弁護士の仲田誠一です。
時間があるときは朝,散歩をしてから事務所に出勤するようにしています。朝日を浴びることで,体内時計がリセットされるので,散歩をした朝はいつも以上にやる気を持って、気持ちよく仕事に取り組んでいます。
さて,前回は、滞納管理費は特定承継人にも請求できること、住宅ローン破産が増えていることなどをお話しました。
今回は、その他の管理費問題についてお話します。
◇相続のために管理費が滞納されたら?
区分所有者に相続が発生したために管理費の滞納が発生した場合はどうなるのでしょう?
この場合には、法律的に滞納管理費は相続人の「連帯債務」になると考えられています。そのため、それぞれの相続人に「全額」を請求することができることになります。もちろん、二重、三重にもらえるわけではありません。一人から全額を回収できたとすると、あとは相続人間の問題となります。
相続人が全員相続放棄をしたらどうでしょう?実際に扱ったこともあるのですが、これは難しい問題です。相続人が不存在となってしまうと裁判所に相続財産管理人を選任してもらって請求をするという大変な手間がかかってしまうことになりそうです。抵当権がついている物件では、さらにややこしくなってしまう悩ましい問題です。
◇エレベーターを使用しない階の所有者からの管理費の減額請求にはどう対処すればよいのか?
エレベーターを使用しない階の所有者から管理費の減額を要求されるケースも多々あるようです。
管理費の金額は,原則として、専有部分の床面積の割合で決まります。そのため、エレベーターを使用しない階の所有者が不公平感を持つことがあるのです。
エレベーターは誰のためにあるのでしょう?
この点、エレベーターは誰でも使用ができます。また、エレベーターはマンション全体の価値を支えているとも言えます。これらのことから、エレベーターは建物全体の共用部分と考えられています。
そのため、組合決議などで管理費に差を設ければ別ですが、上記のような一方的な減額請求は認められがたいでしょう。裁判例もそのような判断をする傾向にあります。
3回にわたって管理費の問題をお話しましたが、マンションのトラブルはさまざまです。次回以降に、それらのこともお話ししたいと思っています。