広島県広島市の弁護士仲田誠一です。
今回の相続問題コラムでは、相続問題と債務整理にまたがる、孤独死にまつわるお話をします。
孤独死が社会問題化して久しいですね。そのような相談を受けることがあります。
その多くは、相続放棄あるいは不動産賃貸借契約の連帯保証債務に関する債務整理の相談です。
孤独死の場合、運悪く一定期間見つからなかった場合、腐敗等が進み原状回復費用が膨大な金額になります。
場合によっては、床、壁、水回り、電気設備すべてを取り換える必要があるケースもあります。
一旦スケルトンにして原状回復するのですね。
それらの損傷は、貸主負担となるべき経年劣化、通常損耗による損傷ではありません。
補修の必要性が認められる限りですが、それらの修繕費用も原状回復義務の範囲になります。
自殺の場合はある程度仕方がないとは思いますが、自然死でも原状回復義務が莫大な金額になり得るということは非常に怖いです。
最近、やや借主側に厳しい裁判例が出ています。
数百万円を超える原状回復義務が認められました。
ますます怖いことになっています。
ご相談者が単なる相続人である場合は、相続放棄を勧めれば済むことです。
相続放棄をすれば亡くなった方の原状回復義務を引き継ぐことはありません。
しかし、ご相談者が不動産賃貸借契約の連帯保証人である場合は困ります。
相続放棄をしても連帯保証債務は残るからです。
自己破産をして連帯保証債務を免れるか、保証人の責任の範囲を正面から争うかになります。
ただ、裁判で争うとなると、場合によっては上述のとおり厳しい判断が出る可能性があります。
自己破産ができない方については、ある程度の金額で折り合いが付くのであれば示談をして解決するのも妥当かもしれません。
不動産賃貸借契約の連帯保証人になる際には、数百万円を超える責任を負う可能性があるなんて想像していませんよね。
上述の裁判例の判断は妥当なのかと疑問です。
そのような議論もされているようです。
不動産賃貸借の連帯保証人になっている方は、極論を言えば、1~2週間隔で生存確認をしないと怖いことになります。
非現実的ですよね。
一方、家主側も修繕義務を負担することは納得いかないのが当然でしょう。
また、家主が負担すべきとなると、単身高齢者に賃貸住宅が供給されなくなるかもしれません。
本来は、だれが負担するかの問題ではなく、そういう場合に適用できる保険を用意して対応すべき事柄ではないかと思います。
そのような保険もあると聞きます。
勿論、孤独死が発生しないような世の中になることが理想ではございますが、今後増えることはあっても減ることはなさそうです。
身近な問題となっていくかもしれません。
自己破産などの債務整理、遺言、相続、遺留分、相続放棄等、相続問題のご相談はなかた法律事務所へ。
広島の弁護士 仲田 誠一
なかた法律事務所
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