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マンショントラブル、管理費を払ってもらえない! 2 【消費者問題】
さて、前回は滞納管理費の回収は難しいこと、をお話しました。今回も引き続き、マンションの管理費問題についてお話します。
滞納者本人から、あるいは競売から回収できない場合はどうなるのでしょうか?
まだ諦める必要はありません、法律上,滞納管理費は滞納していた所有者の「特定承継人」にも請求できるのです。
◇滞納管理費は「特定承継人」にも請求できる
「特 定承継人」とは、マンションの買受人、マンションを贈与してもらった人、抵当権実行などによる競売手続で落札した人、などです。一般的な法律の理屈からす るとそれらの人に滞納した人の責任を引き継がせるのはおかしいとも言えるのですが、多数の人が共同して建物を維持する、マンションの特性から,法律によって特別に認められているのです。
そこで、事実上、滞納者から誰かが区分所有権を受け継ぐのを待って、管理費滞納問題を解決するケースも多いのではないでしょうか。
逆に言うと、中古マンションの購入や競売入札を検討する際には、滞納管理費等の確認は必須です。必ず仲介業者や裁判所の備え付け資料により確認してください。
◇最後に…不景気が続き、破産の案件が非常に多く、弊事務所もさながら破産事務所の様相を呈しております。その中で、住宅ローンの負担に耐えかねて様々なところから借金をして、苦しい思いをしながら、頑張られるだけ頑張って最後に私の所へ駆け込まれる方も多いです。
結局,破産をしてしまうと家を手放さなくてはならなくなり、苦しい中で頑張って来られた期間がもったいなかった、早めに手を打てば早く楽になれたのに、という思いをされる方もいらっしゃいます。
そのような方がいらっしゃったら,是非お早めにご相談ください。解決策を一緒に考えましょう。
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(なかた法律事務所) 2010年12月19日 13:58
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同じカテゴリの記事
「過払金の税金,相続など」【消費者問題6】
弁護士の仲田誠一です。
今回は,よくある質問から,過払金の税金と相続などについてお話します。
小ネタで恐縮です。
◆ 過払金の税金について
過払金が回収できた場合,それを所得として申告する必要があるのでしょうか?
実は,「過払金元金」については,課税されません。払いすぎのお金を返還してもらうだけなので,原則として所得が生じないのです。
ただし,過払い返還金に付された利息については、その支払を受けた日の属する年分の雑所得の金額の計算上総収入金額に算入されるようです。
なお、個人事業主などで,制限超過利息の支払額が各年分の各種所得の金額の計算上必要経費に算入されている場合にはこれを修正する必要も出てくるようです。
詳細は,国税庁のHPに記載されているため,そちらを参照してください。
◆ 過払金の相続について
以前にもお話しましたが,過払金返還請求権も財産として相続されるのです。
故人に明らかに過払金が発生するような借金がある場合には,他の債務との兼ね合いで相続放棄をしなければならない場合を除いて,相続放棄をせずに過払金を請求すればよいのです。
遺産分割協議が整っていたら相続した人が,整っていなかったら法定相続人がその持分において請求することになります。
◆ 以前に和解契約を締結したことがあるんだけど
過払金を無視して債務を減額するなどの和解を以前にした場合も,過払金返還請求をする余地があります。
過払金の存在を知らずに和解をしたので,それは錯誤(重要な事項に関する勘違い)により無効だと主張するのです。
◆ 途中から貸主の会社の名前が変わったりしてるけど
合併や債権譲渡によって,貸主の社名あるいは貸主が替わった場合でも,新しい会社(合併の場合には会社は替わっていませんが)に過払金返還債務が承継されると考えられます。
したがって,新しい会社に対して過払金の返還を主張することができます。
◆ 最後に
今回は,小ネタで失礼いたしました。
(なかた法律事務所) 2011年1月19日 00:36
「入学辞退による授業料返還の話」 【消費者問題】
1月に入って,いよいよ受験シーズンがスタートしますね。
受験生がいらっしゃるご家庭は,いろいろご苦労が多いと思います。
ただ,往々にして,受験生本人だけは,そんな苦労は知らずのんびり構えているものです。
ちなみに,私が大学受験した年は大雪の年でした。ずいぶん寒い冬だったと記憶しています。今年も寒いので,もしかしたら雪の中での受験になるかもしれませんね
さて,今回は,受験に絡むお話として,授業料返還問題のお話をしようと思います
◆ 入学時納付金の返還問題とは?
