広島県広島市の弁護士仲田誠一です。
今回の借金問題コラムは、債務整理のうちの自己破産のお話です。
自己破産においては、破産法で免責不許可事由が定められています。
そのような事実が存在する場合には免責を原則許可できないということです。
ギャンブル、浪費等の財産散逸、不公平な弁済(偏頗弁済)などが典型ですね。
これに対し、免責不許可事由がない場合には、権利として免責がされます。これを「権利免責」といいます。
自己破産を申し立てても、免責不許可事由があれば免責決定が受けられないのでしょうか。
実はそうではありません。
権利免責と異なり、免責不許可事由があれば、原則として免責を得られません。
しかし、裁判所は、その場合でも「裁量免責」という形で免責することができます。
実務上は多く事例で免責不許可事由があったとしても裁量免責で救われています。
免責不許可事由が悪質・重大な場合には、免責不許可となる、あるいは事実上破産開始決定前に自己破産申立ての取り下げを勧奨されることになります。
ただ、その例は統計的にごくごく例外です。
よほどの事情があるときですね。
自己破産をしなければならないケースでは何らかの問題を抱えていることが多いです。
問題になる行為があったとしてもあきらめる必要はありません。
当職は破産管財人として一度だけ免責不許可の意見を出したことがあります。
が、ただ一度だけです。
そのケースは2度目の破産で前回と全く同じ浪費行為が借金の理由となっていた事案でした。
申立代理人の立場ですと、一度も経験がありません。
なお、予め免責不許可事由が重大・悪質で免責を得るのが厳しいと判断できるケースでは、個人再生を利用することもアドバイスしております。
個人再生では、免責不許可事由がありませんから。
ただし、破産手続でいう否認対象行為(偏頗弁済、無償行為等)がある場合には、個人再生においても清算価値に計上するとことを要求されます。
場合によっては、小規模個人再生でも計画弁済額が債権額の5分の1よりも大きくなることがありますね。
なお、自己破産においては、免責不許可事由の度合により、免責調査型の管財事件になる可能性があります。
免責不許可事由の程度によっては予納金の準備も考えないといけません。
それでも、最終的には免責決定ができることが大多数です。
勿論、免責不許可事由があっても同時廃止で終わるケースは多いですよ。
その場合、ケースによっては、
破産開始決定の際に債務者審尋が入り裁判所に呼ばれる、
あるいは免責審尋が集団免責期日ではなく個別審尋期日になる、
といったこともあります。
裁判官と面談をするということです。
債務整理(任意整理、個人再生、自己破産等)のサポートはなかた法律事務所にご用命を。
広島の弁護士 仲田 誠一
なかた法律事務所
広島市中区上八丁堀5-27-602