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旧コラム 相続問題 6ページ目
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「成年後見ってなぜ必要?」 2 【相続問題】
また,不景気が続いているからでしょうか,親のお金を当てにした人が起こす犯罪やトラブルも増えているような気がします。
公的年金も期待できませんし,これからの時代は老後について自己防衛をしていかないといけませんね。
さて,前回は成年後見の必要性について途中までお話いたしました,今回はその続きです。
◆ 将来の相続財産争いを防ぐ
将来の相続財産争いを防ぐために成年後見制度を利用するケースも多いでしょう。
相続争いの中でよく問題になるものとして,本人の判断能力に疑いがある時期の預金の引き出しや遺言の作成があります。
近い親族が,よくわかっていない本人を囲い込んで,自分に有利な遺言を書かせたり,預金の管理の名目で勝手に預金を引き出す例が,本当によくあります。
いざ,相続が発生すると,他の相続人は納得いきません,親族間の財産争いになります。
この点,成年後見制度を利用すると,裁判所の監督の下で,財産管理がされます。本人の判断能力がないなと感じたら,早めに成年後見制度を利用すると,一部の親族によるそれらの勝手な行為を防ぐことができます。結局,相続争いを防ぐことになるのです。
◆ 悪徳業者への対抗として
判断能力のない,あるいは乏しい高齢者を狙って,高価なものを次々と買わせたり(次々販売),だましてお金を取ろうとする詐欺行為が後を絶ちません。
そのような場合,成年後見制度(あるいはそれよりも程度の軽い保佐制度)を利用していたら,簡単に効力を否定することができます。
もちろん,それらの制度を使わなくても対処する方法はあるのですが,利用していた方が安心でしょう。
◆ 借金が見つかった!
認知症になった父に多額の借金があるのがわかったから自己破産などの債務整理をしたい,と言っても,本人に判断能力がなければどうしようもありません。
その場合には,成年後見人を選任してもらって,自己破産など債務整理をすることを考えます。
◆ 後見人は誰がなればいいの?
多くの場合は,親族や弁護士などを後見人候補者として予め決めてから,家庭裁判所に後見人選任を申し立てます。
候補者は親族でも,弁護士などの専門家でも結構です。
ただし,最終的には裁判所が後見人を選任することになります。推定相続人間で争いがある場合は,候補者を親族と予め決めておいても,第三者的な弁護士が選任されるケースが多いでしょう。
◆ 後見人になると大変ですか?
後見人は裁判所の監督に服します。だからこそ,本人の財産が適切に保全されるのです。
そのため,後見人は裁判所に対して各種報告書を提出する必要があり,その事務負担は軽いとは言えません。
なお,最近,本人の親族である成年後見人が,本人の財産を私消したため,業務上横領罪により逮捕されたという報道もありました。後見人は本人の財産を適切に管理する義務があり,自分のために勝手に使ってしまうと,業務上横領罪が成立し得るのです。
◆最後に
今回は制度の詳細までは説明できませんでした。細かい話は機会を見てお話します。
ご家族の現在あるいは将来のご本人の生活がご心配な方は,早めに弁護士などの専門家に相談されることをお勧めします。
(なかた法律事務所) 2010年12月30日 00:18
「成年後見制度ってなぜ必要?」 1 【相続問題】
おせち料理も,いつからか食べなくなってしまいました。
県外出身の方はみなさん田舎へ帰ったりするのでしょうか。故郷への里帰りをすると,いくぶんは正月気分を味わえますね。
残念ながら,私は実家が広島なので,里帰り気分も味わえません。
もっとも,親が近くにいる分,安心できる面もあります。
やはり故郷に高齢のご親族を残されている方はご心配でしょう。
ということで,今回は,高齢者に深く関係する成年後見制度について簡単にお話しようと思います。
◆ 成年後見制度とは?
成年後見制度とは,日常生活を営むにおいて判断能力が乏しく助けが必要な方のために,裁判所が後見人を選任し,その後見人が,本人に代わって財産管理を行い,また身上監護事務(施設契約など)を行う制度です。
成年後見制度には,法定後見制度と任意後見制度があります。
法定後見制度は,認知症患者であるなどの理由で,本人が常に判断能力がない状態にある場合に利用します。
任意後見制度は,現在は判断能力がある本人が,将来,自分がそれを失った時に後見人を選任してもらうよう,予め手当てをするために利用します。
◆ なぜ成年後見が必要なのですか?
