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「成年後見制度ってなぜ必要?」  1 【相続問題】

弁護士の仲田誠一です。catface
 
 
 
最近は,年末年始にも開いているお店が多いですね。普段と変わらない生活ができるので,正月気分がなかなか味わえないと感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
おせち料理も,いつからか食べなくなってしまいました。

県外出身の方はみなさん田舎へ帰ったりするのでしょうか。train故郷への里帰りをすると,いくぶんは正月気分を味わえますね。
残念ながら,私は実家が広島なので,里帰り気分も味わえません。

もっとも,親が近くにいる分,安心できる面もあります。

やはり故郷に高齢のご親族を残されている方はご心配でしょう。

ということで,今回は,高齢者に深く関係する成年後見制度について簡単にお話しようと思います。



◆ 成年後見制度とは?
成年後見制度とは,日常生活を営むにおいて判断能力が乏しく助けが必要な方のために,裁判所が後見人を選任し,その後見人が,本人に代わって財産管理を行い,また身上監護事務(施設契約など)を行う制度です。

成年後見制度には,法定後見制度と任意後見制度があります。

法定後見制度は,認知症患者であるなどの理由で,本人が常に判断能力がない状態にある場合に利用します。

任意後見制度は,現在は判断能力がある本人が,将来,自分がそれを失った時に後見人を選任してもらうよう,予め手当てをするために利用します。



◆ なぜ成年後見が必要なのですか?
そもそも何のために成年後見制度が必要なのか?がわかれば,成年後見制度がわかりやすいと思います。

簡単に言えば,成年後見制度があるのは,判断能力がない方には助けが必要だからです。

それでは,助けてくれる家族がいれば必要ないのではと思われるかもしれませんが,そうでもありません。

法律上,判断能力(意思能力)のない方はご自分では有効に契約などの法律行為ができません。

理屈は次のとおりです。
本人がする契約などの法律行為に本人が拘束されるのは,その契約などが自らの意思に基づくからです。
しかし,そもそも自分の行為が理解できない方が契約などの法律行為をしても,それは自らの意思に基づくとはいえませんね。
意思に基づかない以上,本人を縛ることはできない。
だから,その契約などの法律行為が無効になるのです。

ただ,そうなると,認知症などにより日常の判断能力がない方は,財産管理や施設との契約締結などを法的に有効にすることができません。
たちまち困ってしまいますね。

確かに,それらの行為を家族が本人に代わって行うケースも多いです。問題が起きなければそれでいいでしょう。

しかし,家族が本人に代わって行うそれらの行為は法的には問題があります。
判断の能力がない本人から頼まれたといっても,「頼む」(「代理権を与える」)ためにも本人の判断能力が必要です。
したがって,判断能力のない本人の家族が本人の「代理」で行った行為は基本的には有効にはなりません。

いざ相続が発生した際,「あなたが勝手にやったことだから無効だ!」と異を唱える相続人が出てきて,トラブルになるケースは決して少なくありません。

また,家族がいつまでも本人の面倒を見続けられるわけでもありません。その場合には,代わって面倒を見てもらう人が必要です。

さらに,判断能力がなくなると,不必要な高価な品をたくさん買ってしまい,財産を無駄に散逸させてしまいかねません。

そこで,財産管理や身上監護事務(施設の契約など)を,本人に代わり,ちゃんと(有効に)行う人物が必要になるのです。



◆ 最後に
成年後見制度の必要性は今回お話したことに尽きるものではありません。
将来の相続財産争いを防ぐために利用されるケースも多いですし,判断能力の乏しい高齢者を狙った悪質な次々販売などへの対処にもつながります。


次回は,そこら辺りのお話と成年後見人は誰がなればいいのかというお話しをさせていただきます。confident

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