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旧コラム 相続問題: 2019年7月
現在のコラムはこちらから
再転相続事例 [相続問題]
広島市の弁護士仲田誠一です。
以前に、再転相続のお話をしました。
相続放棄のお話ですね。
再転相続は、被相続人がまず亡くなり、その相続人が熟慮期間中に相続放棄、限定承認、単純承認の選択をしないまま次に亡くなって相続が発生した場合のことでした。
めったにないのかもしれませんが、最近そのような案件を扱いました。
被相続人がなくなり、第1順位の相続人である子が相続放棄しました。
次に、第2順位の直系尊属であるお父様お母様が相続放棄をしました。
被相続人が亡くなってから、お父様の相続放棄をする間に、直系尊属の中でお父様よりも後順位となる父方の祖母さんが亡くなったのですね。
第2順位のお父様お母様の相続放棄が終わり、第三順位の兄弟姉妹が相続放棄をする段階で当職が相談を受けて受任をしたところ、上のような事情がわかったということです。
まず、上のケースが再転相続なのかという問題が生じます。
祖母は、被相続人が亡くなった際にはご存命でしたが、実際に相続人となった時点はお父様の相続放棄の時点であり、既に亡くなっています。
先順位の相続人が相続放棄する前に亡くなっているのです。
このような場合でも再転相続となるのでしょうか。
祖母が亡くなった時点で被相続人の相続人ではなかったのですから、再転相続ではない、祖母(の相続人)は相続人放棄する必要はないとも言えそうです。
一方、相続放棄をした相続人は、法律上、相続のはじめから相続人ではなかったことになります。そうすれば、理屈上は、被相続人の相続時点で祖母は相続人であったとみることになります。相続放棄が必要ですね。
さすがに書籍類には明確に記載がないため、家庭裁判所と相談しました。
その結果、後者の考え方に沿って再転相続と扱うことになりました。
相続人が被相続人の相続の発生を知らなかったときでも再転相続になるという考え方もあるためのようです。
そうなれば、第3順位の兄弟姉妹が相続放棄するには、祖母の相続人に相続放棄をしてもらわないといけませんね。第2順位の相続放棄が終わらないと相続放棄ができません。
次に、再転相続だとして何をするかです。
お父様は祖母について祖母の相続人として相続放棄をしてもいいということになります。そうすれば結局債務は引き継ぎません。
ただし、祖母の相続人が兄弟姉妹(代襲相続は1回のみなので甥姪まで)まで放棄して他に相続人がいないというところまで手続をしないといけません。
祖母の第3順位の相続人まで拡がると、会ったこともない方あるいは連絡が取れない方が増えてくるかもしれません(弁護士が連絡を取って協力を仰ぐことをよくします)。
なお、この場合、理屈上、被相続人の第3順位の相続人は登場しないのだろうと思います。祖母が被相続人の相続について相続放棄するわけではないですからね。
一方で、再転相続人として祖母の被相続人についての相続放棄選択権を行使して相続放棄をすることもできます。
勿論、祖母の相続放棄ができない事情があるケースではこの方法しかありませんね。
また、この場合には、祖母の相続人が全員相続放棄をすればいいのでしょう。
祖母の相続を相続人が承認して、選択権を行使することになります。
相続人がいなくいなるまで相続放棄をすることは必要ありません。
各再転相続人の熟慮期間の起算点の問題もありますね。
ケースバイケースで、各再転相続人が再転相続を知った時あるいは再転相続となる原因となった先順位相続人が相続放棄をしたことを知った時から起算されるのではないかと思います。
相続放棄の中でもややこしいお話である再転相続の細かい話をしてみました。
ややこしい話なので難しい点はご容赦ください。
相続放棄も簡単なようでいろいろな問題が生じます。少なくとも弁護士に相談をされてから進めてくださいね。
遺言、相続、遺留分、相続放棄等、相続問題のご相談はなかた法律事務所へ。
広島の弁護士 仲田 誠一
なかた法律事務所
広島市中区上八丁堀5-27-602
https://www.nakata-law.com/
https://www.nakata-law.com/smart/
以前に、再転相続のお話をしました。
相続放棄のお話ですね。
再転相続は、被相続人がまず亡くなり、その相続人が熟慮期間中に相続放棄、限定承認、単純承認の選択をしないまま次に亡くなって相続が発生した場合のことでした。
めったにないのかもしれませんが、最近そのような案件を扱いました。
被相続人がなくなり、第1順位の相続人である子が相続放棄しました。
次に、第2順位の直系尊属であるお父様お母様が相続放棄をしました。
被相続人が亡くなってから、お父様の相続放棄をする間に、直系尊属の中でお父様よりも後順位となる父方の祖母さんが亡くなったのですね。
第2順位のお父様お母様の相続放棄が終わり、第三順位の兄弟姉妹が相続放棄をする段階で当職が相談を受けて受任をしたところ、上のような事情がわかったということです。
まず、上のケースが再転相続なのかという問題が生じます。
祖母は、被相続人が亡くなった際にはご存命でしたが、実際に相続人となった時点はお父様の相続放棄の時点であり、既に亡くなっています。