そもそも何のために成年後見制度が必要なのか?がわかれば,成年後見制度がわかりやすいと思います。
簡単に言えば,成年後見制度があるのは,判断能力がない方には助けが必要だからです。
それでは,助けてくれる家族がいれば必要ないのではと思われるかもしれませんが,そうでもありません。
法律上,判断能力(意思能力)のない方はご自分では有効に契約などの法律行為ができません。
理屈は次のとおりです。
本人がする契約などの法律行為に本人が拘束されるのは,その契約などが自らの意思に基づくからです。
しかし,そもそも自分の行為が理解できない方が契約などの法律行為をしても,それは自らの意思に基づくとはいえませんね。
意思に基づかない以上,本人を縛ることはできない。
だから,その契約などの法律行為が無効になるのです。
ただ,そうなると,認知症などにより日常の判断能力がない方は,財産管理や施設との契約締結などを法的に有効にすることができません。
たちまち困ってしまいますね。
確かに,それらの行為を家族が本人に代わって行うケースも多いです。問題が起きなければそれでいいでしょう。
しかし,家族が本人に代わって行うそれらの行為は法的には問題があります。
判断の能力がない本人から頼まれたといっても,「頼む」(「代理権を与える」)ためにも本人の判断能力が必要です。
したがって,判断能力のない本人の家族が本人の「代理」で行った行為は基本的には有効にはなりません。
いざ相続が発生した際,「あなたが勝手にやったことだから無効だ!」と異を唱える相続人が出てきて,トラブルになるケースは決して少なくありません。
また,家族がいつまでも本人の面倒を見続けられるわけでもありません。その場合には,代わって面倒を見てもらう人が必要です。
さらに,判断能力がなくなると,不必要な高価な品をたくさん買ってしまい,財産を無駄に散逸させてしまいかねません。
そこで,財産管理や身上監護事務(施設の契約など)を,本人に代わり,ちゃんと(有効に)行う人物が必要になるのです。
◆ 最後に
成年後見制度の必要性は今回お話したことに尽きるものではありません。
将来の相続財産争いを防ぐために利用されるケースも多いですし,判断能力の乏しい高齢者を狙った悪質な次々販売などへの対処にもつながります。
次回は,そこら辺りのお話と成年後見人は誰がなればいいのかというお話しをさせていただきます。
(なかた法律事務所) 2010年12月29日 00:16
「遺留分って何?」 【相続問題】
本格的に寒くなってきましたね。
昨日は広島市内でも雪が少し降っていました。
さて、これまで何度かお話の中で出させていただいた「遺留分」という言葉について、まだきちんと説明できていなかったと思います。
そこで、今回は「遺留分」についてお話しようと思います。
例えば、あなたの親族として母親と兄弟2人がいるとします。
お母様が亡くなられた後,「長男にすべての遺産を相続させる」という内容の遺言が出てきたとしましょう。
あなたが「遺言はちゃんと作られたようだけど、長男ばかりが母親の世話をしていたわけではないから私の取り分が全くないというのは納得できない」と思ったら、それが遺留分減殺(げんさい)請求の場面になります。
◇ 遺留分制度とは?
原則として、被相続人が遺言などで財産をどのように処分するかは自由です。故人の財産だから当然ですよね。
ただ、それでは不公平な場合もあります。
そこで法律は、相続が発生した際、配偶者,直系卑属(子、既に亡くなっている場合は孫)、直系尊属(通常は父母)に対して、最低限の一定額の相続財産を確保することを認めています。それが遺留分です。
遺留分を認められている人を「遺留分権利者」、遺留分を請求することを「遺留分減殺請求」と言います。
最初にお話しました特定の相続人にすべて相続させる遺言のように、法律で一定割合に決まっている「遺留分」を侵害する遺言などがある場合、子などの「遺留分権利者」が希望すれば「遺留分減殺請求権」を行使して、相続財産を取り戻すことになります。
あくまでも、被相続人の財産処分が自由であることが前提です。そのため、希望する遺留分権者が自ら遺留減殺請求をすることが必要で、自動的に遺留分が認められるわけではないことにご注意ください。
◇ 兄弟姉妹には遺留分の権利はないんです
ここで気をつけて欲しいのが、兄弟姉妹はほかに相続人がいない場合に相続人にはなりますが、遺留分の権利者ではありません。
以前,遺言の話をしたときにも触れましたが、夫婦と兄弟姉妹(既に亡くなられていたら甥・姪)だけの親族構成の場合、夫婦の一方がなくなられたら兄弟姉妹にも相続分が発生してしまうのが原則です。
そこで遺言が大事になるのです。
夫婦の一方にすべての財産を相続させる遺言さえ書いておけば、財産の散逸を防ぐことができます。兄弟姉妹は遺留分がないから文句が言えないのです。自宅不動産が相続財産である場合に非常に重要な話になります。
確かに、遺言がなくても、兄弟姉妹が遺産分割協議の中で,あるいは相続放棄をして、丸く収めてくれるケースが多いでしょう。しかし、財産を目にすると人が変わるケースもあります。トラブルになったら取り返しがつきません。備えあれば憂いなし!です。
◇ 遺留分の割合とは?
