広島県広島市の弁護士仲田誠一です。
相続問題コラムです。
相続放棄に関して、民法921条では単純承認の効果を生じる法定単純承認行為が定められています。
そのような行為をすると相続放棄が理屈上はできなくなる、あるいは既に行った相続放棄の効力が認められないのですね。
法定単純承認行為の中でよく相談を受けるのは、相続財産の「処分」です。
「処分」に相続財産の経済的価値は関係してくるでしょうか。
ゴミの廃棄も「処分」の1つとも言えますよね。
判例等では、経済的に重要性を欠く(あるいは一般経済的価値のない、交換価価値を失った)物の形見分けのような処分は「処分」に該当しないとされています。
処分価値のない物の廃棄処分も当然許されます。許されないと困りますね。
ただ、個々の物についての線引きが難しいので慎重に判断しなければなりません。
中には、しばらく保管をしておいて、ほとぼりが冷めたら処分をするようにアドバイスせざるを得ない物もあります。
そこで、今回は電話加入権のお話をいたします。よく聞かれますので。
電話加入権の引継ぎはどう扱われるのでしょうか。
現在では電話加入権は確かに財産的価値が乏しいです。
ただし、一般的経済的価値がないと言い切れません。
相続財産の承継は法定単純承認事由に該当することが原則論です。
電話加入権の承継が単純承認行為にはならないという判例が出てこない限り、電話加入権の承継(名義変更)はリスクが高い行為として避けるべきとアドバイスせざるを得ません。
どうしても被相続人の電話加入権を継続して使いたいのであれば、支払口座あるいは使用者を変更して使い続けること自体は大丈夫でしょう。
処分ではなく管理行為にすぎないと見られるのではないでしょうか。
相続放棄を考えられている方は、様々なことを確認してから物事を進めてください。
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広島の弁護士 仲田 誠一
なかた法律事務所
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