広島県広島市の弁護士仲田誠一です。
前回に引き続き、債務整理、すなわち自己破産、個人再生、任意整理に絡む自宅をどうするかという問題です。
【住宅ローンの他には多額の借金がない、かつ売却金で住宅ローンを完済することができる場合】
任意売却するのであればOKですね。
ただ、そのような状況で自宅不動産を売却しないといけない状況になることは稀です。
むしろ、住宅ローンのリスケジュール(条件変更)を行って、その間に他の債務を整理(任意整理)することを選択する方が多いのでしょう。
そうすれば自宅の維持は可能ですね。
【売却金で住宅ローンを完済できず残債が残る場合】
簡単に売却してはいけません。
残債の返済計画が立つかどうかを検討するのが先です。
残債を債権者との合意で無理なく返済できるのであれば任意売却でもいいでしょう。
ただし、賃貸物件に転居する場合の家賃を考慮に入れなければなりません。
残債がかなり残るということであれば、家賃プラス残債の返済に耐えることができるのかという問題になります。
自己破産も検討する必要がありますので、残債が残る場合には安易な任意売却は慎むべきです。
また、破産手続では妥当な取引だったか等を検証されます(それ自体で管財事件にされる可能性もあります)ので、弁護士に相談してからの方がいいですね。
【他の借金も整理する必要がある場合】
住宅ローン以外の借金も相当額ある場合には、自宅の任意売却だけで解決ができるわけではありません。
売却金をローン返済に充ててもかなりの余剰が出て他の借金も返済できるのであれば別ですが、そのような例は稀でしょう。
他の借金を整理して生活再建を図るためには、他の借金も含めて任意整理、個人再生、自己破産を選択するべきです。
法的手続をとる可能性があるのであれば、任意売却は弁護士に相談してからにすることをお勧めします。
残る借金を任意整理(元金を数年で分割する交渉を行います)で返済できるのであれば、任意売却と任意整理のセットでよろしいでしょう。
ただ、無理な計画を立てて途中で返済に行き詰ると無駄になってしまいます。
個人再生、自己破産も検討しなければなりません。
まずは、個人再生を選択して住宅を維持できるか検討することになります。
一定の継続収入があり、残る借金を全部返済することはできないが、住宅ローンのほかに月々ある程度なら返済することができる、というのであれば、住宅資金特別条項(住宅ローン特則)を利用した個人再生の選択を検討します。
具体的には、住宅ローンを返済しつつ、他の借金の一定額を、一定期間(原則3年から最長5年間)で分割返済ができるか、検討します。
一定額というのは、小規模個人再生では、他の債務の5分の1(債務総額によって基準は異なりますが多くは5分の1のケースです)、清算財産額(財産の額だと思ってください)、100万円の一番大きい額です。
給与所得者等再生では、可処分所得の2年分という基準も加わります。
上述の他の借金の一定額を返済できる計画が立つのであれば、住宅資金特別条項付の個人再生手続を選択し、自宅不動産は維持しながら他の借金の一定額を返済します。
自宅を維持しながら他の債務の元金をカットして整理ができるのです。
ただし、借入の方法あるいは自宅に付いている担保の関係で、住宅資金特別条項を使えない場合もあります。
住宅ローンがある方はまずこの途を選択できるのか、弁護士に相談したらよろしいかと思います。
相談時には登記簿謄本、住宅ローン契約書をお持ちいただいた方がいいです。
最後に、住宅ローンを支払いながら他の借金の一部でも返済できる見込みがない場合、自己破産を選択することになります。
もちろん、無駄に任意売却をせずに自己破産の選択でしょう。
自己破産が必要であるが、住宅を維持したいというケースもあります。
基本的に難しいのですが、当職の経験では、息子さんあるいは親族が抵当権者が納得する適正価格で不動産を購入する方法で自宅を維持したことはあります。
そのような際には、弁護士が関与した方がいいでしょう。破産手続できちんと説明できるように段取ります。
なお、債務整理の手続選択は、他の事情も考慮して決めないといけないことは勿論です。
早めに弁護士に相談して、どうすればあなたの生活が再建できるのか一緒に考えてもらいましょう。
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