遺留分の割合は、直系尊属だけが相続人であるときは相続財産の3分の1、それ以外の場合には2分の1です。
最初の例で言いますと、相続人は子3人です。全体の遺留分は2分の1になります。個々の相続人の遺留分は、全体の遺留分に各自の相続分をかけると出ます。
子が3人で相続分は3分の1ですから、結局あなたの遺留分は6分の1となります。
◇ いつまでに遺留分を請求すればいいのか?
先ほども書きましたが、遺留分は請求しないともらえません(これを「遺留分減殺請求」と言います)。
もちろん、権利を行使しないと時効にかかります。
それが結構短いんです。
遺留分減殺請求権は、相続の開始および減殺すべき贈与または遺贈があったことを知った時から、1年間権利を行使しないときは時効にかかってしまいます。先の例で言うと、遺言の存在を知ってから1年間ということになります。
そのため、少なくとも1年以内に証拠が残る内容証明郵便で請求してください。ただ、請求の内容が法的に遺留分減殺請求と認められなければ意味がないので、専門家に相談して請求するのが無難です。
また、相続開始のときから10年経過しても時効にかかってしまいます。遺言を知らなければいつまでも行使できるというわけではないんです。
◇ 実務では?
遺留分を減殺したいという場面では、そもそも遺言の有効性に争いがあるケースが多いです。
なかなか遺言を無効だと主張するのは証拠が乏しい点で難しく、特に公正証書遺言の場合に遺言の効力を覆すのは難しいです。「この時期の遺言は絶対におかしい」と言えるような証拠がある場合には,遺言無効確認訴訟と遺留分減殺請求訴訟を合わせて検討することになります。
また,遺留分減殺請求をする時点では、相手方は既に遺言等によって財産をもらっているケースが多いです。そのため、実際に相手方から取り戻すのに苦労するケースもあります。できるだけ早く権利を行使しましょう。
◇ 最後に
遺留分減殺請求については、法律的に難しいところが多々あります。
是非、お早めに専門家にご相談ください。
(なかた法律事務所) 2010年12月23日 14:09
「生命保険金は遺産になるの?」 2 【相続問題】
弁護士の仲田誠一です。
前回、生命保険金は特別な事情がない限り遺産(相続財産)に含まれない、でもそれでは不公平ではないか、ということをお話しました。
今回は、前回お話しかけましたが、裁判所により不公平の是正がどのように図られるかについてお話します。
◇ 裁判所はどうやって不公平を是正するか?
裁判所による不公平の是正の理屈を簡単に言えばこうです。
生命保険金は遺産には属しない。しかし、不公平が著しい場合もある。その場合には、生命保険金は特別受益には
該当しないのだけれども、不公平を是正するため特別受益と同じような扱いをする。
ちなみに、特別受益(生前贈与などのことです)と同じような扱いをするということは、各相続人の相続分を算定する計
算の中で、生命保険金を「持ち戻し」、計算の基礎となる財産に加算するということです。
◇ どのような場合に不公平が是正される?
では、例外的に生命保険金が特別受益のように「持ち戻し」の対象となるのはどのような場合でしょうか?
結論から言えば、保険金受取人である相続人とその他の共同相続人との間に生ずる不公平が著しいと評価される特別
な事情がある場合です。
そして、その判断は、①保険金の額、②その額と遺産総額との比率、③同居の有無や介護への貢献の度合いなど被
相続人との関係、④各相続人の生活実態等、の諸般の事情を総合してなされます。
つまり、相続財産と保険金額の対比をベースにして、保険金を受け取った相続人がさらに相続財産も法定相続分に従っ
て受け取るのはさすがに不公平だろうと思えるかどうか様々な事情を考慮して考える、といった理解でいいと思います。
実際の例を紹介しますと、相続財産と保険金額の対比という点では、相続財産:保険金の割合が、10:1、15:1あた
りが否定され、1:1、8:5あたりが肯定された例があるようです。
ただし、あくまでも、金額だけではなく、様々な事情が総合考慮されますので、単純に結論を読むことはできません。
2回にわたって遺産相続における生命保険金の扱いについてご紹介しました。
少し難しかったと思いますが、「生命保険金は遺産には属さない、ただ不公平が著しいときは特別受益と同じ扱いがされる」とだけでも覚えておいてください。
(なかた法律事務所) 2010年12月22日 14:08
「生命保険金は遺産になるの?」 1 【相続問題】
弁護士の仲田誠一です。
法人税が5%下がるようですね。個人事業主である私には関係ない話ですが...
