広島県広島市の弁護士仲田誠一です。
今回の企業法務コラムは、以前にもお話ししましたが、従業員のマイカー通勤・自転車通勤のリスクについてもう一度お話します。
従業員の通勤事故において、使用者である会社が使用者責任を問われるケースが増えていることはお話ししました。
会社が責任を負う場合、損害賠償額が自賠責を超える高額なものになる場合も珍しくなく、会社にとって大きなリスクなのです。
中小企業がいきなり1億円なんて賠償責任を負うと経営危機ですよね。
企業としては、マイカー通勤を許容するかどうかを明確に定めきちんと管理をしなければいけません。
許容しない場合には、徹底的に禁止をします。
許容するのであれば、任意保険(原則として対人対物無制限)の加入を条件として、従業員の保険加入状況を定期的に確認してください。
規程の整備も必要ですね。
保険証券の定期確認の際には、期限や保障内容だけではなく、「使用目的」の確認を忘れずに。
月一定以上の日数(保険会社により15日など基準が定められています)を通勤に使っているにもかかわらず、保険の使用目的が「通勤・通学」ではなく「日常・レジャー」になっている場合、事故時に保険会社が対応しないリスクがあります。
使用目的によって保険料に差があるので、一番安い「日常・レジャー」になっていることが多いです。
本人が意識しないでも代理店がそうしているケースもあるようです。
マイカー通勤を許す場合には、使用目的が「通勤・通学」になっているか確認しないといけませんね。
自転車事故による損害賠償高額化の問題もお話ししましたね。
自転車保険は保険料が安いですし、火災保険や自動車保険の特約(個人賠償保険特約)で自転車事故がカバーできる場合もあります。
自転車についてもやはり自動車と同じような管理をするべきだろうと思います。
通勤事故の発生頻度は少なくても、一度でも起きると金額が大きい場合があります。
損失額×発生確率で考えると、通勤事故のリスクは相応なものと評価され、きちんとした対処が必要になります。
基本的な管理はそう手間がかかることではありませんので、きちんと管理してください。
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広島の弁護士 仲田 誠一
なかた法律事務所
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