先順位の相続人が相続放棄する前に亡くなっているのです。
このような場合でも再転相続となるのでしょうか。
祖母が亡くなった時点で被相続人の相続人ではなかったのですから、再転相続ではない、祖母(の相続人)は相続人放棄する必要はないとも言えそうです。
一方、相続放棄をした相続人は、法律上、相続のはじめから相続人ではなかったことになります。そうすれば、理屈上は、被相続人の相続時点で祖母は相続人であったとみることになります。相続放棄が必要ですね。
さすがに書籍類には明確に記載がないため、家庭裁判所と相談しました。
その結果、後者の考え方に沿って再転相続と扱うことになりました。
相続人が被相続人の相続の発生を知らなかったときでも再転相続になるという考え方もあるためのようです。
そうなれば、第3順位の兄弟姉妹が相続放棄するには、祖母の相続人に相続放棄をしてもらわないといけませんね。第2順位の相続放棄が終わらないと相続放棄ができません。
次に、再転相続だとして何をするかです。
お父様は祖母について祖母の相続人として相続放棄をしてもいいということになります。そうすれば結局債務は引き継ぎません。
ただし、祖母の相続人が兄弟姉妹(代襲相続は1回のみなので甥姪まで)まで放棄して他に相続人がいないというところまで手続をしないといけません。
祖母の第3順位の相続人まで拡がると、会ったこともない方あるいは連絡が取れない方が増えてくるかもしれません(弁護士が連絡を取って協力を仰ぐことをよくします)。
なお、この場合、理屈上、被相続人の第3順位の相続人は登場しないのだろうと思います。祖母が被相続人の相続について相続放棄するわけではないですからね。
一方で、再転相続人として祖母の被相続人についての相続放棄選択権を行使して相続放棄をすることもできます。
勿論、祖母の相続放棄ができない事情があるケースではこの方法しかありませんね。
また、この場合には、祖母の相続人が全員相続放棄をすればいいのでしょう。
祖母の相続を相続人が承認して、選択権を行使することになります。
相続人がいなくいなるまで相続放棄をすることは必要ありません。
各再転相続人の熟慮期間の起算点の問題もありますね。
ケースバイケースで、各再転相続人が再転相続を知った時あるいは再転相続となる原因となった先順位相続人が相続放棄をしたことを知った時から起算されるのではないかと思います。
相続放棄の中でもややこしいお話である再転相続の細かい話をしてみました。
ややこしい話なので難しい点はご容赦ください。
相続放棄も簡単なようでいろいろな問題が生じます。少なくとも弁護士に相談をされてから進めてくださいね。
遺言、相続、遺留分、相続放棄等、相続問題のご相談はなかた法律事務所へ。
広島の弁護士 仲田 誠一
なかた法律事務所
広島市中区上八丁堀5-27-602
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(なかた法律事務所) 2019年7月15日 14:28
配偶者居住権の評価 [相続問題]
広島市の弁護士仲田誠一です。
「相続法改正ポイント5」というコラムにて、配偶者居住権のお話をさせていただきました。
配偶者居住権の税務上の評価方法が出てきたのでまた取り上げます。
少しだけおさらいを。
配偶者居住権は、被相続人の配偶者の保護の制度でしたね。
自宅が他の相続人と配偶者の共有の状態になると、場合によっては不動産を処分しないといけなくなる、賃料相当金の支払義務の問題が出てくる、共有物分割請求がなされる等々、配偶者が法的に不安定な立場におかれます。
そのため、改正民法は、配偶者居住権を新たに定め、配偶者が相続開始時に居住していた被相続人所有の建物を対象として、終身または一定期間、無償でその配偶者に居住等を認めることにしましたということでした。
配偶者居住権設定の方法は、
① 遺産分割協議による設定
② 遺言による配偶者居住権の遺贈(死因贈与でもかまわないと解釈されています。)
③ 家庭裁判所の審判
の3つでした。
もっとも、遺言を作成するのであれば、わざわざ配偶者居住権という形で保護を図る必要はないとは思っております。
遺言の内容を工夫すればいいだけですね。
配偶者居住権の期間は、原則配偶者の終身の間でしたね。
ただし、遺産分割協議、遺言あるいは家庭裁判所の審判で期間を定めたならばその期間です(改正民法1030条)。
配偶者居住権は、財産権(相続財産の一部)とみなされます(改正民法1028条)。
すなわち、配偶者はその配偶者居住権の財産的価値に相当する金額を相続したものとされます。
ただ、評価方法は難しいですということを書かせていただきました。
勿論まだ動いていない制度なので裁判上どのように評価されるのかわかりません。
そして、相続税法上の計算の方法が出てきたようです。
配偶者居住権も相続財産ですので、当然に相続税の課税対象となりますね。
一方、配偶者居住権が付いた不動産の評価は、その分下がるはずですね。
そこら辺の計算方法が出てきたということです。
あくまでも税制上の評価方法です。
しかし、民法上(すなわち、相続法)の計算も、税制上の計算方法に引っ張られていくことになると思います。
財産の評価方法について税制上の評価と、裁判所が算定する所謂時価とは異なります。
ただ、時価評価も難しい物や権利があり、税制上の評価方法が使用される、あるいは参考にされるということもあります。