経済浮揚策として個人的には異論はあるのですが、結果を出してくれれば文句は言いません。
とくかく結果を早く出して欲しいですね。
今回は、相続の際によく問題となる生命保険金の扱いについてお話したいと思います。
相続のご相談を受ける際、生命保険金はどうなるのかよく質問されます。生命保険金も遺産に含めて考えていらっしゃる方が多いようです。一般の方の感 覚では、特定の相続人が、生命保険金をもらった上で、他の遺産を法定相続分に従って受け取るというのは不公平だと感じるのでしょう。
では法律上の扱いはどうなっているのでしょうか?
◇ 生命保険金は「遺産(相続財産)」に属するのか。
いくつかの場面に分けてお話します。結論から申し上げますが、特別な事情がない限り、生命保険金は遺産(相続財産)には含まれません。
1 保険金の受取人として特定人が指定されている場合
この場合には、契約(法律的には第三者のための契約になります)の効果として、保険金請求権を指定された受取人が自己の固有の権利として取得することとなります。
わかりやすく申し上げると、亡くなった方が保険会社に「私が死んだら保険金をこの人にあげてください」とお願いしていたため、保険会社はその依頼に基づい て受取人に保険金を支払うのであって、受取人が相続の効果によって亡くなった方の財産を取得するのではない、という理屈です。
したがって、生命保険金は相続財産に含まれず、遺産分割の対象ともなりません。
2 保険金の受取人を単に「相続人」としている場合
この場合にも、理屈は上と同様で、生命保険金は指定された「相続開始時の相続人」が固有の権利として取得することとなります。
相続人が法定相続分に応じて保険金請求権を取得することになりますが、相続によって取得したわけではないのです。
もっとも、この場合には、遺産分割協議の中で、事実上分割の定めをすることが多いと思います。
3 保険金の受取人を指定しなかった場合
被相続人による指定がないため、保険約款あるいは法律に従うことになります。
多くの場合、保険約款に「受取人指定がない場合には相続人に支払う」旨定められていると思います。
その場合には、結局上の2のケースと同様の扱いとなります。
◇ 生命保険が遺産に含まれないとすると不公平では?
以上のように、生命保険金は遺産(相続財産)に含まれず、遺産分割の対象にならないのが原則です。
でも、生命保険金は通常高額なものですよね。始めに書きましたが、他の相続人は不公平感を持ちます。
たとえば、相続人が長男、長女の2人で、生命保険金が3000万円、遺産は預金の1000万円だとしましょう。保険の受取人が長男と指定がある場合、長男 は3000万を固有の権利として受け取り、その上で預金から500万を相続により取得します。一方、長女は500万しか相続しません。
でも保険料って被相続人の財産から支出されていますよね。長女からするとやはり不公平だと感じます。
そこで、判例により、不公平が著しい場合には、上記の理屈の結果が修正され、不公平を是正する方策が認められています。次回にその辺をお話したいと思います。
(なかた法律事務所) 2010年12月21日 14:07
家族の安心のために遺言を 2 【相続問題】
弁護士の仲田誠一です。
前回は、遺言がなぜ必要なのかについて、「相続の際の争いやトラブルを防ぎ、残されたご家族等の安心・幸せを守るためである」というようなお話をしました。
今回は、遺言の作成方法と注意点について簡単にお話します。
【遺言の種類】
遺言の作成というと、一般的には「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」が利用されるでしょう。
自筆証書遺言とは、その名のとおり、自署により作成します。正確には、遺言を作成する人が、遺言全文、日付及び氏名を自署し、それに印を押して作成します(民法968条)
公正証書遺言とは、これまたその名のとおり、公証人が作成するものです。原則として公証人役場に本人及び証人が出頭し、公証人が内容を聞き取った上で作成してくれます。
遺言は、方式を誤ると無効になってしまうものであり(「要式行為」といいます)、また表現を誤ると無駄になってしまうものです。
