広島県広島市の弁護士仲田誠一による相続問題コラムです。
相続放棄を考える際に悩むケースの1つとして、
相続財産は多少ある、
それよりも大きい債務がありそうだが古い債務なので時効援用できるかもしれない
という場合があります。
相続放棄と消滅時効援用の関係を考えないといけないケースですね。
被相続人に借金と財産があり、借金の多くが消滅時効にかかっている可能性が高いとしましょう。
相続放棄をすれば借金を引き継ぎませんが、財産も引き継げません。
一方、借金の多くが消滅時効を援用して債務を消せるのであれば、その結果財産の方が大きくなることもあります。
そうであれば相続放棄する必要がありませんね。
ただ、相続人による消滅時効の援用にはリスクがあります。
消滅時効援用通知行為は、それ自体が単純承認行為(相続を受けたとされる行為)と解釈されていますようなのです。
そうであれば、時効援用通知を送ってみたところで、相続人の知らない時効中断事由(支払督促、裁判、返済などの承認行為等)があって時効が完成していない場合、困りますね。
債権者から時効援用の事実を突きつけられると、相続放棄の効果は否定され、債務を引き継ぐ可能性があります。
そのため、相続放棄の可能性がある限り、消滅時効の援用は慎重に検討しなければなりません。
被相続人の債務の調査ということで、単純承認行為とならない形で、時効中断事由があるかどうかを債権者に確認することになるでしょうか。
時間がかかるのであれば、家庭裁判所に熟慮期間の伸長を申し立ててじっくり調査をすればいいですね。
財産が小さくて相続放棄ができるのであれば、時効の援用など考えずに相続放棄をすることでいいとは思います。
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広島の弁護士 仲田 誠一
なかた法律事務所
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