• 刑事事件
  • 所属弁護士
  • 用語集
  • よくある質問
  • コラム
  • リンク集

HOME > 旧コラム > アーカイブ > 借金問題: 2019年10月

旧コラム 借金問題: 2019年10月

現在のコラムはこちらから

破産と生活保護費の返還債務 [借金問題]

広島県広島市の弁護士仲田誠一です。
 
今回の借金問題コラムでは、生活保護返還債務と破産の関係のお話です。
 
破産をお手伝いするときに、生活保護費の返還を求められている、あるいは返還請求された金額を少しずつ返還されているという方がいらっしゃいます。
 
働きながら保護費を受給していた方、各種年金・手当を受給しながら保護費を受給していた方に多いでしょうか。
収入認定との兼ね合いで調整が必要なケースですね。
 
生活保護を脱した方、現在も受給中の方、双方ともあり得ます。
 
先日申立てた自己破産案件も保護費の返還債務を負っているケースでした。
 
以前は、返還債務を破産債権に計上しておけば、事足りました。
 
生活保護費の返還請求権も、一般的な金融機関からの借り入れと同様、一般債権の扱いでしたので、破産免責の対象となり、免責決定を受ければ支払い義務を免れることができていたのです。
 
しかし、法律の改正があったのですね。
 
生活保護法63条に基づく返還請求権が、平成30年10月1日施行の改正生活保護法により、国税徴収法の例により徴収することができる債権、すなわち破産法上の財団債権、非免責債権になりました。
 
国税徴収法の例により徴収できるということは、税金と同じ扱いです。
 
改正の際には各弁護士会も反対意見を出していたような気がします。
 
破産をしても税金と同じ優先される債権になり、免責を得ても支払義務から免れられない債権になったのですね。
 
非免責債権ですので、管財事件で財団債権として破産管財人が支払ってくれるケースを除いて(財産がある程度あるケースに限ります)、役所と相談して支払い方法を協議しなければいけません。
 
なお、個人再生事件では、役所との協議結果を裁判所に報告しなければいけません。
 
生活保護法63条に基づく保護費の返還請求のことをお話しました。
 
これに対し、不正が悪質な場合の78条の徴収金は、先立つ平成26年に既に財団債権化、非免責債権化が行われています。
 
債務整理(任意整理、個人再生、自己破産等)のサポートはなかた法律事務所にご用命を。
 
広島の弁護士 仲田 誠一
なかた法律事務所
広島市中区上八丁堀5-27-602
https://www.nakata-law.com/
 
https://www.nakata-law.com/smart/

会社も同時に破産申立てをする必要があるか [借金問題]

広島県広島市の弁護士仲田誠一です。
 
会社代表者あるいは会社代表者をしていた方が自己破産を申し立てるとき、会社も同時に自己破産を申し立てないといけないのかどうか、今回の借金問題コラムはそんなお話です。
 
個人と法人は法律上別人格です。
 
理論上、個人だけ、法人だけ破産を申し立てることは許されるはずです。
 
ところが、会社代表者が自己破産を申し立てる際には、法人の自己破産も申し立てるように裁判所から勧奨されます。
 
なぜなのか裁判所に聞いたことがあります。

法人と個人は財産が混同する危険が高く、破産管財人が個人の財産調査だけするのでは不十分だから、法人も同時に申し立ててもらい会社財産も調査することができるようにするのだと説明されました。
 
他に、代表者個人とほぼ債権者が一致することが多い会社を放置するのは望ましくないとの説明もあるようです。
 
法律上強制的に会社あるいは法人の破産申立てをしないといけないわけではありません(破産法にそんなことは書いていませんから)。
 
しかし、強く会社の申立てを要請する裁判所が多いようです。
 
広島本庁でも、会社あるいは法人の経営者ないし数年前まで経営していた方が自己破産を申し立てると、個人と法人の同時申立てを要請されます。
時期によってその強弱は異なるかなあという実感です。
 
代表者個人しか破産申立てをしない理由は、
1 法人破産は多額の予納金が必要だが用意できない
2 あるいは既に事業廃止しており資料が散逸しており申立て書類が作られない
の2つでしょうか。
 
裁判所に要請された際には、そのことを話すのですが裁判所はなかなか引き下がらない印象です。

1の予納金ですが、法人が動いていない、財産も残っておらず、破産管財人業務の負担がないというケースでは減免してくれます。
 
極端なケースですが、「追加の予納金は要らない。」とまで言われました。
個人で用意した予納金を法人と個人で割り振るのですね。
 
2の書類がないという点も、「調査・書類は不十分であってもかわまないから申立てだけはしてくれ。」、とまで頼まれた経験もあります。

本当に簡単な書類で申し立てたことがあります。
 
基本的には代表者が破産をするときには法人も同時に申し立てしなければならない、ただし予納金の額や申立て準備については相当融通も利く、と考えた方がいいでしょう。
 
勿論、会社の事業廃止から5年超経ているような場合は同時申立てを要請されません。
そもそも同時廃止で処理されることも可能です。

ただし、その場合でも最後の2期分の決算書の提出は求められますね。
                    
債務整理(任意整理、個人再生、自己破産等)のサポートはなかた法律事務所にご用命を。
 
広島の弁護士 仲田 誠一
なかた法律事務所
広島市中区上八丁堀5-27-602
https://www.nakata-law.com/
 
https://www.nakata-law.com/smart/
 


知られずに自己破産、個人再生ができるか [借金問題]

