広島市の弁護士仲田誠一です。
前回子の面接交渉、面会交流についてお話しました。
今回は補足です。
面接交渉、面会交流に対する裁判所の態度が厳しいというお話をしましたが、具体的には別居中あるいは離婚した相手方から子の面会交渉、面会交流に関する調停を申し立てられて争われます。
こちらが家を離れている場合にはこちらが申し立てることになります。そこで、裁判所は早期の面会交流をかなり強く促してくるのです。
裁判所が厳しいと言っても、こちらがなかなか応じられないという態度を示し説明を尽くすと、家裁調査官の調査や試験的面接を入れてくれるという配慮は見せてくれます。
ただ、調査の結果や試験的面接でよっぽど会わせるのが子の福祉に適合しないと判断されない限りは、継続的な面会交流を離婚が成立する前でも要求され、促されます。
話し合いが成立せずに調停が成立しなければ審判という手続に移行し、裁判所が面会交流の有無及びその方法を定めることになります。
審判になるとある程度面会が認められるということを念頭に置く必要があるでしょう。
そのことを念頭に、柔軟な調停解決の方向で進めることも多いです。
審判と異なり、調停ではきめ細やかな取り決めも可能ですから。
ところで、面会交流が調停、審判で定められて実行されなかった場合はどうなるのでしょうか。
離婚できたからもう会わせなくてもいいやと相手が腹をくくった場合です。
子は物ではありません。財産給付を求める権利と違って、子を差し押さえたり、強制執行で持って来たりはできないのはおわかりでしょう。
これも近時、統一的に裁判所が運用を始めたようなのですが、間接強制が認められるようになったようです(そこまでする事例には幸いに出会ったことはないですが)。
間接強制とは、子に会わせろ、会わせなければ1月当たり○万円を支払え、という形で間接的に(財産的、心理的に)強制する方法です。
相手が払わなかったらどうするのか?金銭請求は強制執行できますが、執行できる対象物がなければ・・・・です。
では会わせて貰えない親はこれと引きかえに養育費の支払いを拒否することができるのか。
事実上はバーターで争う道を選択してもよいのでしょうが(その選択を進める場合もあります)、法的には難しいでしょう。
養育費は子の権利だからです。
離婚にまつわる問題は、理論割り切れる事柄ばかりではなく、なかなか難しいです。
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なかた法律事務所
弁護士 仲田 誠一
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