弁護士の仲田誠一です。
下請法の関係で事業者に対する調査が入った事例を広島でも目にしましたので、ご紹介します。
下請法をご存知でしょうか。下請業者を守るためにできた法律です。一般に認知されているとは言えない状況ですが、違反には課徴金が科せられる等恐い法律です。
下請法には、下請代金の支払遅延の禁止等様々なことが決められているのですが、その中に下請業者との取引を公正化するために発注毎に交付すべき3条書面と 下請業者ごとに保管すべき5条書面というものが定められています。個々の取引ごと(業種により特定できる限りで)に、取引条件を明確化し、その履行を確認 するための書面です。
広島で目にした事例は、上記書面の作成等を問う調査でした。
仮に調査をされてしまうと、現時点できちんと法律の要件を満たす書面を発行・保存をしている企業は少ないでしょう。
業務内容との兼ね合いで、できる限りの範囲で法定の要件を充たす書類の作成をしておくことが望まれます(もちろん、下請相手にかかわらず、取引条件を書面化しておくことは経営者の経営管理として当然に必要とされることです。何らかの書面なしで契約をすることは危険です)。
そのため、当該企業に適する書面を効率的に作成し、(当たり前のようにできてかつ手間をかけない形で)ルーティン化しておくことをお勧めします。
なお、下請法の適用があるケースは、通常の業種で、次のようになります(もちろん、該当しない場合でも法定書面に類した書類ぐらいは作成したいところです)。
御社が資本金3億円超の場合
⇒ 相手が資本金3億以下の法人か個人事業者の取引
御社が資本金3億以下の場合
⇒ 相手が資本金1000万円以下の法人か個人事業者の取引
どこまで準備をすべきかなかなか難しい問題です。一度、顧問弁護士など専門家に相談してみてください。
また、様々な法改正等が続く中、企業法務も日常的な見直しが必要となっていると感じます。顧問弁護士がいない企業さんは顧問弁護士に日常的に相談し、また日常的に情報提供をしてもらえる体制を準備していくこともお考えになったらどうでしょうか。