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個人再生における住宅資金特別条項 [借金問題]

広島市の弁護士仲田誠一です。
 
債務整理のうち法的整理をしないといけない、しかし住宅ローンは支払い続けて自宅を維持したいという方は、基本的に個人再生を選択して住宅資金特別条項(住宅ローン特則)を利用することになります。
 
住宅ローンを支払いながら他の債務を圧縮して原則3年、最長5年間で弁済していくものです。
個人再生手続自体は、小規模個人再生でも給与所得者等再生でもかまいません。
 
住宅資金特別条項は使える要件等いろいろややこしい話があります。
そこで、今回は、住宅資金特別条項についてお話いたします。
 
【相談時】
住宅資金特別条項の利用には要件があります。
ご相談される際には、不動産登記簿謄本と金銭消費貸借契約証書等借入時書類をお持ちください。借入形態と担保の状況を確認しないといけないからです。
金銭消費貸借契約証書は提出書類にもなっています。なくされた場合には、申立て前に債権者に写しの送付をお願いしています。
 
【住宅であること】
担保がついているのが「住宅」でなければなりません。
「住宅」と認められるには、再生債務者が所有し、自己の居住の用に供する建物であって、建物の床面積の2分の1以上に相当する部分が、専ら居住用に供されていることが必要です。
 
「所有」していればいいので、共有物件でもかまいません。
ただし、共有物件の場合、例えば夫婦のペアローンである場合、夫婦双方が連帯債務者の場合、夫婦の一方が連帯保証人の場合、ケースバイケースに要件に該当するか吟味しないといけません。夫婦の同時申立てが必要となる場合も多いです。
なお、共有ではないが夫婦の一方が連帯保証人あるいは連帯債務者のケースもありますね。
ここら辺の問題自体が非常にややこしいので立ち入りませんが、過去のコラムで説明をさせていただいておりますのでご参照ください。
 
単身赴任中など現在居住の用に供していない場合でも、一時的であり将来的に居住の用に供する場合は、「住宅」と認めてくれます。
客観的に説明をしなければなりません。
 
二世帯住宅の場合は、再生債務者の居住部分が床面積の2分の1以上でなければなりません。
 
【住宅資金貸付債権であること】
担保が付いている債権が、住宅資金貸付債権でなければなりません。
住宅資金貸付債権とは、住宅の建設もしくは購入に必要な資金、住宅の改良に必要な資金で分割払いの定めのある債権を意味します。
 
リフォームローンも含まれるのですね。
借り換えローンでもかまいません。
 
諸費用ローンの担保が付いている場合には原則住宅資金特別条項が利用できません。
しかし、その使途が住宅の建設もしくは購入に密接に関わるものである、かつ総額が住宅資金貸付に比して僅少であるという場合には、運用上利用が認められています。
通常諸費用ローンは当てはまりますね。使途などを契約書類や領収書等で説明することになります。また、通常諸費用ローンは住宅ローンの1割程度ですからね。
 
借入が住宅資金貸付債権だけの場合でも利用が可能です。
夫婦が同時申立てしないといけないときなどに必要になるケースがあります。
 
住宅資金貸付債権(住宅ローン)の残債務が物件の価値を上回っていること(いわゆるオーバーローンの状態であること)は要件ではありません。
ただし、物件の価値に余剰がある場合には、清算価値に計上されて、最低弁済額を画することになります。
余剰価値が大きい場合には事実上弁済可能な再生計画案が作成できません。
それとの関係で、通常(固定資産評価額から明らかにオーバーローンと認められる場合のほかは)、査定書の提出を求められます。
 
【他の担保が付いていないこと】
住宅資金貸付債権を担保する抵当権以外に担保権が設定されている場合には原則として住宅資金特別条項が利用できません。
その担保権が実行されると意味がなくなるからです。
一部例外を認める余地もあるのですが。
 
同じ理由で、滞納処分による差押えがされている場合も原則利用できません。
完済する、課税庁と協議が成立している場合には例外が認められ得ます。
 
さらに、マンションの管理費、修繕積立金の滞納のある場合も同じです。
滞納を解消しておく必要があります。
 
【類型】
① 期限の利益回復型・正常返済型
② リスケジュール型
③ 元本猶予期間併用型
④ 合意型
の4類型があります。
圧倒的に正常返済型が多いですね。住宅を維持しようとする方なので、弁済に遅れがないことが通常です。
その他にもいろいろなケースで利用できる可能性があるということです。弁護士とよくご相談ください。
 
代位弁済がなされた後でも理屈上利用できます(「巻戻し」)。
ただし、競売されている場合には競落前でなければなりません。
 
勿論、債権者との事前協議はかかせません。
 
【個人再生委員】
住宅資金特別条項を利用するケースでは広島でも個人再生委員が選任される可能性が相対的に大きいでしょうか。
要件該当性を吟味しないといけないですからね。
特に、例外的な扱いをする場合や物件の価値の評価額が問題となる場合は、個人再生委員が選任されているでしょうか。
個人再生委員が選任された場合には、予納金(20万円程度から)を追加する必要があります。
 
債務整理(任意整理、個人再生、自己破産等)のサポートはなかた法律事務所にご用命を。
 
広島の弁護士 仲田 誠一
なかた法律事務所
広島市中区上八丁堀5-27-602
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