広島県広島市の弁護士仲田誠一です。
債務整理のうちの個人再生のお話です。
家を残したい方が債務整理(法的整理)をする場合は、自己破産でなく、個人再生を選択し、かつ住宅ローン特則(住宅資金特別条項)を利用しますね。
そうすれば、住宅ローンを返済し続けながら、他の債務を圧縮して返済する形で債務整理ができるわけです。よくあるケースになります。
実は、住宅資金特別条項は、自宅不動産に住宅ローン以外の担保権(典型的なものが消費者金融の不動産担保ローン)が付いていたら利用できません。
債権者間で不公平になるからです。
債権者間で不公平が生じるような場合には住宅資金特別条項が使えないルールが定められています。これもその1つです。
不動産担保まで差し入れてお金を借りる状態であれば、将来債務整理をする可能性が十分あるとも言えます。
できれば、自宅不動産に他の担保を付けてお金を借りることは避けたいですね。
では、住宅ローンと同時に諸費用ローンを借りて、双方とも自宅不動産に抵当権が付いている場合はどうなのでしょうか。珍しい話ではありません。
やはり、住宅ローン以外の担保権が付いているとうことで住宅資金特別条項は適用できないのでしょうか?
実は、諸費用ローンは原則として住宅資金借入れとは見てくれません。
しかし、ここからが大事なのですが、運用上、諸費用ローンを住宅資金借入と見てくれて住宅資金特別条項(住宅ローン特則)が使えるケースがあります。
理屈上は、諸費用ローンが、住宅の建設もしくは購入に密接に関わる資金であり、諸費用ローンの額が住宅資金に比べて僅少な場合に、諸費用ローンを住宅資金貸付と扱ってくれる傾向です。
具体的には、金額の例として、住宅ローン1900万円と諸費用ローン180万円、住宅ローン2600万円と諸費用ローン250万円が挙げられています。
私が実際に扱った例では、住宅ローン1800万円と諸費用ローン180万円でした。
気付きましたか?諸費用ローンは通常住宅ローンの1割程度なのですね。
銀行が諸費用は大体1割ぐらいかかるだろうと考えているのでしょう。
通常の銀行の諸費用ローンであれば、金額の面は基本的にクリアできます。
後は使い途ですね。
諸費用ローンの契約書に、住宅の建設もしくは購入に密接に関わる登記費用、仲介手数料、税金、保険料等の使途が明確に記載されている場合はそれで説明できるでしょう。
契約書にそのような記載がない場合には、領収書等により使い途を説明をする必要があります。
勿論、諸費用ローンで借りたお金を別の物に使う例はあまりないでしょう。
ということは、諸費用ローンがあっても使い途をきちんと説明さえすれば住宅資金特別条項が使える可能性が高いとも言い得ます。
ただし、個人再生手続について注意をしていただくことがあります。
諸費用ローンがある場合には、個人再生委員の選任がなされる可能性が相応にあるということです。
諸費用ローンを住宅資金貸付と認めることは例外的な扱いなので、念のため個人再生委員の意見を聞いて裁判所が判断するということですかね。
なお、個人再生委員が選任される場合の裁判所への予納金は20万円+αがスタンダードと言えるでしょう。
この点も頭に入れてくださいね。
まとめると、諸費用ローンの担保が付いていても個人再生における住宅資金特別条項(住宅ローン特則)が利用できる可能性は高い、しかし個人再生委員の選任の可能性も相応にあるということです。
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広島の弁護士 仲田 誠一
なかた法律事務所
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