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「契約」とは?なぜ守らないといけない? 【身近な法律知識】

弁護士の仲田誠一です。

本当に寒いですね。
弊法律事務所と裁判所との10分程度の往復も辛いです。口に出すとよけい寒くなるのでいけないとは思いつつ、人に会うとついつい口に出てしまいます。

これから、身近な、しかもよく考えてみると難しいという法律の問題を【身近な法律知識】として随時紹介していきたいと思っています。
今回は、「契約」についてです。契約とは何か?という問題は、初歩的な話のようにも感じられるでしょう。でも、実は契約の成否や内容が裁判で争われるケースが結構多いんですよ。

契約とは何でしょう?簡単なようでしかし言葉で説明しようとすると難しいんです。
「合意」=「契約」でしょうか。
しかし、世の中の「合意や「約束」のすべてが法的に「契約」と評価されるわけではありません。
デートする「約束」などは法的には「契約」とは言えないようです。

では、「約束」あるいは「合意」と「契約」はどう違うのでしょうか?
難しい言い回しで恐縮ですが、合意内容が実行されなければ法的な手段によって強制される義務(権利)がある「合意」だけが法的に「契約」と評価されるのです。

次に、契約はいつ成立するのでしょうか?
「契約書」が作成されないと契約は成立しないと考える方がいらっしゃいますが、そうではありません。
契約というものは、原則として「申込」と「承諾」が合致すれば成立するのです。 一部の契約を除いて、口約束でも「契約」が成立します。
ただし、あとで言った言わないのトラブルになりかねません。そのため、契約書を作成して、証拠として残すのです。

もっとも、いつ申込と承諾が合致したのか、と評価できるかはなかなか難しい問題です。

例を1つを挙げてみましょう。
住宅を借りる場合には、下見、申込証拠金、重要事項説明、契約書作成、引渡し、といった流れになると思います。
どの段階で契約が成立するのでしょう?

不動産仲介業者へのアンケートの集計結果を見たことがあるのですが、業者の意見もまちまちでした。
契約書作成あるいは引渡しの段階で契約が成立していること、下見の段階では契約が成立していないことは問題ないでしょう。
それでは、申込証拠金を出して物件を仮押えしてもらったときや重要事項説明を受けたときはどうでしょう?

なかなか難しい問題ですが、法的に言うと、契約には、その契約類型ごとに要素(絶対に決まっていないといけない事項)があります。
それらの要素について合意した段階で契約が成立したと評価されることになると思います。

上の例で言うと、建物賃貸借の要素とは、
 ①主体(借主・貸主)
 ②物件(の特定)
 ③賃料
 ④賃貸借期間(返還合意)
といったところです。

契約の成立は、具体的な事情によって、それらがどの段階で合意されたか判断されることになります。

このように考えると、建物賃貸借契約では、少なくとも重要事項説明を受け了承すれば、契約成立と言っていいでしょう。重要事項説明にはそれら要素がすべて含まれているからです。
もちろん、ケースによってはその前に契約の成立が認められるケースもあります。

このように、具体的事情によって、また契約の種類によって、契約の成立時期は異なります。そのため、契約の成否が裁判で争われることが稀ではないのです。

今回は少し小難しい話で退屈でしたでしょうか。契約にまつわる問題はたくさんありますので、機会を見つけてご紹介していきたいと思います。


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