大学受験をする場合,1校に絞って受験するのはまれなケースでしょう。いくつかの学校を併願するのが通例だと思います。
そのような場合に入学時納付金の返還問題が出てきます。
日程の早い大学(専門学校でも同様です)に合格し て,その大学の入学金や授業料など初年度納入金を支払ったとします。その後,日程の遅い本命の大学から合格通知が来ました。もちろん本命の大学に入学した いのですが,日程の早い大学に納めたお金の返還も要求したい。ところが,日程の早い学校の入試要項には,「納入された入学時納付金の返還は一切しません」 という「不返還特約」が存在する。それでも返還を要求できるか?
それが入学時納付金の返還問題です。
ちなみに,私の受験のときも日程の早い大学に入学時納付金を納めた記憶があります。
◆ 最高裁判例のルール
現在この問題については,最高裁の判例で一定のルールが示されています。
そのルールとは,
まず,在学契約は消費者契約にあたり消費者契約法 の適用がある。そのため要綱の不返還特約は,消費者契約法9条1項1号の損害賠償の予定または違約金の定めにあたる(同条項には,契約解除に伴う損害賠償 額の予定または違約金の定めは,解除の理由や時期等に応じて生じるべき平均的な損害額を超える部分が無効となると定めています)。
したがって,不返還特約のうち,入学辞退によって生じるべき「平均的損害」(客観的に通常生じると認められるであろう損害です)を超える部分は無効になる。
そして,入学時納付金のうち,授業料・施設利用料・自治会費などは,大学の学生に対するサービスの対価であるから,現実に授業などのサービスを受けていない以上は,返還するべきである。
一方,入学金は,大学に入学しうる地位を取得するための対価であり,学生がその地位を取得した以上は返還する必要がない。ただし,その額が不相当に高額であるなどの特段の事情があれば別である。
というものです。
したがって,入学金以外は返還してもらえる可能性が高いことになります。
◆ 入学辞退の申し出の時期に注意!
入学辞退の意思表示の時期は,原則として,3月31日までです。
4月1日には学生が進路をほぼ決めており,大学側が学業のレベルを落とさずに新たな入学者を確保することが難しくなるから,授業料等も入学辞退による「平均的損害」を超えないと判断されるのです。
もっとも,要項などに「入学式の無断欠席をもって入学辞退とみなす」旨の定めがあれば,その定めに従った入学辞退をしても返還を受けられるという判断がされています。
したがって,そのような定めもなく,4月1日以降に入学辞退をした場合には,授業料等の返還も請求できないことになります。
◆ 入学辞退の方法は?
法律的には,要項などの定めにかかわらず,口頭での申し出であっても,有効な入学辞退の意思表示になります。
もっとも,上に書いたとおり,入学辞退の時期が重要です。実際の裁判でもその点が争われたケースがあります。そのため,書面で,日付が証拠に残る形で,入学辞退の申し出をする必要があります。
◆ 推薦入試の場合は?
