弁護士(広島弁護士会所属)の仲田誠一です。
今回は,昨日の中国新聞の紙面をもとに,お話をさせていただこうと思います。
マツダが国内増産するという記事が載っていましたね。当事務所にも,マツダに関係するお仕事の方が多く相談に来られます。広島にとっては明るい記事です。
また,相撲協会の八百長の話も載っていました。薬物汚染,野球賭博,八百長疑惑と,普通の企業なら倒産してしまうほど大きな不祥事が続きますね。
どこかの本に,山一證券も一度の不祥事で倒れたわけではなく,企業体質を改善するチャンスとなる不祥事がその前に2回あった,三振アウトで終了だ,と書いてあるのを読んだことがあります。
大相撲も三振アウトとならないように,組織体質を改革していかなければなりません。コンプライアンスは,表面的にそれを謳っても,意味がありません。
◆ 蛸(たこ)配当
林原の違法配当の話もありました。林原と言えば,私が就職活動をした頃は優良企業の誉れ高かったような記憶があります。
違法配当は,「蛸(たこ)配当」と呼ばれていました。配当規制が変わってからはあまり言われなくなってきたようです。
真偽のほどはわかりませんが,たこは飢餓状態になると自分の足を食べて生き延びるという逸話から来た呼び名です。配当できるものがないのに,粉飾決算をして,本当は会社に残しておかないといけない財産(足)を食べて,配当に回すから,「たこ配当」です。
違法な配当は無効です。
そこで,会社は、株主に対して、交付を受けた金銭等の帳簿価額に相当する金銭の支払いを請求することができます。
また、その職務を行った業務執行者等は、会社に対して、株主と同じ責任を負い、職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明した場合にのみその責任を免れます。
業務執行者等には、刑事罰も課されます。この点が新聞報道に載っていました。
さらに,会社債権者も、株主に対して、違法分配額を、自己の債権額の範囲内で、直接自己に支払うよう請求することができます。
◆ 最後に
今日は,新聞記事をもとにお話をさせていただきました。
会社法など事業活動に関連する種々の規制の中には,役職員の刑事罰も定められているものが意外に多くあります。
また,表面的なコンプライアンス体制を構築しても意味がありません。コンプライアンスの肝は,経営意識(経営理念)と不祥事を防ぐシステム作りです。
またの機会にお話しますね。