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法人の自己破産の相談ポイント [借金問題]

広島県広島市の弁護士仲田誠一です。

 

法人の自己破産もお手伝いすることも割合多いです。法人の破産管財人もコンスタントに受けております。

 

法人の自己破産は、個人の自己破産と異なり、契約まで、あるいは受任通知までに、いろいろな整理をしていかないといけません。

時間があまりない中でご依頼者様にも頑張っていただかなければなりません。

 

そこで、法人の自己破産相談についてのポイントなどをお話します。

 

【方針として自己破産を選ぶかどうかの問題】

法人の自己破産をご相談に来られる理由は、

1 資金面で、今月あるいは来月の支払ができない。

2 業績面で、業績回復が見込まれず長期的に債務弁済の見込みが立たない。

3 後継者面で、後継者もおらず業績も不振が続いているためリセットしたい。

が多いでしょうか。

 

1の場合

慢性的な資金ショートか短期的な資金ショートかの見極めが大事ですね。

銀行の借入れの条件変更(リスケ)+協力仕入先の条件変更で対応できるのであれば、敢えて今自己破産を選択する必要はありません。
向こう数か月程度の資金ショートだけ乗り越えればいいですよね。

この点、借り換え資金が出ずに資金ショートをする会社さんが多いです。その際にはリスケも検討します。借換資金が借りられなくても返済を止めれば資金はその分余ります(最近は銀行からはリスケに当たって事業計画あるいは再建計画の提出を要請されることが多いです)。

これに対して、資金ショートが慢性的あるいは慢性的と予想される場合は、次の2の話になります。

 

2の場合

会社再建のイメージが掴めるかが大事です。

①リスケの上で一定額の弁済資金が捻出できる見込があり、②業績回復の上で多額の債務を弁済していける青写真が描けるか、ですね。この点の見極めが大事です。

現状維持だけのためのリスケは単なる時間稼ぎになってしまいます。仮に業績回復が見込まれないというのであれば、自己破産の資金手当てができるうちに自己破産をされる方が関係者に対する迷惑も最小限に抑えられることになるでしょう。

この点は、社長様の意欲、ビジョンに負うことも大です。経営決断の最たるものですね。

勿論、自己破産の相談に来られても、打ち合わせの中で、事業継続を選択する社長さんもいらっしゃいます。
その場合には、銀行のリスケと個人債務の任意整理により資金繰りを落ち着かせて後は業績改善に頑張ってもらうことになります。再建計画策定や銀行等の交渉をお手伝いすることになります。
一方で、業績低迷が続く中、決断ができずに債務だけを増やしていっている例もあり(多くの場合、営業縮小に走りより身動きができなくなります。)、その場合には自己破産をお勧めせざるを得ません。法人破産の破産管財人をしているとそのような例が多いですね。もっと早く整理すればご苦労は幾分軽減されたのにと思うことがあります。

 

3の場合

基本的には自己破産をするべきということになるでしょう。多くは役員報酬も満足に取れていないケースです。
出口が見えない以上、経営を続けることをお勧めできません。
社長様の自己破産後の生活再建の方がより大事になります。

 

【法人自己破産相談のタイミングの問題】

法人の自己破産のご相談は、できるだけ早くされた方がいいです。

法人の自己破産では様々な準備をしなければなりません。弁護士に相談をしながら段取りを組んで準備を進めてください。

弁護士関与の下で、できるだけ混乱を生じさせないように、かつ後の自己破産手続で問題になる点が発生しないようにしたいところです。

 

通常は、事業廃止と同時に弁護士か債権者等へ受任通知を出します。

 

そのため、事業廃止のタイミングを検討しないといけません。タイミングを考えるにあたっては、

①資金繰り状況(自己破産の費用を支弁できるタイミングがベストです)

②従業員の状況(解雇予告をしてあるいは解雇予告手当を用意して解雇をすることになります)

③資産処分の状況(費用面で資産を処分して自己破産費用を支弁する場合など資産整理を先行する場合もあります)

などを考えるでしょうか。

 

タイミングが決まれば、事業廃止日をターゲットにして会社の整理について段取りを汲みます。

従業員解雇の段取り、賃借物件の明渡し等の段取り、売掛金の振込先口座の変更などの売掛金回収の段取り、取り立てに対する対応の段取り、売掛金リスト、買掛金リストの作成の段取り、資産保全の段取り、現金化すべき資産の売却の段取り、自己破産申立てに必要な書類等の保全の段取り、等々のさまざまな段取りを組まなければいけません。

 

個人保証をしている代表者の自己破産の段取りも組まないといけませんね。

 

勿論、急に事業廃止をしないといけないケースもあります。その場合には事業廃止後に段取りするしかありません。事業廃止のタイミングで受任通知を出すと、取引先からたくさんのお電話をいただきます。それの対応も弁護士の仕事になります。

 

【法人破産の費用捻出の問題】

法人の自己破産の費用捻出も気になるところです。

 

法人の自己破産において裁判所に納める予納金は100万円が原則です(場合によっては減額してもらえます、裁判所と交渉することになります)。

それに加えて、ケースバイケースの金額になりますが、実費と弁護士費用が必要ですね。できれば200万円は資金の準備がほしいところです。

 

通常はそれらを用意できるタイミングで事業廃止をします。

勿論、今後の売掛金の回収も見込むとそれらの費消が捻出できるタイミングでも事業廃止することはあります。
受任通知後に売掛金回収を図るということですね。

現金化できる資産がある場合には、それらを現金化して費用を捻出するということもやります。
勿論、弁護士の関与のもとに処分行為をすることが大事です。弁護士の関与のない処分行為は破産手続で問題視される可能性が高くなります。

 

なお、代表者さんが個人保証をすることがほとんどですので、同時に代表者さんの自己破産も必要となるケースがほとんどです。
代表者さんの自己破産も管財事件になりますので、予納金が必要になります。

弁護士費用は弁護士との契約次第で法人のみ費用をもらうということができるのですが、裁判所に納める個人の破産予納金は法人のお金から出すわけにはいきません。
20~30万円程度必要と思います。

仮に用意できない場合には、捻出方法を弁護士と一緒に考えます(法人である程度お金を詰むことができるケースでは、裁判所と交渉して個人の予納金をできるだけ小さくしてもらうよう働きかけます)。

 

【相談、依頼する弁護士の問題】

法人の自己破産は、様々なことを検討準備しないといけない故に、弁護士の力量が破産手続進行のスムーズさ等に反映されてしまいます。

 

早めにご相談されることは勿論、どうせなら、きちんと疑問点を解消してくれ、段取りを明確に示してくれる弁護士に依頼されるべきでしょう。

できれば、法人破産の破産管財人経験が豊富な弁護士の方がいいです。
法人破産を破産管財人の目から見たことがないと法人破産の本当の理解は困難ですから。

 

債務整理(任意整理、民事再生、自己破産等)のサポートはなかた法律事務所にご用命を。

 

広島の弁護士 仲田 誠一

なかた法律事務所

広島市中区上八丁堀5-27-602

https://www.nakata-law.com/

 

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