広島県広島市の弁護士仲田誠一です。
今回の借金問題コラムでは、生活保護返還債務と破産の関係のお話です。
破産をお手伝いするときに、生活保護費の返還を求められている、あるいは返還請求された金額を少しずつ返還されているという方がいらっしゃいます。
働きながら保護費を受給していた方、各種年金・手当を受給しながら保護費を受給していた方に多いでしょうか。
収入認定との兼ね合いで調整が必要なケースですね。
生活保護を脱した方、現在も受給中の方、双方ともあり得ます。
先日申立てた自己破産案件も保護費の返還債務を負っているケースでした。
以前は、返還債務を破産債権に計上しておけば、事足りました。
生活保護費の返還請求権も、一般的な金融機関からの借り入れと同様、一般債権の扱いでしたので、破産免責の対象となり、免責決定を受ければ支払い義務を免れることができていたのです。
しかし、法律の改正があったのですね。
生活保護法63条に基づく返還請求権が、平成30年10月1日施行の改正生活保護法により、国税徴収法の例により徴収することができる債権、すなわち破産法上の財団債権、非免責債権になりました。
国税徴収法の例により徴収できるということは、税金と同じ扱いです。
改正の際には各弁護士会も反対意見を出していたような気がします。
破産をしても税金と同じ優先される債権になり、免責を得ても支払義務から免れられない債権になったのですね。
非免責債権ですので、管財事件で財団債権として破産管財人が支払ってくれるケースを除いて(財産がある程度あるケースに限ります)、役所と相談して支払い方法を協議しなければいけません。
なお、個人再生事件では、役所との協議結果を裁判所に報告しなければいけません。
生活保護法63条に基づく保護費の返還請求のことをお話しました。
これに対し、不正が悪質な場合の78条の徴収金は、先立つ平成26年に既に財団債権化、非免責債権化が行われています。
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広島の弁護士 仲田 誠一
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