建物についての配偶者居住権の評価は、
建物の相続税評価額 -
建物の相続税評価額×(残存耐用年数-居住権の存続年数)/残存耐用年数×複利現価率
です。
建物の評価額から居住権が及ばない耐用年数分の現在価値を引いたら居住権の価値が出るというイメージでしょうか。
残存耐用年数は、法定耐用年数(住宅用)×1.5‐築後経過年数、
存続年数は、配偶者居住権の存続期間が終身であれば配偶者の平均余命、それ以外の場合には定められた期間(平均余命を上限とする)、
ということです。
平均余命というのは、年齢別に統計上出されている数字になります。
配偶者居住権の建物の相続税評価は、建物の相続税評価額-配偶者居住権の価額です。
当然ですね。
土地についても定められています。
居住建物の敷地の評価は、
土地等の相続税評価額-敷地の利用に関する権利の価額
です。
配偶者居住権に基づく居住建物の敷地の利用に関する権利の価額は、
土地等の相続税評価額-土地等の相続税評価額×存続年数に応じた複利原価率
になります。
なお、同じく説明させていただいた配偶者短期居住権については、課税上の問題は生じないです。
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広島の弁護士 仲田 誠一
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「相続法改正ポイント5」というコラムにて、配偶者居住権のお話をさせていただきました。
配偶者居住権の税務上の評価方法が出てきたのでまた取り上げます。
少しだけおさらいを。
配偶者居住権は、被相続人の配偶者の保護の制度でしたね。
自宅が他の相続人と配偶者の共有の状態になると、場合によっては不動産を処分しないといけなくなる、賃料相当金の支払義務の問題が出てくる、共有物分割請求がなされる等々、配偶者が法的に不安定な立場におかれます。
そのため、改正民法は、配偶者居住権を新たに定め、配偶者が相続開始時に居住していた被相続人所有の建物を対象として、終身または一定期間、無償でその配偶者に居住等を認めることにしましたということでした。
配偶者居住権設定の方法は、
① 遺産分割協議による設定
② 遺言による配偶者居住権の遺贈(死因贈与でもかまわないと解釈されています。)
③ 家庭裁判所の審判
の3つでした。
もっとも、遺言を作成するのであれば、わざわざ配偶者居住権という形で保護を図る必要はないとは思っております。
遺言の内容を工夫すればいいだけですね。
配偶者居住権の期間は、原則配偶者の終身の間でしたね。
ただし、遺産分割協議、遺言あるいは家庭裁判所の審判で期間を定めたならばその期間です(改正民法1030条)。
配偶者居住権は、財産権(相続財産の一部)とみなされます(改正民法1028条)。
すなわち、配偶者はその配偶者居住権の財産的価値に相当する金額を相続したものとされます。
ただ、評価方法は難しいですということを書かせていただきました。
勿論まだ動いていない制度なので裁判上どのように評価されるのかわかりません。
そして、相続税法上の計算の方法が出てきたようです。
配偶者居住権も相続財産ですので、当然に相続税の課税対象となりますね。
一方、配偶者居住権が付いた不動産の評価は、その分下がるはずですね。
そこら辺の計算方法が出てきたということです。
あくまでも税制上の評価方法です。
しかし、民法上(すなわち、相続法)の計算も、税制上の計算方法に引っ張られていくことになると思います。
財産の評価方法について税制上の評価と、裁判所が算定する所謂時価とは異なります。
ただ、時価評価も難しい物や権利があり、税制上の評価方法が使用される、あるいは参考にされるということもあります。
建物についての配偶者居住権の評価は、
建物の相続税評価額 -
建物の相続税評価額×(残存耐用年数-居住権の存続年数)/残存耐用年数×複利現価率
です。
建物の評価額から居住権が及ばない耐用年数分の現在価値を引いたら居住権の価値が出るというイメージでしょうか。
残存耐用年数は、法定耐用年数(住宅用)×1.5‐築後経過年数、
存続年数は、配偶者居住権の存続期間が終身であれば配偶者の平均余命、それ以外の場合には定められた期間(平均余命を上限とする)、
ということです。
平均余命というのは、年齢別に統計上出されている数字になります。
配偶者居住権の建物の相続税評価は、建物の相続税評価額-配偶者居住権の価額です。
当然ですね。
土地についても定められています。
居住建物の敷地の評価は、
土地等の相続税評価額-敷地の利用に関する権利の価額
です。
配偶者居住権に基づく居住建物の敷地の利用に関する権利の価額は、
土地等の相続税評価額-土地等の相続税評価額×存続年数に応じた複利原価率
になります。
なお、同じく説明させていただいた配偶者短期居住権については、課税上の問題は生じないです。
遺言、相続、遺留分、相続放棄等、相続問題のご相談はなかた法律事務所へ。
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(なかた法律事務所) 2019年7月 3日 14:10
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