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会社運営と定款自治3 [企業法務]

広島市の弁護士仲田誠一です。

前々回、前回に引き続き会社運営と定款自治の話です。
今回は、定款自治の話です。


定款自治(定款により会社の仕組み、ルールを柔軟に決められること)が拡充された今日、戦略に基づく機関設計、自己責任への対応が必要だとお話しました。
定款とは、会社の基本ルールを定めたもので、会社の憲法とも言われます。

設立時にはひな型を使って定款を作り、その後も見直しをしていないという会社は多いと思います。

定款には、
①絶対的記載事項(記載しないといけないもの)、
②相対的記載事項(記載をすれば法的効果を与えてくれるもの)、
③任意的記載事項(それ以外)あります。

①は絶対に定めないといけないものです。
戦略的活用というのは主に②及び③の話です。

②は、先にお話した機関設計はもちろん、株主総会の手続要件、役員任期、取締役会の決議要件等です。
手続はできるだけ簡素化しておきましょう。
株主総会の定足数もリスクが生じない程度に下げておいた方が楽です。
発行株式の半分が遺産共有になってしまい、かつ揉めていたため、株主総会の定足数が法定原則の議決権の過半数株主の出席では株主総会も開けなかったという例もあります。
役員任期は何も考えずに10年に延長すると痛い目に遭うことがあります。
解任時の損害賠償請求権に関わります。離婚や仲たがい等、10年も今の関係を維持できるかどうかはわかりません。リスクを負うと考えてください。
このように、会社の設計が自由になるということは、様々なリスクを考えて設計をしないといけないということになります。
 
③は経営理念、株主間契約的な定め等です。
経営方針を定めることは重要です。定款をもっと活用するべきだと思います。


なお、定款変更には、特別決議(議決権過半数出席+その3分の2賛成)が必要です。
さらに、特定の事項についてはそれ以上の決議要件が定められています(議決権株主半数以上かつその議決権の3分の2賛成、総株主の半数以上かつその議決権の4分の3賛成)。

ただ、変更の際には、「和」は乱さない形での変更が望ましいです。
中小企業の人的強みを壊さないよう、決議要件は別として、すべての株主の納得を得られるうちに変更するのがよいでしょう。
また、特に種類株式、属人株式のような劇薬は、仕組みを対立利害関係者によって逆手に取られないように留意して設計することが必要です。


いずれにしても、一度、定款を点検してみてはどうでしょうか。

次回は、種類株式、属人株式について補足します。

顧問弁護士のご用命は是非なかた法律事務所に。

広島の弁護士 仲田 誠一
広島市中区上八丁堀5-27-602
なかた法律事務所

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