広島県広島市の弁護士仲田誠一です。
今回の相続問題コラムは、相続人がわからない場合はどうしたらいいのかのお話です。
相続人がわからないと言っても、いろいろなケースがあります。
勿論、相続人が誰かはすぐわかるケースがほとんどです。
しかし、稀に、戸籍を取ってみたら前婚時のお子さんがいたというような話も聞きます。
どうせ銀行等の相続手続において被相続人の出生から亡くなるまでの戸籍を用意しないといけません。
早めにとって一応の確認をする方がいいでしょう。
数次相続(父、母など相続が続いておりまとめて相続手続が必要な場合。亡くなった順番により相続人が変わり得ます)
代襲相続(推定相続人が被相続人よりも先に亡くなっている場合)
養子縁組
相続放棄
などにより法律上誰を相続人として扱っていいかわかりにくい場合も、資料さえ揃えることができれば整理はできます。
複雑な場合には戸籍を持って(できれば簡単でも相続関係図をお持ちいただいた方がいいですが)、弁護士に相談された方がいいでしょう。
ただ、戸籍を取ること自体が面倒なので、相続人調査から弁護士に依頼してもいいかもしれません。
戸籍上相続人の存在が確認できたとしても、まったく交流のない人で連絡先もわからない、あるいは行方不明で生死もわからないというケースがあります。
遺産分割協議は相続人全員の同意がなければ成立しません。
遺産分割調停、審判においても相続人全員が当事者になることが必要です。
交流もなく連絡先もわからないというケースでは、戸籍の附票を調べて住所を確認し、お手紙を出して交渉を始めます。
戸籍を調べてみると、相続人になるはずであった人が既に亡くなっているケースもあります。
被相続人より先に亡くなっていた場合には、上述の代襲相続です。
被相続人の後に亡くなっていた場合は、上述の数次相続ですね。
戸籍により推定相続人を調べて連絡をさせてもらいます。
稀に、皆さんが相続放棄をして誰も相続人がいないということもあります。
そうであれば、理屈上、家庭裁判所に相続財産管理人の選任を申し立てて、相続財産管理人を相手に交渉、調停等をするしかありません。
その場合、基本的には法定相続分に応じたあるいは準じた解決しかできないでしょう。融通は利きません。
ところで、皆が皆住民登録をきちんとしているわけではありません。
調べた住所にお手紙が届かない場合もあります。
その場合には、行方不明として扱うほかないですね(勿論、住所にお手紙が届かないというだけではなく現地調査等によりそこに住んでいないという疎明も必要になるケースが多いです)。
家庭裁判所に不在者財産管理人選任の申立てをして、不在者財産管理人を相手に交渉、調停等をするしかありません。
この場合も、基本的には法定相続分に応じたあるいは準じた解決しかできないでしょう。融通は利きません。
生死不明の場合もあります。
前婚のお子様が住民登録をかなり前から更新していない、ご家族に確認しても行方不明と言われた事例を実際に経験したことがあります。
その場合には、失踪宣告の話になります。
家庭裁判所から失踪宣告を取得し(ご家族のご了解を得た上で事実上当方により手続をするほかありません)、ご家族を代襲相続人として遺産分割協議、調停等を進めることになります。
失踪宣告は、通常使う普通失踪の場合は、7年間不在者の生死が明らかではないときに認められます。
失踪宣告により、失踪期間7年間)の満了時に死亡されたものとみなされます。
ただ、後に、失踪者が生存すること、または死亡とみなされた時期と異なった時に死亡したことが証明された場合には、失踪宣告が取り消されます。
そういうことがないと見込まれるケースでの利用になるでしょう。
遺言、相続、遺留分減殺、相続放棄等、相続問題のご相談はなかた法律事務所へ。
広島の弁護士 仲田 誠一
なかた法律事務所
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