広島県広島市の弁護士仲田誠一による借金問題コラムです。
 
今回は、自己破産、個人再生といった法的債務整理手続が、家族や職場に内緒でもできるケースがあるといったお話です。
基本的には内緒でできるが、協力を仰ぐ必要があるケースでは難しい場合もある、というお話です。
勿論、家計の建て直しには、ご家族の協力があった方がいいのですが。
 
まず、債務整理であっても、任意整理であれば、原則として、誰にも知られることなく債務整理をすることができます。
弁護士と業者間で交渉するだけですからね。
 
ただし、任意整理でも個人信用情報機関に所謂ブラック情報が登録されて、一定期間金融機関の審査に通らなくなります。
近々に家族が車を買う、家を買うなどで家族の連帯保証人を頼まれるようなことがあれば、説明に困ります。
また、月々返済に必要なお金を確保するためには、家族にそれ相応の説明が必要なケースもあるでしょう。
 
次に、債務整理のうち、法的手続である自己破産、個人再生となると、手続との関係で家族や職場の協力が必要かどうか検討しなければなりません。
 
家族の協力はどうでしょうか。
自己破産や個人再生では、配偶者や同居人が働いている場合には、源泉徴収票や給与明細が提出書類となっています。
その限りで家族の協力が必要なケースがあるのですね。
なお、市県民税課税台帳記載事項証明書の提出も求められますが、これは同一世帯であれば、お一人で全員分のものがとれるはずです。
 
また、家計収支表の提出もしなければなりません。
家計が同一であればその家計全体の収支を記載しなければならず(いろいろな説明の仕方がありますので、弁護士と作成方法をよく相談してください。)、ご自身が家計を把握していない場合には家族の協力が必要ですね。
 
さらに、公共料金等の支払いをしている家計の主口座が家族名義である場合には、その写しの提出も求められます。
 
こうしてみると、家族に内緒で進められる典型的なケースは、奥様の自己破産で、夫の収入資料を保管し、あるいは保管場所を把握していて、家計も管理しているというケースですね。
 
なお、自己破産の場合、管財事件になると、郵便物が破産管財人に転送されてしまいます。郵便物が来ないので、家族におかしいなと思われるでしょう。
 
勿論、家族(特に配偶者)には、事情をお話しできるならした方がいいです。
自己破産や個人再生は経済的な立ち直りのために行うものですね。
多かれ少なかれ、家族の協力が必要なものです。
 
親族の協力はどうでしょうか。
 
親族との関係では、同居していない限り協力を乞う必要はありません(同居している場合には収入資料が必要です)。
勿論、債権者である親族に対しては裁判所から通知がいきます。
 
なお、稀なケースですが、親族名義あるいは親族が借りている居宅に間借りしている場合には、居住証明書の提出を求められます。
 
勤務先の協力はどうでしょうか。
 
勤務先との関係では、仮に借金がある場合には通知が行きますのでわかってしまいます。
そのような場合には、自己破産、個人再生を申し立てるのも躊躇してしまいますね。
別のコラムで書かせていただきましたが、勤務先からの借金をなくすことを検討します。自己負担金等給与から控除されているものも債務ですのでご注意を。
 
また、一定期間以上(広島本庁では5年以上)働いている正社員の場合には、退職金見込額証明書あるいは就業規則や退職金規程等、退職金見込額を説明することができる資料を提出しなければなりません。
 
見込額証明書を貰うケースは稀で、通常は説明できる資料を提出します。
勤務先に伝えるのは躊躇されますからね。
現在自己都合で退職したとしたら退職金がいくら支給されるかの説明です。
退職が決まっている等の事情がない限り、退職金支給見込額の8分の1が財産として評価されます。
 
退職金制度が最近は複雑になっており、毎回、何を提出するか悩みます。
金額が明確に説明できるよう、就職時期、退職金の計算方法、計算の基礎となるポイントや倍率がわかるものなどを提出します。
手元にない方も多く、その場合は、勤務先からそのような資料も貰わなければいけません。
 
さらに、給与明細の控除欄の中に、資産性があるかもしれない積立や保険・共済等がある場合、残高や契約内容を説明する資料の提出を求められます。
手元にない場合がほとんどなのですが、場合によっては勤務先にお願いせざるを得ないケースもあります。
 
最後に、官報公告というものがあります。自己破産あるいは個人再生をすると、官報に名前と住所が公告されます。
普通の方は見たこともないでしょうが、公告により、金融業者などからダイレクトメールが来ることもあります。
 
家族、親類あるいは勤務先が官報を逐一チェックしていることはなく、直接官報から申立ての事実がわかってしまうことはないでしょうが、完全に秘密にはならないということはご承知おきください。
 
債務整理(任意整理、個人再生、自己破産等)のサポートはなかた法律事務所にご用命を。
 
広島の弁護士 仲田 誠一
なかた法律事務所
広島市中区上八丁堀5-27-602
https://www.nakata-law.com/
 
https://www.nakata-law.com/smart/


1

« 借金問題: 2019年9月 | メインページ | アーカイブ | 借金問題: 2020年5月 »

このページのトップへ