広島市の弁護士仲田誠一です。
相続問題のうち、相続放棄における法定単純承認事由(こういう行為をすると相続放棄、限定承認ができないよとの事実)のお話をします。
その中でよく相談を受けるのは、相続財産の「処分」ですので今回はその話をします。
民法921条では単純承認の効果を生じる法定単純承認行為が定められています。
相続放棄が理屈上はできなくなるのですね。
単純承認行為があると相続放棄の申述をしてもその効力が否定されます。
その中に相続財産の「処分」(1号)があります。
そこでの「処分」は、限定承認・放棄の前になされた処分のことを指すとされています。
ただし、放棄後の処分は、他の相続人等に対して損害賠償義務が発生し得ます。
もっとも、保存行為と一定の利用行為は法定単純承認事由から除外されます(1号但書)。
保存行為は、財産の保全-財産の現状を維持するのに必要な行為です。
期限の到来した債務の弁済等、財産全体からみて現状の維持と認める行為も含むとされます。
一定の利用行為とは、民法602条の期間を超えない賃貸借行為ですね。
勿論、管理行為も許されます。相続放棄者は、遺産を、新たな相続人あるいは相続財産管理人に引き渡すまで管理する義務を負います。
債権の弁済の受領についても保存行為でいいのでしょう。
相続財産の管理行為だからです。
しかし、回収金を自己の物として費消してしまえば法定単純承認事由です。
「処分」に該当するかどうかに、相続財産の経済的価値は関係あるでしょうか。
経済的に重要性を欠く(あるいは一般経済的価値のない、交換価価値を失った)物の形見分けのような処分は「処分」に該当しないとされています。
ただ、線引きが難しいので慎重に判断しなければなりません。
勿論、相続財産に一切手を触れないことが一番無難でなのは言うまでもありません。
一旦管理すると、管理責任も問われかねないですからね。
相続放棄を考えられている方は、まず専門家に相談してから物事を進めてください。
遺言、相続、遺留分等、相続問題のご相談はなかた法律事務所へ。
広島の弁護士 仲田 誠一
なかた法律事務所
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