広島市の弁護士仲田誠一です。
債務整理のうち、自己破産、個人再生における退職金の扱いをお話しします。
自己破産、個人再生において、退職金は、退職金支給が近いという例外的な場合でない限り、その支給見込み額の8分の1が財産とみなされます。
申立時現在の「自己都合」退職の場合に出る退職金「見込額」の8分の1です。
なお、既に受け取った退職金は現在の形で財産評価をされます。
退職が決まっている等の場合には、差押え禁止財産との関係で、最悪4分の1評価で抑えることもできます。
自己破産の場合には、退職金見込額によってはそれだけで管財事件になることがあります。
広島地方裁判所(本庁)の場合、財産とみなされる額(退職金は見込額の8分の1)が20万円を超えると管財事件となります。
現金化できない財産なのですが、そういう決まりなのです仕方がないですね。
例外も許容するルールにはなっていますが、なかなか認められません。
バーが低いので引っかかる方は多いです。
管財事件になると、予納金が20万円~余分にかかりますね。
一方、個人再生であれば手続はかわりません。
退職金見込額の8分の1の額を清算価値(財産評価額)に計上することになります。
清算価値は、再生計画における最低弁済額を画する一つの基準です。清算価値保障原則ですね。
他の財産が大きいなどで清算価値が100万円を超える場合には、最低弁済額が大きくなる可能性があります。
ただし、清算価値からは、自己破産における自由財産拡張対象財産を99万円まで控除することが可能です。
パート、アルバイト、契約社員あるい勤続5年未満の正社員は、そもそも退職金見込額を報告する必要はありません。
退職金はないものとして扱ってくれます。
正社員5年以上であれば、退職金がない場合にはないとわかる資料、退職金がある場合にはその見込額がわかる資料を提出する必要があります。
退職金制度がない場合には、ないことがわかる就業規則等の書類を提出します。
退職金制度があって、退職金見込額証明書の発行を会社に頼めない場合には、退職金規程、辞令等、退職金支給見込額が計算ができるような書類を出すことになります。
ケースバイケースで何を出せば説明ができるか判断します。
ポイント制を導入している会社が多く、しかも累積ポイントが分からない場合などは苦労します。
なお、退職金類似の性質であっても、従業員の方の場合の中小企業退職金共済(中退共)や事業主の方の小規模企業共済は、財産とみなされません。
それらは、法律上、差押え禁止財産であり、破産手続では自由財産になるからです。
その場合も、加入の事実、場合によっては現在の積立額を説明する資料の提出が必要です。
まだもらっていない退職金が財産として扱われて手続も変わるかもしれないということは盲点かもしれません。
よく弁護士にご相談ください。
債務整理(任意整理、個人再生、自己破産等)のサポートはなかた法律事務所にご用命を。
広島の弁護士 仲田 誠一
なかた法律事務所
広島市中区上八丁堀5-27-602