弁護士の仲田誠一です(広島弁護士会所属)。
今年は,干支の組み合わせでは「申卯」の年だそうです。「申卯」は,「かのと・う」とか「しんぼう」とかと読むみたいです。
日本証券新聞のHPを見ると,「申」「卯」の年は,株の世界では縁起の良い年とされているようです。「卯」は跳ねる,「申」は新生,革新,を表すそうで,過去の株式相場の成績もおおむね良好なようです。
期待したいですね。
前回の「申卯」の年は,1951年,サンフランシスコ講和条約締結により日本が国際社会に復帰した年だそうです。
一方,地元の神社へ初詣に言った際には,神主さんから,今年は「しんぼう」の年だから,新しいことには挑戦せずに力を蓄えるよう言われて帰りました。
日々の研鑽を頑張って力を蓄えようと思います。
さて,前回,前々回と,債務整理についてざっと眺めてきました。
今回には任意整理,次回には自己破産について,もう少し詳しいお話をして,一旦,債務整理のお話はお休みにしたいと思っています。
◆ 法定金利を超える借入期間があれば残高は減る
以前にも書きましたが,法定金利を超える金利での取引期間があった以上は,過払金が出ないケースでも,法定金利で引き直して計算した結果として残った残債務を返済していくことになります。
過払金を回収するには,諸般の事情から,こちらで計算した過払金の100%を任意で回収するのは難しいところなのですが,残債務が残るケースでは100%差し引けるので,逆に効率的とも言えます。
◆ 時効にかかった過払金返還請求権の扱い
10年以上前に完済し,数年経って同じところから借り始めたケースでは,以前に書かせていただいたとおり,前の取引によって生じた過払金返還請求権は消滅時効にかかっています。
しかし,諦めてはいけません。
時効が完成した過払金返還請求権でも,今残っている残債務との相殺に使える場合があります。その場合は,新しい取引で残った残債務と時効にかかった過払金の差額を返すことになります。
◆ 遅延損害金,将来の利息はどうなるのか?
以前は,弁護士が入れば,ほぼ例外なく遅延損害金や将来利息をカットした形で和解ができました。
現在では少し状況が変わってきています。そのような形では和解をしてくれない業者も出てきています。業者の経営が悪化したり,身売りが続いて債権回収会社ばりの経営をする会社が出てきたためです。
もともと多重債務に苦しむ方の経済的更生を図るために先輩弁護士が築き上げてきたルールなのですが,それに応じない業者が出てきているため,現在,弁護士がそのような業者と戦っている状況です。
◆ 過払金が回収できた場合の扱い
当事務所では,過払金が回収できたら,よほどの事情がない限りには,他の残った債務の返済に回してもらっています。
任意整理は借金問題を解消するため,経済的に更生を図ってもらうためにやるものです。
回収できた過払金を返済に回して借金総額を減らすことがその目的に適うのです。
おそらく,一般的な法律事務所の扱いなのではないでしょうか。
◆ 弁護士費用
費用が恐いから債務整理をするのを躊躇した,お金がないから依頼するのを躊躇した,などのお話を聞くことが多いです。
心配しないで下さい。
良心的な弁護士であれば費用は柔軟に対応してくれます。
弁護士が受任すると一旦返済をストップさせるので,分割で弁護士費用を払うことが可能なケースが多いです。
また,一定の条件の下,弁護士費用を立て替えてくれる民事法律扶助制度を利用することもできます。
さらに,過払金が返る見込みが高い場合には後払い的な支払方法もできます。
まずは,相談してみることです。
◆ 最後に
今回は,任意整理について補足をさせていただきました。
債務整理を文章で説明すると,簡単なようでなかなか難しいところがあります。個々のケースに応じた対応が必要だからです。
債務整理を機械的な仕事だと考えて弁護士がろくに対応しない事務所も残念ながら存在するのですが,それは依頼者さんにとって不幸なことだと思います。
結局は,信頼できる弁護士選びが大事です。