広島県広島市の弁護士仲田誠一です。
今回の離婚問題コラムは家庭内別居から離婚に至るケースのお話です。
離婚の種類には、協議離婚、調停離婚、裁判離婚とあります。
なお、審判離婚もありますが実務上はほぼ使われません。不服申し立てをされると意味がなくなるためです。
協議離婚、調停離婚は当事者の合意に基づきます。
当事者間で合意をするか、調停を申し立て調停成立の形で合意をするかの違いです。
これに対して、裁判離婚は法定離婚原因が必要です。
強制的に離婚を認めるものだからです。
その中で最も多いのが、「その他婚姻を継続し難い重大な事由」です。
婚姻関係が破綻したら離婚を認める破綻主義を採用したと言われている条項です。
不貞行為などの他の法定離婚原因がなくても婚姻関係の破綻が認められたら離婚できるのですね。
婚姻関係破たんの判断で、大きなものは、別居期間ですね。
3年の別居があればいい、いや2年だ、など色々な見解はありますが、明確な基準があるわけではありません。
実際には他の事情も合わせ考慮して婚姻関係が破綻したかを判断することになります。
また、調停、訴訟をしていくと、別居期間がその分長くなります。
2,3年待って調停や訴訟を申し立てる必要があるわけではありません。
ある程度の別居期間があると、訴訟でも、裁判官から和解を強く勧められることが多いです。
仮に一審で離婚が認められなくても、控訴されるとその時点ではさらに数か月から1年経ちます、離婚が認められ易くなるのです。
家庭内別居はその別居期間にカウントしてくれるのでしょうか?
理屈では家庭内別居も別居です。
ただ、家庭内別居であるということ自体がなかなか認められません。
財布が別だ、夫婦として行動していない、性的交渉もない、経済的理由から別居できなかった等々の婚姻関係破綻の間接事実を主張・立証をすることになります。
実務上ハードルはやや高いなという感覚です。
物理的に別居ができない経済的理由等もあるのだからもう少し柔軟に考えて欲しいとは思っておりますが。
家庭内別居の離婚訴訟もやったことはありますが、裁判所に家庭内別居の証明について宿題を出されます。
ということで、家庭内別居をする場合には、できれば、当事者間で家庭内別居であることと費用や住み方の取り決め内容を記載した書面を交わしておくことをお薦めします。
家庭内別居が成立したことの有力な証拠になります。
勿論、弁護士に相談して書面を作った方がいいでしょう。
後で家庭内別居が始まったと認めてもらえるような書面を作成してもらってください。
なお、家庭内別居を前提として、早めに離婚調停や婚姻費用分担調停をしておくということも一つの方法にはなりますね。
離婚、婚姻費用、養育費、財産分与、慰謝料請求等、離婚問題のサポートはなかた法律事務所にご用命を。
広島の弁護士 仲田 誠一
なかた法律事務所
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