広島県広島市の弁護士仲田誠一です。
今回は贈与税のお話をします。
贈与税というものをご存知でしょうか。言葉は聞いたことがあるのではないでしょうか。
私は、広島大学大学院法務研究科(ロースクール)で租税法の講義をしています。
税金の法律を教えているのですが、税金は、所得税なら所得税法、法人税なら法人税法という法律に基づいて課税されています。
主に所得税法、法人税法について講義していますが、相続税法の講義もします。
贈与税には贈与税法という法律はありません。ご存知でしたか。
実は、相続税法の中に贈与税の規定があるのです。
誤解を招くことを恐れずにわかり易く説明すると、贈与税とは相続税を確実に徴収するために、生前に財産を移動することを制限するための税金と言えます。
相続税の補完税です、だから相続税法に贈与税が規定されていると理解することができます。
講義のメインは所得税法と法人税法なので、あまり相続税法は触れられないのですが、弁護士実務上は、贈与税のリスクに至る所で接します。
そのため、意識して贈与税のことは講義に入れることにしています。
贈与税の目的は相続税を確実に取るためです。
だから、贈与税はべらぼうに高い税率です(一番と言ってもいいです)。
生前贈与することを躊躇するような税金がかかるのですね。
そのため、一般に、税金がかからない分だけ(基礎控除分だけ)毎年贈与をする暦年贈与というものが行われたりします。
また、事業承継のように生前贈与が社会的に要請される分野や、住宅建築促進・世代間の資産移転等の政策目的が絡む住宅資金や教育資金などの分野で、贈与税がかからない特例制度が設けられています。
特例を作り贈与をし易くしているのですね。
そうでないと誰も生前贈与しませんから。
名目がはっきりしない経済的価値の移転は贈与とみなされる危険があります。
また、時価と乖離した取引をする場合も同じような危険があります。
何かイレギュラーなことをする際、例えば親族間で安く株や不動産を売買(低廉売買)するときは、贈与課税がなされる可能性を検討する必要があります。
離婚の財産分与も均衡がとれていない場合は、贈与税課税のリスクがあります。
弁護士として示談をする際も例外ではありません。
その名目・解決方法によって贈与税課税のリスクも生じます。
気を付けないといけませんね。
課税庁に否認され贈与税を課されると無申告加算税あるいは過少申告加算税も加わりますね。
また、贈与税は、相続税もそうですが、連帯納付義務が定められています。贈与された方だけではなく、贈与した側も贈与税の納付義務が課されるのです。
怖いですよね。
そのため、贈与する場合には、きちんと相手方が申告をして納税をするのか確認した方がいいのです。
贈与税に限らず、物が動く、お金が動く場合には何かしら税金がかかる可能性があります。常に課税関係を意識しないといけません。
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広島の弁護士 仲田 誠一
なかた法律事務所
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