広島市の弁護士仲田誠一です。
以前に、再転相続のお話をしました。
相続放棄のお話ですね。
再転相続は、被相続人がまず亡くなり、その相続人が熟慮期間中に相続放棄、限定承認、単純承認の選択をしないまま次に亡くなって相続が発生した場合のことでした。
めったにないのかもしれませんが、最近そのような案件を扱いました。
被相続人がなくなり、第1順位の相続人である子が相続放棄しました。
次に、第2順位の直系尊属であるお父様お母様が相続放棄をしました。
被相続人が亡くなってから、お父様の相続放棄をする間に、直系尊属の中でお父様よりも後順位となる父方の祖母さんが亡くなったのですね。
第2順位のお父様お母様の相続放棄が終わり、第三順位の兄弟姉妹が相続放棄をする段階で当職が相談を受けて受任をしたところ、上のような事情がわかったということです。
まず、上のケースが再転相続なのかという問題が生じます。
祖母は、被相続人が亡くなった際にはご存命でしたが、実際に相続人となった時点はお父様の相続放棄の時点であり、既に亡くなっています。
先順位の相続人が相続放棄する前に亡くなっているのです。
このような場合でも再転相続となるのでしょうか。
祖母が亡くなった時点で被相続人の相続人ではなかったのですから、再転相続ではない、祖母(の相続人)は相続人放棄する必要はないとも言えそうです。
一方、相続放棄をした相続人は、法律上、相続のはじめから相続人ではなかったことになります。そうすれば、理屈上は、被相続人の相続時点で祖母は相続人であったとみることになります。相続放棄が必要ですね。
さすがに書籍類には明確に記載がないため、家庭裁判所と相談しました。
その結果、後者の考え方に沿って再転相続と扱うことになりました。
相続人が被相続人の相続の発生を知らなかったときでも再転相続になるという考え方もあるためのようです。
そうなれば、第3順位の兄弟姉妹が相続放棄するには、祖母の相続人に相続放棄をしてもらわないといけませんね。第2順位の相続放棄が終わらないと相続放棄ができません。
次に、再転相続だとして何をするかです。
お父様は祖母について祖母の相続人として相続放棄をしてもいいということになります。そうすれば結局債務は引き継ぎません。
ただし、祖母の相続人が兄弟姉妹(代襲相続は1回のみなので甥姪まで)まで放棄して他に相続人がいないというところまで手続をしないといけません。
祖母の第3順位の相続人まで拡がると、会ったこともない方あるいは連絡が取れない方が増えてくるかもしれません(弁護士が連絡を取って協力を仰ぐことをよくします)。
なお、この場合、理屈上、被相続人の第3順位の相続人は登場しないのだろうと思います。祖母が被相続人の相続について相続放棄するわけではないですからね。
一方で、再転相続人として祖母の被相続人についての相続放棄選択権を行使して相続放棄をすることもできます。
勿論、祖母の相続放棄ができない事情があるケースではこの方法しかありませんね。
また、この場合には、祖母の相続人が全員相続放棄をすればいいのでしょう。
祖母の相続を相続人が承認して、選択権を行使することになります。
相続人がいなくいなるまで相続放棄をすることは必要ありません。
各再転相続人の熟慮期間の起算点の問題もありますね。
ケースバイケースで、各再転相続人が再転相続を知った時あるいは再転相続となる原因となった先順位相続人が相続放棄をしたことを知った時から起算されるのではないかと思います。
相続放棄の中でもややこしいお話である再転相続の細かい話をしてみました。
ややこしい話なので難しい点はご容赦ください。
相続放棄も簡単なようでいろいろな問題が生じます。少なくとも弁護士に相談をされてから進めてくださいね。
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