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旧コラム 相続問題: 2019年1月

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相続放棄と電話加入権 [相続問題]

広島県広島市の弁護士仲田誠一です。

 
相続問題コラムです。


相続放棄に関して、民法921条では単純承認の効果を生じる法定単純承認行為が定められています。
 

そのような行為をすると相続放棄が理屈上はできなくなる、あるいは既に行った相続放棄の効力が認められないのですね。


法定単純承認行為の中でよく相談を受けるのは、相続財産の「処分」です。

 

「処分」に相続財産の経済的価値は関係してくるでしょうか。
ゴミの廃棄も「処分」の1つとも言えますよね。

 
判例等では、経済的に重要性を欠く(あるいは一般経済的価値のない、交換価価値を失った)物の形見分けのような処分は「処分」に該当しないとされています。

処分価値のない物の廃棄処分も当然許されます。許されないと困りますね。

ただ、個々の物についての線引きが難しいので慎重に判断しなければなりません。
中には、しばらく保管をしておいて、ほとぼりが冷めたら処分をするようにアドバイスせざるを得ない物もあります。

 

そこで、今回は電話加入権のお話をいたします。よく聞かれますので。

電話加入権の引継ぎはどう扱われるのでしょうか。

 

現在では電話加入権は確かに財産的価値が乏しいです。

ただし、一般的経済的価値がないと言い切れません。

相続財産の承継は法定単純承認事由に該当することが原則論です。

電話加入権の承継が単純承認行為にはならないという判例が出てこない限り、電話加入権の承継(名義変更)はリスクが高い行為として避けるべきとアドバイスせざるを得ません。

 

どうしても被相続人の電話加入権を継続して使いたいのであれば、支払口座あるいは使用者を変更して使い続けること自体は大丈夫でしょう。

処分ではなく管理行為にすぎないと見られるのではないでしょうか。

 

相続放棄を考えられている方は、様々なことを確認してから物事を進めてください。

 

遺言、相続、遺留分、相続放棄等、相続問題のご相談はなかた法律事務所へ。

 

広島の弁護士 仲田 誠一

なかた法律事務所

広島市中区上八丁堀5-27-602

https://www.nakata-law.com/

 

https://www.nakata-law.com/smart/


相続放棄と時効援用の関係 【相続問題】

広島県広島市の弁護士仲田誠一による相続問題コラムです。

相続放棄を考える際に悩むケースの1つとして、
相続財産は多少ある、
それよりも大きい債務がありそうだが古い債務なので時効援用できるかもしれない
という場合があります。

 
相続放棄と消滅時効援用の関係を考えないといけないケースですね。

 

被相続人に借金と財産があり、借金の多くが消滅時効にかかっている可能性が高いとしましょう。
 

相続放棄をすれば借金を引き継ぎませんが、財産も引き継げません。


一方、借金の多くが消滅時効を援用して債務を消せるのであれば、その結果財産の方が大きくなることもあります。
そうであれば相続放棄する必要がありませんね。

 

ただ、相続人による消滅時効の援用にはリスクがあります。

消滅時効援用通知行為は、それ自体が単純承認行為(相続を受けたとされる行為)と解釈されていますようなのです。


そうであれば、時効援用通知を送ってみたところで、相続人の知らない時効中断事由(支払督促、裁判、返済などの承認行為等)があって時効が完成していない場合、困りますね。

債権者から時効援用の事実を突きつけられると、相続放棄の効果は否定され、債務を引き継ぐ可能性があります。

 

そのため、相続放棄の可能性がある限り、消滅時効の援用は慎重に検討しなければなりません。

被相続人の債務の調査ということで、単純承認行為とならない形で、時効中断事由があるかどうかを債権者に確認することになるでしょうか。

時間がかかるのであれば、家庭裁判所に熟慮期間の伸長を申し立ててじっくり調査をすればいいですね。

財産が小さくて相続放棄ができるのであれば、時効の援用など考えずに相続放棄をすることでいいとは思います。

 

遺言、相続、遺留分、相続放棄等、相続問題のご相談はなかた法律事務所へ。

 

広島の弁護士 仲田 誠一

なかた法律事務所

広島市中区上八丁堀5-27-602

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