旧コラム

現在のコラムはこちらから

夫婦が債務整理するときの住宅資金特別条項 [借金問題]

広島県広島市の弁護士仲田誠一です。

今回の謝金問題コラムは、個人再生における住宅資金特別条項(いわゆる住宅ローン特則)のお話です。


住宅ローンを支払い続けて住宅の維持をされたい場合の債務整理は、個人再生を選択して住宅資金特別条項を利用するのがスタンダードです。

ただし、夫婦共に債務整理をする際には、各夫婦がケースバイケースで各手続の選択を考えないといけません。
ご夫婦とも債務過多になっており同時に債務整理をすることが必要なケースは多いです。
パターンによっては住宅資金特別条項が利用できないケースもあります。

配偶者が他方配偶者の住宅ローンの保証人や連帯債務者にもなっていない、かつ不動産の所有権持分も持っていないというケースでは、単純に住宅ローン債務者の配偶者が住宅資金特別条項を利用して個人再生を進めればいいだけです。
そのような例も多いですね。
住宅ローンには保証会社が付いていますので、配偶者を保証人等にするのは、借入金額が大きく収入を合算しないと審査に通らなかった場合や不動産が共有である場合に限られている傾向があります。

配偶者が連帯保証人や連帯保証人になっているケースではよくよく吟味しなければいけません。
細かいですが、場合分けをして説明します。

 

1 夫名義の住宅の場合(妻の場合もありますが逆に読んでください)
 

【妻が連帯保証人の場合】

住宅ローン抵当権の債務者が夫だけの場合は(通常そうなっています)、妻が個人民事再生を選択しても住宅ローン特則が使えません(勿論夫は利用できます)。

妻の債務整理は、任意整理をするか、自己破産あるいは個人民事再生を選択した上で住宅ローン債権者と交渉することになります。
妻の自己破産あるいは個人再生により、夫の住宅ローンの期限の利益を喪失されないようにしなければなりませんから。
連帯保証人の自己破産、民事再生申立てが期限の利益喪失条項に挙げられているのが一般的です。

この場合、交渉により期限の利益を喪失しない扱いにしてくれることも多いです。

 

【妻が連帯債務者である場合】

住宅ローン抵当権に夫妻両名が債務者とされている場合でも、所有者である夫しか住宅ローン特則の利用ができません。
 

妻は、住宅資金特別条項付きの個人再生を利用できませんから、上述の連帯保証人となっているケースと同様のことをしなければなりません。

 

2 夫婦共有の住宅の場合
 

【妻が連帯保証人の場合】

理屈は難しいところですが、夫婦が同時に個人再生を申し立てる場合は、夫婦ともに住宅資金特別条項が使えるとされています。
そうでないと、住宅資金特別条項の制度趣旨に反するからです。

 

【夫婦が連帯債務者である場合】

住宅ローン抵当権に夫妻両名が債務者とされている場合には、夫婦とも住宅ローン特則が利用できます。

 

【夫婦がそれぞれ個別に住宅ローンを負担している場合】

ペアローンと呼ばれますね。
それぞれの住宅ローン抵当権に夫、妻が債務者と登記されているのであれば双方とも住宅ローン特則が利用できます。
ただし、この場合も夫婦が同時に個人再生申立てをしなければいけません。

 

整理をすると上述のような感じになります。

一般的に、夫婦の連帯債務の場合は住宅資金特別条項を利用できる可能性は高いでしょう。

片方が連帯保証人である場合や、夫婦が同時に申し立てられない事情がある場合には、住宅資金特別条項が使えないケースが出てきます。

 

個々に挙げたほかにも、ペアローンの場合の保証関係など、住宅資金特別条項の利用にあたっては細かい議論があるところです。
 

住宅資金特別条項が使えるかどうかは他の要件にも関わりますので、必ず弁護士に相談の上で検討してください。
住宅ローン特則が使えない場合には、別の方法を早めに検討しなければなりません。

その際は、ローンの契約書と登記簿謄本を忘れずに持って行ってください。
そうでないと弁護士も判断ができません。

 

債務整理(任意整理、個人再生、自己破産等)のサポートはなかた法律事務所にご用命を。

 

広島の弁護士 仲田 誠一

なかた法律事務所

広島市中区上八丁堀5-27-602

https://www.nakata-law.com/

 

https://www.nakata-law.com/smart/

 


アーカイブ 全て見る
HOMEへ
082-223-2900

PCサイト