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家族の安心のために遺言を 2 【相続問題】

弁護士の仲田誠一です。

前回は、遺言がなぜ必要なのかについて、「相続の際の争いやトラブルを防ぎ、残されたご家族等の安心・幸せを守るためである」というようなお話をしました。
今回は、遺言の作成方法と注意点について簡単にお話します。

【遺言の種類】
遺言の作成というと、一般的には「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」が利用されるでしょう。
自筆証書遺言とは、その名のとおり、自署により作成します。正確には、遺言を作成する人が、遺言全文、日付及び氏名を自署し、それに印を押して作成します(民法968条)

公正証書遺言とは、これまたその名のとおり、公証人が作成するものです。原則として公証人役場に本人及び証人が出頭し、公証人が内容を聞き取った上で作成してくれます。

遺言は、方式を誤ると無効になってしまうものであり(「要式行為」といいます)、また表現を誤ると無駄になってしまうものです。
せっかくご家族のことを想って作成しても意味がなかったということにもなりかねません。将来の争いを確実に起こさない形であなたの意思を更生に残すためには、費用や手間がかかっても公正証書遺言が安心だと思います。
また、公正証書遺言は、家庭裁判所において遺言書を確認する「検認」という手続きの必要がないというメリットもあります。
遺言作成の細かい注意点は、またの機会にお話しますね。

【遺言の作成方法】
誰が作れるかというと、15歳以上であれば、原則として遺言を有効に作成できます。
ただし、成年後見人等には制限がありますし、判断能力がない状態では有効に作成できません。遺言の有効性については、痴呆の気がある方が亡くなる直前に作成した、特定の相続人に有利な遺言の場合によく争われます(他の兄弟などを出し抜いて作らせる人が結構いるんですよ)。
作成方法は、市販の書籍を利用して自筆証書遺言を作成するのが一番簡単なのは確かでしょう。

しかし、自分で作成した遺言が無効であったり、無駄になってしまう例 は少なくないんです。実際に私が扱った事案でも、亡くなられた方の面倒をずっと見ていた依頼者で、それに対する感謝の意味で遺言を作成してもらっていた が、遺言の表現が誤っていたために縁遠い相続人に遺産を多く取られてしまったという残念なケースがありました。
ちなみに、亡くなった方と親交がなく、突然遺産を受け取る人を、「笑う相続人」なんて呼んだりします。

あなたの思いを法的に有効な形で実現するために、また遺留分請求などの紛争を将来生じさせない遺言をするために、弁護士などの専門家に遺言作成の相談あるいは作成依頼をすることをお勧めします。
専門家に依頼すると確かに費用がかかるのですが、残される家族の幸せの保険料と考えれば高くはないと思います。


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