広島県広島市の弁護士仲田誠一です。
今回の企業法務コラムは、特別利害関係人と取締役会、株主総会の関係のお話です。
企業法務サポートにおいては、取締役会あるいは株主総会の議事録を作成することも多いです。
議事録作成時には、取締役会あるいは株主総会における決議に特別な利害関係がある取締役あるいは株主の扱いが気になりますね。
まずは株主総会です。
株主総会においては、決議内容に特別な利害関係のある株主でも議決権を行使することができます。
株主総会の議長にもなれるとされています(なお、以前は議決権行使が許されませんでした)。
ただし、特別利害関係人の議決権行使の結果として著しく不当な決議がなされた場合には決議の取消事由とされています。
原則は議決権行使が許される、例外として資本多数決の濫用は許さないということです。
なお、会社が自己株式取得を承認する一定の決議においては、相手方の株主は議決権を行使できないと特別に定められています。
次に、問題が生じる取締役会です。
取締役会設置会社における取締役会では、決議について特別の利害関係を有する取締役が議決に加わることはできません(その場合、定足数算定の基礎の人数にも算入されません)。
株主からの委託を受けている取締役の忠実義務から決議の公正を期す必要があるということでしょう。
違反をすれば原則として決議は無効となります。
勿論、特別利害関係取締役は、議長にもなれません(既に議長である場合には権限を失います)。
特別利害関係取締役には意見陳述権もなく、退席を要求されれば退席する必要があります(出席していること自体では無効とはならないとされているようです)。
特別利害関係人の存在は、譲渡制限株式の譲渡承認、競業取引・利益相反取引の承認、会社に対する責任の一部免除、代表取締役の解職決議(争いはありますが判例があります)、等実務上よく目にする場面です。
議事録を作成するときに悩ましいです、決議毎に議長や議決権者を変更する等ややこしいことを考えないといけません。
例えば、譲渡制限株式の譲渡承認ですが、株主総会で承認できる会社であれば、オーナーさんあるいはご夫妻が株主であることが多いので、全員出席株主総会を開いてもらえれば簡単に臨時株主総会を開いて譲渡承認手続ができますね。
しかし、取締役会設置会社では定款で別段の定めをしていないと取締役会で譲渡承認をしなければなりません。
取締役会開催にあたっては、オーナーご夫妻以外の取締役や監査役も絡んでくる。
かつ、特別利害関係取締役の議決権がないということで、手続きが面倒になるケースもなるということです。
なお、よく質問を受けることですが、取締役会における代表取締役の選任決議での候補者取締役は特別利害関係取締役に当たりません。
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広島の弁護士 仲田 誠一
なかた法律事務所
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