広島市の弁護士仲田誠一です。
前々回、前回に引き続き会社運営と定款自治の話です。
今回は、定款自治の話です。
②は、先にお話した機関設計はもちろん、株主総会の手続要件、役員任期、取締役会の決議要件等です。
手続はできるだけ簡素化しておきましょう。
株主総会の定足数もリスクが生じない程度に下げておいた方が楽です。
発行株式の半分が遺産共有になってしまい、かつ揉めていたため、株主総会の定足数が法定原則の議決権の過半数株主の出席では株主総会も開けなかったという例もあります。
役員任期は何も考えずに10年に延長すると痛い目に遭うことがあります。
解任時の損害賠償請求権に関わります。離婚や仲たがい等、10年も今の関係を維持できるかどうかはわかりません。リスクを負うと考えてください。
このように、会社の設計が自由になるということは、様々なリスクを考えて設計をしないといけないということになります。
③は経営理念、株主間契約的な定め等です。
経営方針を定めることは重要です。定款をもっと活用するべきだと思います。
なお、定款変更には、特別決議(議決権過半数出席+その3分の2賛成)が必要です。
さらに、特定の事項についてはそれ以上の決議要件が定められています(議決権株主半数以上かつその議決権の3分の2賛成、総株主の半数以上かつその議決権の4分の3賛成)。
ただ、変更の際には、「和」は乱さない形での変更が望ましいです。
中小企業の人的強みを壊さないよう、決議要件は別として、すべての株主の納得を得られるうちに変更するのがよいでしょう。
また、特に種類株式、属人株式のような劇薬は、仕組みを対立利害関係者によって逆手に取られないように留意して設計することが必要です。
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