日程の早い学校が,一般入試ではなく,特殊な入試形態の場合には注意が必要です。
契約の時点でその学生が入学することが客観的に高い蓋然性をもって予測される場合は,大学が代わりの入学者を容易に確保することができる時期を経過していないなどの特別の事情がない限り,授業料等も入学辞退によって生じた「平均的損害」を超えないとされているからです。
契約の時点でその学生が入学することが客観的に高 い蓋然性をもって予測される場合というのは,例えば,専願あるいは第一志望とする推薦入試,入学を確約する推薦入試です。その場合には,特別な事情がない 限り,入学時納付金全額が大学側に発生すべき「平均的損害」と見られ,返還が請求できません。
◆ 最近の判例
専願などを条件としない推薦入試で合格して納付した初年度納付金の返還を求めた裁判の最高裁判決が昨年ありました。
まず,入学辞退時期が争われ,原告は3月中に電話連絡をしたと主張しましたが,大学側の記録などにより4月5日に入学辞退があったと認定されました。
先に書いたとおり,4月1日以降の辞退申し出によっては,原則として授業料等の返還を求められません。
ところが,争われたケースでは,要項に「補欠者に ついては4月7日までに通知がなければ不合格になる」旨の定めがありました。そこで,原告は,4月1日以降に入学辞退があっても補欠者を入学させることを 織り込んでいるから大学側に授業料等を含む「平均的損害」は発生しないと争いました。
その点について,最高裁は,上記のような定めは大学が最終的な入学意思の確認を4月7日まで留保する趣旨の定めだとはいえず,学生の多くの進路を決定している4月1日以降は学力を維持しつつ入学定員を確保することは容易でない等の理由で,原告の主張を認めませんでした。
◆ 最後に
法律的には少し難しいお話ですが,皆さんの身近で起きうる問題なので,今回のテーマにさせていただきました。
先ほど触れました消費者契約法の詳しいお話しは,また別の機会にさせていただきたいと思います。
受験生の皆さん,体に気をつけて最後まで頑張って下さいね ファイト
(なかた法律事務所) 2011年1月 8日 00:27
「ペットとマンション」 【消費者問題】
弁護士の仲田誠一です。
今日はクリスマスですね。昨晩はよいクリスマスイブを過ごされましたでしょうか。私は,家族とトマト鍋を食べただけです。
前回,クリスマスイブとは関係のない熱帯魚飼育の話をさせていただきましたね。
そういえば,以前に,よくあるマンショントラブルとして管理費問題をお話させていただきました。覚えていますか?滞納者が自己破産しても新しい所有者から回収できるなどお話しました。
今回は,熱帯魚の話をさせていただいたついでに,よくあるマンショントラブルの続きとして,「ペットとマンション」の問題をお話させていただこうと思います。
◆ ペット飼育禁止の規約は守らないといけない?
ペットブームといわれて久しいですね。
ペット飼育OKの分譲マンションも増えてきたように思います。
ただ,まだまだ,ペット飼育禁止の規約があるケースが多いでしょう。たとえば,小鳥・魚類以外の動物の飼育の禁止や,他の居住者に迷惑・被害を及ぼす恐れのある動物の飼育禁止が,管理規約などで定められているのではないかと思います。
そのようなペット禁止規約は守らないといけないのでしょうか?
「自分のマンションだからいいじゃないか」と思いたくなりますよね。
実際に争われた事件もあります。
裁判所は,その中で,そのようなペット禁止規約の有効性を認めています。ペット禁止規約は,マンションでの平穏な生活の維持などのために合理的理由があるという理屈です。
したがって,ペット禁止規約は,守らなければなりません。
◆ ペット禁止規約に違反する住人に対して何が請求できる?
まずは,話し合うことになるでしょう。直接迷惑がかかっている居住者からは言いにくいので,管理組合として注意するのがいいでしょう。
おそらく,違反している居住者は,ペット禁止規約を知りつつ飼っている確信犯です。また,ペットを捨てろ,ペットを殺せというのか,とペットの命をかたに反論し,話し合いで解決しないかもしれません。
かといって,例外を認めてしまうと,規約がなし崩しになってしまい,ほかにも問題が生じるかもしれません。
では法的には何が請求できるのでしょう?
裁判所は,ペット禁止規約違反に対しては,厳しい態度をとっているようです。
違反行為に対して,禁止命令や損害賠償請求を認めたケースがあります。
そこで,あくまでも程度問題ですが,話し合いで解決できない住民に対しては,飼育禁止命令や損害賠償を請求することができることになります。
また,鳴き声,糞尿,悪臭などの程度が著しいケースでは,「共同の利益に反する行為」として,専有部分(つまり居室)の使用禁止なども請求できます。この点は,ペット飼育が認められているマンションも同様です。
◆ 「共同の利益に反する行為」とは?
