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破産、個人再生の家計収支表の作り方など [借金問題]

広島県広島市の弁護士仲田誠一です。

 

今回の借金問題コラムは、債務整理のうち、自己破産、個人再生で必要な家計収支表の作り方などのお話です。

家計収支表は、家計簿を月単位でまとめたものです。
各裁判所で書式が用意されています。

広島本庁では、自己破産では申立て直近2か月分、個人再生では直近3カ月分の家計収支表の提出が必要です。
個人再生の場合には多くは申立後も再生計画提出まで作成して提出しますし、破産でも管財事件の場合には破産管財人から継続的な作成・提出を求められることがあります。

 

家計収支表はなんのために提出するのか?
 

自己破産、個人再生の目的は、経済的更生です。経済的に立ち直るための制度です。そのために債権者の財産権を奪う制度が正当化されるのです。
そのため、家計収支表を経済的更生が図られるのかという観点で見られます。
単月収支が赤字の場合には、自己破産、免責決定によって本当に経済的更生が図られるのかが吟味されます。


また、免責不許可事由(浪費等)のチェックにも利用されます。
支出金額が大きい項目については内訳等を聞かれることがあります。

個人再生の場合は弁済計画の履行可能性を見られることになります。

さらに、財産に報告漏れがないか、債務の計上漏れがないかのチェックにも利用されます。
破産の要件である支払不能状態、個人再生の要件の支払不能状態への危険の確認にも使われます。
 

なお、家計収支表は、家計を見つめなおしていただくツールとしての機能もあるでしょう。
自己破産や個人再生に至る方の中には、家計管理が杜撰であった点が否めない方もいらっしゃいます。
家計収支表を作成すると、自分が何にいくら使っており、毎月これだけの支出があるということに気付きます(依頼者の方にも毎月こんなにお金がかかっているんだと反省される方が多いです)。家計収支表を見ながら、さらに、この点は使い過ぎだ、ここを改善しようと考えることができますね。

このように、自己破産、免責決定後あるいは個人再生計画認可後の経済的更生のために家計管理を見つめなおしていただく意味も大きいです。
免責あるいは個人再生計画認可を得られたら5年あるいは10年金融機関の審査が通りません。収入の範囲内で堅実に生活していただかなければなりません。

 

家計収支表には家族の誰まで入れるのか?
 

同居の親族の収入と支出をどこまで入れるかの問題です。同居の親族の収入証明資料は必要書類に入っていますが、支出を把握することが難しい場合もありますね。

同居の親族分の収支は、基本的に記載することになります。同居をしていたら通常は家計が一緒ですからね。家計が一緒とは財布が一緒といってもいいです。


ただ、いざ作成しようと思うと悩みます。

ケースバイケースの判断になるのですが、説明ができるように記載するということになります。説明がきちんとつけばどのように記載しても書き直せとは言われません。

財布が完全に別の場合には、単独の家計収支表を作成することもあります。


家計は別であるが、お金の授受(家賃代わりの〇万円など、援助など)がある場合には、それだけ家計収支表に組み入れて作成するということもあります。


どういう風に作成するのかは、自己破産申立て準備の前に弁護士と相談しておいた方がいいですね。

 

金額をどこまで正確に書くのか?


食費などいちいち記録することが難しいものは60,000円等丸まった数字(ラウンドナンバー)で記載しても問題ありません。


これに対し、公共料金など通帳あるいは領収書を保管していれば正確な金額が記入できるものは正確に記入してもらいます。通帳や公共料金の領収書は提出書類にもなります。


なお、あくまでもお金(通帳も含めて)の動きの報告です。水道料金、年金、児童手当など〇カ月に1回支出あるいは収入があるものは、該当月に支出額あるいは収入額(入金額)をそのまま書きます。月平均で書くわけではありません。給料は手取り額(入金額)を記載します。
 

後からまとめて作成するのは面倒くさいですので、少なくとも準備期間中は家計簿を作成することをお勧めしております。

 

その他注意点は?
 

電話代は抑えるようにお願いしております。金額が高いと、利用明細などの提出を要求され支払の内訳を確認される可能性があります。
1台当たり1万円をちょっと出るくらいなら何も言われませんが、例えば3万円とかであると裁判所から補正連絡が来ます。
その際に端末料金の割賦払いが入っていると、それは債務なのではないのかと突っ込まれ、破産債権者として扱えと言われたら困ります。

 

保険料は契約者名義を記載することになっております。
同居の親族契約の保険料が載っていると(あれば載せないといけないのですが)、保険証券を確認したいから提出しろと言われることがあります。
ガソリン代も同様ですね。車両名義を記載することになっております。
こちらは親族所有車両かどうか確認するために、ほぼ確実に車検証の提出を求められるので、最初から出すようにしています。

 

駐車場代を記載する場合、駐車場を借りているのであれば、賃貸借契約書が提出書類になります。お気を付けください。

 

交際費、娯楽費については、その内容を弁護士に説明できるようにしておいてください。内容の記載あるいは説明が求められます。

 

返済欄については、受任通知後にご自身の債務の返済があったらおかしいことになります。
免責不許可事由あるいは否認対象の偏頗弁済として必ず突っ込まれると思ってください。
同居人の返済の記載がある場合も、同居人の債務額を聞かれることが多いです。

 

なお、家計収支表の各項目の名称は変えてもかまいません。きちんと説明ができればいいわけですから。

今回は、自己破産、個人再生で提出しなければならない家計収支表のことについてお話ししました。

 

債務整理(任意整理、民事再生、自己破産等)のサポートはなかた法律事務所にご用命を。

 

広島の弁護士 仲田 誠一

なかた法律事務所

広島市中区上八丁堀5-27-602

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