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「債務整理をしたいけど・・・」 2 【借金問題】

弁護士の仲田誠一です。catface

前回は過払金返還請求の話で終わってしまいました。
過払金返還請求は,どの債務整理の方法をとってもついて来る話なので,始めにお話させていただきました。

今回は,ざっと債務整理の方法を眺めた上で(もう少し細かい話は次回にします),じゃあどの方法を選択すればいいのか,ということをお話したいと思います。

任意整理とは?
任意整理とは,裁判所を通さずに,債権者と弁護士などが直接交渉し,前回お話した引き直し計算をした上で,返済すべき金額を一括あるいは分割で返済していくものです。
もちろん,過払金が発生する先があるのであれば,それを回収して全体の借金を減らしていきます。

◆ 特定調停とは?
厳密に言うと違いはあるのですが,簡単に言うと,裁判所を通じて行う任意整理だと考えればいいと思います。
調停委員が債権者と話をしてくれます。
過払金の回収まではやってくれません。

◆ 自己破産とは?
個人の自己破産とは,裁判所に破産と免責(借金が棒引きになること)を申し立てるものです。財産や事情によって破産手続の詳細は異なりますが,裁判所から免責決定を受けると,借金が棒引きになります。
以前に書かせていただきましたが,個人が破産しても,一定の財産を残すことはできますし,破産手続自体によって生活ができなくなるということはありません。

なお,法人の場合の自己破産は,まさに清算手続であり,破産手続が終了するとその法人の法人格が消滅します。

民事再生とは?
民事再生も裁判所を通じた法的整理です。簡単に言うと,可処分所得を3年なり5年なり債権者に返済していき,残額をカットしてもらうものです。
住宅ローンを支払い続けながら他の債務を整理することもできます。

◆ あなたにとってどの債務整理の方法が最適か?
考えることは,大まかには,①借金総額,②毎月の返済可能額,③手放したくない財産があるか,④財産総額,でしょう。

まず,借金の総額がどれだけなのかを考える必要があります。そのためには,金利が高かった借入れがある場合には,取引履歴に基づいて引き直し計算をする必要があります。

そして,「毎月の返済可能額がどれだけ出るか」を,家計収支を作ってもらうなどして考えます。3年ないし5年で引き直し計算後の借金総額が返済できるようならば任意整理の方法をとることになると思います。
ただ,その際には,お子さんの学費など,ライフプランを考えた計画を立てる必要があります。

3年から5年で返済できない場合にはどうでしょうか?
その場合には法的整理を検討することになります。

ただ,どうしても手放したくない財産がある場合には,破産など法的整理の選択は難しいことになります。住宅ローン付の自宅の場合には,民事再生により自宅を残す方法があります。

もっとも,依頼者さんとじっくり話し合った結果,今後の生活を考えると住宅など財産を手放した方がいいという結論になるケースも実際に多いです。お悩みであれば,弁護士などの専門家と話し合ってください。いい解決方法があることも多いですよ。confident

また,財産が多い場合には,破産や民事再生が難しいケースもあります。その場合には,財産を処分して任意整理することになります。

簡単に書いてきましたが,考えることはまだまだあります。債務整理といっても,生活状況や財産状況は千差万別です。個々の依頼者さんとじっくり話さないと最適な解決方法は見つかりません。
上に書いたのは,本当の触りだけです。
実際には,弁護士費用,裁判所費用,ご職業(破産手続き中に就けない職業もあります)なども含めて,ご相談者の今後の生き方にまで入り込んでじっくり話合いをしなければいけません。

◆ ブラックリストとは?
債務整理のご相談の中でよくある質問として,ブラックリストの話があります。

ブラックリストとは俗称で,正確には,各金融機関が加盟している信用情報機関に登録される「債務整理」「弁護士介入」「自己破産」などのネガティブ情報のことを表しています。

債務整理をすると,加盟金融機関が信用情報機関に上のような情報を登録します。
その後に,新たに借入の申し込みなどをすると,申し込まれた 金融機関が情報を調べ(申込書の裏面などに小さく同意条項が入っています),借入やカードの作成を拒否します。要するに,上のような情報が登録されてし まうと,新たに借りたり,新たにカードを作成したりすることができなくなるのです。

でも,情報が登録されているのは5年から7年という一定期間です。一生借りられなくなるわけではありません。

ブラックリストに載りたくないというご相談者も確かにいらっしゃいます。
でも,多少の不便はあっても,苦しめられた借金とは一旦手を切っ て,一定期間は返済に集中するべきです。私は,債務整理がうまくいった依頼者さんのほっとしたお顔をいつも拝見しています。一度しかない人生です。借金や カードがない生活が今は想像できなくても,それは感覚が麻痺してしまっているからなのです。
ブラックリストを恐がる必要はありません。

なお,過払金請求の形になる場合には,信用情報にネガティブ情報を登録しないというのが,情報機関のルールとなっています。

◆ 最後に
債務整理は,事情をよくおうかがいした上で,どうすれば生活が再建できるのか,一緒に悩み,解決策を見出す必要があるものです。「一緒に解決策を見出す」というのは,話合いの中で依頼者さんにも決意をしてもらうということです。

巷では,簡単に債務整理ができるかのような宣伝も多いですが,あまり感心はできないところです。債務整理を商売としてしか考えない一部の弁護士などによるトラブルも聞こえてきます。

良心的な専門家であれば,きっと,あなたと一緒に悩んで,考えてくれると思います。お悩みの方は,是非一度相談してみてください。

 


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