小さい場合には、家族の学歴や教育方針等諸般の事情を考慮して判断されます。

最近は、離婚をお手伝いするケースの中で、なぜかお子さんが大学生という案件が多いです。
お子さんが大学生であると、婚姻費用・養育費が簡単ではありません。
学費もありますから、算定表が役に立たないですね。
また、下宿をしている場合もありますし。
その場合には婚姻費用・養育費の決め方も独特なものがありますし、明確な見通しが立たないですね。
一番の争点は今後の学費の支払になることが多いです。
その反面、大きいお子さんだと、面接交渉については争いが生じないことが多いですね。

 

離婚、婚姻費用、養育費、財産分与、慰謝料請求等、離婚問題のサポートはなかた法律事務所にご用命を。

 

広島の弁護士 仲田 誠一

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