広島県広島市の弁護士仲田誠一です。
最近、自己破産における破産管財人だけではなく、個人再生における個人再生委員を受けるようになりました。
そこで、今回の借金問題コラムは、個人再生委員の仕事などを紹介いたします。
本人申立てや司法書士さんの案件で申立人本人が手続をよく理解していない等の問題がある場合や、弁護士代理案件でも開始要件や清算価値に疑義が生じ得る案件などに個人再生委員が選任されているようです。
別除権協定を締結する場合には個人再生委員が原則として選任されます。
個人再生委員の仕事とはなんでしょうか?
1 再生債務者の財産及び収入状況の調査
2 再生債権につき適法な評価申立てがあった際の裁判所の補助
3 再生債務者が適正な再生計画案を作成するために必要な勧告の実施
とされています。
まあ1と2がメインですね。
個人再生委員は、破産管財人と違って、財産の管理処分権を有しません。
手続全般に関してサポート・監督をするといいったイメージでしょうか。
まず、意見書(開始要件)の提出期限が選任後3週間後ほどとタイトなんです。
だから色々な資料の提出等を急いでもらいます。
ここで、開始要件を充足しないと判断できる場合には、取り下げを事実上勧奨したりもします(取り下げてもらわないと棄却相当の意見書を出すことになります)。
調査の目的は、
将来において継続的または反復して収入を得る見込みがあるか
破産手続開始の原因となる事実の生ずるおそれがあるか
再生計画案の作成もしくは可決の見込みまたは認可の見込みがないことが明らかではないか(財産状況、履行可能性を見ます)
を見るためです。
財産状況では、清算価値保障原則違反となる見込みの有無があるかどうか見て、是正を勧告しないといけません。
この点で、破産事件における否認対象行為については適正に清算価値に計上してもらわないといけないことにご注意ください。
免責不許可事由がある場合に自己破産ではなく個人再生を選ぶ方も多いと思います。
否認対象行為は個人再生においても問題視され、清算価値の計上が求められ場合によっては最低弁済額が大きくなるという形で影響してきます。
履行可能性では、継続的に家計収支表を提出してもらう、定期的な積立用口座の確認も必要です。
要するに、個人再生委員は、開始決定前の意見書の段階ですべてのことを調査しないといけないということですね。
やはり時間的にタイトです。
開始決定後の仕事は、前述の仕事を継続するということです。
家計収支表の提出と試験積立金口座の継続的な提出もお願いします。
その上で、再生計画案及び弁済計画表の作成指導をします。
個人再生を申し立てる方で、弁護士が代理人になりかつ特に問題がないという場合は別として、そうでない方は個人再生委員が選任される可能性があることを知っておいてください。
そして、個人再生委員は上述のような仕事をしておりますので、ご参考にしてください。
なお、個人再生委員が選任される場合に裁判所に納める予納金は、20万円がスタンダードでしょうか。
勿論ケースによってもう少し多いときもあります。
債務整理(自己破産、個人再生、任意整理等)のサポートはなかた法律事務所にご用命を。
広島の弁護士 仲田 誠一
なかた法律事務所
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