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紛争解決に正解なし [閑話休題]

広島市の弁護士仲田誠一です。

 

紛争解決に正解はありません。
というと投げやりな感じがします。
しかし、真面目なお話です。

 
訴訟での解決が正解なのでしょうか。


勿論、訴訟を経由して判決が出て確定した場合は、その結果を受け入れるしかありません。

ただ、それが本当にベストな解決策であったかはわかりません。

 

判決では100:0の結果とならざるを得ない場合も、実際には双方に落ち度があることは珍しくありません。
理屈上どちらかを勝たせないといけないので、原告の請求が立証され裁判官が確信に至ったかどうかで勝訴・敗訴の結論は出ます。
基本的には〇か×かの二者択一です。

 

不法行為が典型的である過失相殺が適用される場面であれば、過失割合によって双方の利益の調整ができます。しかし、そうでない場合には基本的には100:0の判決なのですね。
勿論、項目によって請求が分けられる訴訟であれば、その項目ごとに基本的に100:0で判断され、全体としては中間的な解決になることはありますが。

 

6:4で原告が有利でも立証が足りないとして原告が負けてしまいますし、8:2で被告の言い分も理解できても被告が全負けをするということが起こりえます。
勿論、6:4とか8:2と言っても、裁判官の心証の問題なので、外からは見えませんが。

 

そのため、訴訟でも、具体的な妥当性を求めて裁判官から和解勧奨等がなされ、その結果、和解で解決する事案が多いです。

なお、和解勧奨があった場合には、その内容により裁判官の心証がある程度わかります。
有利な内容の場合には、勝訴の可能性が高いですが、控訴された場合のコスト及び判断が変わるリスクを考えます。
不利な場合には、敗訴の可能性が高いのですが、控訴のコスト及び判断が変わる見込みを考慮して和解に応じるかどうかを決断することになります。

 

なお、訴訟に真相究明あるいは正義の実現を求める方もいらっしゃいます。

そのような理由での訴訟提起はお薦めしておりませんし、そのようなご依頼は基本的にお断りしています。

勿論弁護士である以上、社会的正義の実現を目指す心構えはあります。
しかし、残念ながら、訴訟は、法的な権利があるという主張が立証できるかどうかだけを判断する場で、大岡裁判のように真相究明が図られる場ではないです。
また、権利の有無を確定する手続きであり、正邪を判断する場でもなりません。
あくまでも法的解決を図るための訴訟です。
訴訟は、真実ではなく証拠等に基づいて認定できる法的な事実を基に、正義ではなく法令に基づいて、正邪ではなく法的な権利の有無を判断する手続と考えてください。

 

一方、訴訟に至らない解決の場合、権限をもって判断してくれる人はいません。


そのため、法的な判断は基礎としながら、最終的には折り合いが付くかどうかという判断をしないといけません。
協議が進んでいった場合に、最終的には和解をするのか、訴訟提起等法的手続による解決を望むかの選択をすることになります。正解があるわけではなりません。


最終的に法的手続による解決を望まれるのかそうではないのかによって、交渉の進め方も変わります。

また、訴訟等での解決に馴染まない事案もあるのも確かです。


交渉案件は、主張・立証を重ねればいい訴訟とは異なって、様々な考慮しながら進めることなので、弁護士にとってはかえって難しいこともあります。

 

紛争解決のご相談を受けた際には、まずはどういう解決を望まれているかをお聞きします。
その目的を達成しうる法的構成、主張、現時点でわかる見込み、交渉⇒訴訟等の法的手続に至った場合の想定できるコスト・リスクなどを説明させていただいた上で、どこにも正解はないという前提で方針を選択・決断をしていただくことにしています。

 

残念ながら思いどおりの結果になる訴訟は多くはありません。
法律の縛りがありますし、相手の言い分もあります。誰が見ても絶対勝てる裁判ばかりであれば、そもそも多くは裁判にならずに相手が諦めるだろうと思います。
依頼者様が絶対に勝てるはずだと考えていらっしゃっても、実際に訴訟をしてみると被告からある程度合理性のある反論が出てくることも珍しくはありません。
依頼時に正確な見込みを立てるのは難しいところです。

 

ご相談を受けた弁護士の役割としては、できるだけ多くの情報を相談者の方に提供して考えていただくことなのだろうと思っています。
弁護士が結論に飛びつくのは望ましくないと考えております。

 

なお、債務整理のご相談も正解はありません。
相談者の方の生活状況や取り巻く環境に応じて任意整理、民事再生、自己破産のどれを選択するべきか異なります。
債務整理をしないという結論もあり得ます。
また、手続を選択したとして、どうしても残るリスクがある場合もあります。こちらも、よくお話を聞き、選択肢やリスクを説明した上で、ご決断をしていただくことにしています。

 

お悩み事がございましたらなかた法律事務所にご相談を。

 

広島の弁護士 仲田 誠一

なかた法律事務所

広島市中区上八丁堀5-27-602

https://www.nakata-law.com/

 

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