先ほど触れた「共同の利益に反する行為」は,マンショントラブルの説明には欠かせない言葉ですので,ここで簡単に説明しておきます。
所有権者はその物を自由に使用・収益・処分できるのが原則です。この所有権の概念は,封建制度を否定した(何重もの土地支配を否定したなど)という歴史的意義があります。
でも,みんなが所有権の自由を主張すると,社会に混乱が生じて(たとえば隣地所有者の争いが多発します),社会生活が成り立たないのも現実です。そ こで,所有権自由の原則は,あくまでも原則であり,社会生活を維持するために一定の制限が加えられることは当然だと考えられています。
その所有権の制限が,分譲マンションにおいて顕在化しているのが,区分所有法6条1項であり,そこで,「区分所有者は,」「区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない。」と定められています。
そして,区分所有法は,「共同の利益に反する行為」を行った区分所有者に対しては,差止請求,使用禁止請求および競売請求の3つの裁判上の請求ができるとも定めています。
なお,区分所有法上,「共同の利益に反する行為」をしない義務は,区分所有権者以外の専有部分の占有者(賃借人など)にも課されています。賃借人が義務に違反する場合にも同様な請求ができることになります。
◆ 最後に
次回には,マンションに関するトラブルでまだお話していないものを,ご紹介させていただこうと思います。
PS.先日,中学1年生の甥っ子が私のコラム,ブログを読んでくれていると聞きました。励みになりますね。
(なかた法律事務所) 2010年12月29日 00:08
「リフォームには集会決議が必要?」 【消費者問題】
弁護士の仲田誠一です。
みなさん仕事納めはいつでしょうか?
私は,前職が銀行員であったので,仕事納めは12月30日,仕事始めが1月4日,というのが当たり前だと思ってしまっています。裁判の予定が12月 30日や1月4日に入ることはなく,物理的にはもっと休めるのですが,やはり銀行や役所が休みではない以上,仕事をしないと気持ちが悪いのです。
そのような私の気持ちは事務員さんや他の弁護士にとっては理解し難いらしいです。
結局,年末年始は他のみんなは多く休みを取り、私だけが長く働くはめになっています。
今回は,前回のペット問題以外のマンショントラブルについて,少し紹介させていただこうと思います。
◆ 専有部分と共有部分
マンションには,専有部分と共有部分があるのはご存知ですね。
でも,その区別については,実はなかなかややこしい問題もあるのです。
専有部分とは,区分所有権の対象となる建物部分です。居室部分ですね。
共有部分とは,専有部分以外の建物部分,その付属物,および規約で共用部分とした部分です。
廊下,階段,建物玄関,エレベーター,電気配線,ガス・上下水配管,消防設備,貯水槽,浄化槽などです。ベランダも一般的には共用部分と考えられています。
専有部分か共用部分か争われるものがいくつかあるのですが,それはまたの機会にお話します。
◆ 隔壁は共用部分ですか?
例えば,隔壁(専有部分相互間の境界部分を構成する壁)は共用部分でしょうか?
この点は,境界部分の骨格をなす中央の部分は共用部分であり,上塗り部分だけが専有部分であるとされています。隔壁は,建物を支える面もあり,建物の維持管理上,共用として管理されるべきだからです。
◆ リフォームには集会決議が必要ですか?
基本的には,管理規約の定めによることになります。
法律上の話をすると,区分所有法は,共用部分の変更に集会の決議を要求しています(17条,18条)。
したがって,勝手にした隔壁の撤去やベランダの改造などのリフォームは,集会決議を経ない共用部分の変更として,法律違反行為になるので気をつけて下さい。
この点については,バルコニーに勝手に温室を作った区分所有者に対し,管理組合がその撤去を求めて認められた例があります。
◆ 専有部分ならどう使ってもいい?