せっかくご家族のことを想って作成しても意味がなかったということにもなりかねません。将来の争いを確実に起こさない形であなたの意思を更生に残すためには、費用や手間がかかっても公正証書遺言が安心だと思います。
また、公正証書遺言は、家庭裁判所において遺言書を確認する「検認」という手続きの必要がないというメリットもあります。
遺言作成の細かい注意点は、またの機会にお話しますね。
【遺言の作成方法】
誰が作れるかというと、15歳以上であれば、原則として遺言を有効に作成できます。
ただし、成年後見人等には制限がありますし、判断能力がない状態では有効に作成できません。遺言の有効性については、痴呆の気がある方が亡くなる直前に作成した、特定の相続人に有利な遺言の場合によく争われます(他の兄弟などを出し抜いて作らせる人が結構いるんですよ)。
作成方法は、市販の書籍を利用して自筆証書遺言を作成するのが一番簡単なのは確かでしょう。
しかし、自分で作成した遺言が無効であったり、無駄になってしまう例 は少なくないんです。実際に私が扱った事案でも、亡くなられた方の面倒をずっと見ていた依頼者で、それに対する感謝の意味で遺言を作成してもらっていた が、遺言の表現が誤っていたために縁遠い相続人に遺産を多く取られてしまったという残念なケースがありました。
ちなみに、亡くなった方と親交がなく、突然遺産を受け取る人を、「笑う相続人」なんて呼んだりします。
あなたの思いを法的に有効な形で実現するために、また遺留分請求などの紛争を将来生じさせない遺言をするために、弁護士などの専門家に遺言作成の相談あるいは作成依頼をすることをお勧めします。
専門家に依頼すると確かに費用がかかるのですが、残される家族の幸せの保険料と考えれば高くはないと思います。
(なかた法律事務所) 2010年12月13日 01:11
家族の安心のために遺言を 1 【相続問題】
弁護士の仲田誠一です。相変わらず寒いですね!鍋がおいしいです。
私の好物は、白菜ではなくキャベツを大量に入れたキムチ鍋です。締めはちゃんぽん麺にしてます。鍋はついつい食べ過ぎてしまいがちですが、ほとんど中身は野菜だからと言い訳をしてたらふく食べています。
さて、今回は相続問題として、遺言の話をさせていただこうと思います。
「なぜ遺言の作成が必要なのか?」
遺言の作成キットなどが書店にも並び、遺言に対する関心は高まっているようですね。言うまでもなく、遺言はあなたの「最期の意思」です。あなたの思いを遺産の分配などに実現したい場合に、遺言が役に立つのは当然です。
もっとも、遺言はむしろ「残されたご家族の幸せ」のために必要です。事業者の方は、事業承継の問題となります。事業資産や持ち株の後継者へのスムーズな引継ぎが必要です。
そのため、遺言も必要になるでしょう。
また、お子様のいらっしゃらないご夫婦の場合には、一方が亡くなられ た場合には、配偶者のほかに義理の父母(父母が既に亡くなられている場合には兄弟姉妹、兄弟姉妹が亡くなられている場合には甥姪)にも法定相続分が発生し てしまいます。相続財産が預金ならまだしも、ご自宅を所有している場合には共有状態となってしまい、争いが起こって、残された配偶者が自宅の維持に困るこ とまで考えられます。
兄弟姉妹には遺留分はないため(遺留分についてはまたの機会にお話します)相続人が配偶者と兄弟姉妹になるケースでは、遺言さえ書いておけばトラブルが防げます。さらに、それ以外の皆さんにとっても、残された家族の幸せのために遺言が必要です。
確かに、ご自分が亡くなられた後にご自分の家族が相続財産をめぐって対立することは想像できない方が多いと思います。しかし、残念ながら、相続を機に家族が対立することは決して珍しくありません。
それは、遺産の大小にかかわらずです(むしろ財産が小さい方が全相続人が満足する分け方ができず争いになるとも言えるでしょう)。
遺言により、法定相続分による分割の不都合を防ぎ、相続人間の争いを防ぐことは、残されたご家族の幸せのために大切なのです。
ご家族への最期の愛情表現、あついはケジメですね。
もっとも、遺言内容によっては、相続の争いをかえって招きかねないことも注意してください。
それでは、次回は遺言の作成方法や注意点についてお話します。
(なかた法律事務所) 2010年12月12日 01:08