広島市の弁護士仲田誠一です。
債務整理の話、その中で自己破産と離婚との関係です。
自己破産申立てに伴って離婚をされるご夫婦もよくいらっしゃいます。
経済的破綻が離婚の理由になったケースですね。
ところが、自己破産申立て直前の離婚で、かつ財産分与や慰謝料の支払いを伴う場合、破産手続において問題視されます。
財産隠し、破産財団からの財産の散逸を疑われるのです。場合によっては偽造離婚も疑われます。
経済的破綻が離婚の引き金になった場合、どうしても離婚が自己破産申立て準備(受任通知による支払停止や経済的危機状態)に近接して行われますね。
タイミングが悪くても仕方がないではないか(不自然ではない)と思うのですが、破産法の理屈上は仕方がないです。
財産分与・慰謝料等の離婚時給付は、贈与等無償行為とは扱いが異なります。
贈与等無償行為は時期にも依りますが、簡単に否認されてしまいます。
否認されると、破産管財人から返還を求められます。
これに対し、財産分与は夫婦共有財産の持ち分が顕在化した結果の清算です。
また、慰謝料発生原因が存在するのであれば慰謝料支払債務も発生します。
これらは、直ちに否認されるわけではありません。
基本は、不相当な(正当な理由がない、あるいは過大な)財産分与や慰謝料が否認される(受領者が返還を求められる)と考えていいのでしょう。
もっとも、慰謝料支払債務については、相当な原因があり相当な金額であっても、元配偶者に対してだけ債務を支払ったとして、別途偏頗弁済が問題となり得ます。
ここまで言われるときついのですが。
自己破産直前の離婚は、そこら辺を調査するために管財事件になることが比較的多いかもしれません。
申立時にどれだけきちんと説明できるかにもよります。
自己破産申立の直前の離婚でも、財産分与や慰謝料支払いがなく養育費支払いのみという場合は、基本的に同時廃止で終わっています。
管財事件になると、破産管財人による調査がなされます。
別れた配偶者等に事情を聞かれることもあります。
申立代理人として、あるいは破産管財人として、離婚と自己破産の問題を数多く扱ってきましたが、必ず突っ込まれることです。
離婚の仕方、財産分与の仕方、慰謝料の支払方法によっても、説明が異なってきます。
判断も変わってきます。
後々問題にならないよう、あるいは問題になっても傷口が浅くなるように、お早めに弁護士に相談された方がいいです。
このように、離婚が絡む自己破産はかなり神経を使うことになります。
なお財産分与が管財人に否認されなくとも、財産分与の結果として共有になった不動産がある場合には、破産管財人から一緒に売却する、あるいは持分の買取り等を要求されます。
その限りで他方配偶者も自己破産手続に関わってくることにご注意を。
また、養育費は非免責債権であり通常はそのまま支払われますが、財産分与、慰謝料を分割払いにしている場合には破産債権となり免責対象となることもご留意ください。
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広島の弁護士 仲田 誠一
なかた法律事務所
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