そんなことはありません。前回,「共同の利益に反する行為」を説明させていただきました。
専有部分の利用に関するトラブルとしては,前回のペット問題のほか,建物の基本構造に大きな影響を及ぼすような増改築,住居専用と定めた規約に違反してなされた事務所・営業所使用などがあるでしょう。
それらは,具体的な事情によって,「共同の利益に反する行為」と判断されるならば,法律上,差し止めや使用禁止,競売の請求の対象となります。
◆ 最後に
マンションでのトラブルの防止や早期解決には,日ごろの住民間のコミュニケーションが大事です。いうまでもありませんね。
また,ひとたび居住者による問題行動を発見したら,それが既成事実化してしまう前に,即座に対処してください。それが円満な解決の秘訣だと言えます。
さらに,管理組合の日ごろの活動に,無関心ではいけません。他の住民が無関心であることをいいことに,理事長が勝手なことをしてしまうのは珍しいことではありません。
管理組合の活性化やトラブルへの早期対処のためには,熱心で世話好きな方が1人でもいてくれれば非常に助かりますね。
もしそういう方がいらっしゃったら,うるさがらずに協力し,大事にしてあげましょう。
(なかた法律事務所) 2010年12月28日 00:12
破産って恐い? 2 【借金問題】
ネット配信等でCDが売れなくなったと聞いて久しいですが、ネット配信等をあまり利用しない若年層がCDを買っているのかもしれませんね。
◆ 破産をするとみんなに知られてしまう?
破産手続き上,債権者には裁判所から通知が行きます。しかし,借金に関係のない職場や親族には連絡は行きません。
もちろん,破産手続の中で,破産者の住所氏名等が「官報」に載ります。「官報」とは政府が発行する新聞のようなものなのですが,見たことないですよね?普通 の方は見ないものです。また誰かが見ようと思っても,破産者はたくさんいらっしゃるので,いつ出るかわからなければ,なかなか見つけられるものではありま せん。
ただ,職場に一定年数以上勤務されている方は,退職金の見込額を裁判所に報告する必要があります,もしかしたらその関係で職場に協力をお願いする必要が出てくるかもしれません。
また,破産申立書類の準備にご家族の協力が必要な場合もあるケースもあるかもしれません。
私は,ご家族に関しては,(依頼者がどうしてもいやだとおっしゃるなら別ですが,)ご家族には相談するようお奨めしています。依頼者に経済的に立ち直ってもらうためには,ご家族に事情を知っていただき,協力していただいた方がいいと思うからです。
結論を申し上げますと,職場や家族に知られずに破産をすることは可能なのです。
◆ 破産をすると仕事を続けられない?
答えは原則としてNOです。
通常の会社員であれば破産の影響はありません。
ただ,一部の仕事だけ「資格制限」と言うものがあり,破産手続中はその仕事に就けません。
どのような仕事に就けないかは,細かく法律等で決まっています。
保険外交員や警備員など,人のお金を預ったりする職業が多いようです。
もっとも,一部の職業に資格制限があるといっても,それは破産手続が終わるまでです。破産手続が終わると法律上の制限は消えます。
自分の職業が資格制限に該当するかは,専門家にご相談ください。
◆ 破産をするとみんなに迷惑がかかる?
こちらも,答えは原則としてNOです。
もちろん,債権者には迷惑をかけることにはなります。ここで「みんな」とはご家族のことを念頭に置いています。
破産によって直接ご家族に迷惑がかかることはありません。
法律上,ご家族といっても別人格と扱われますので,あなたが破産をしてもご家族に債務が移るということはありません。
ただ,あなたがご家族等の借金の保証人になっている場合,あるいはご家族等があなたの借金の保証人になっている場合は,別です。
あなたが破産をする際には保証債務も債務として手続に乗せる必要があります。具体的には保証している相手方(たとえばお父さんの銀行からの借金に保証をして いる場合にはその銀行)に通知をすることとなり,(先の例では銀行からお父さんに対し)新たな保証人の追加などを要求されることもあります(銀行とお父さ んが交渉することになります)。
また,あなたが破産をするということは,当然,あなたの保証人に対し債権者から請求が行くことになります。
さらに,不動産をご家族と共有している場合には話が複雑になるでしょう。不動産の維持は,非常に込み入った話になり,ケースごとに判断する必要があります。弁護士などの専門家とじっくりご相談してください。
◆ 最後に
みなさんが思っているほどは,破産は恐くないということをお話しました。
もちろん,破産を積極的に勧めているわけではありませんからね。
ただ,破産でしか救われない方もたくさんいらっしゃるのが現実です。
借金でご苦労されている方は,是非早く弁護士等にご相談ください。あなたにあった解決策を考えましょう。
みなさんが思っているほど「弁護士も恐くない」ですよ。
(なかた法律事務所) 2010年12月26日 14:13