広島県広島市の弁護士仲田誠一です。
今回の企業法務コラムは、企業のリスク管理の観点からの、従業員の債務整理のお話をします。
自己破産や個人再生を検討されている方は、会社に事情が知れたら困るという方がほとんどです。
勿論、プライベートなことなので言いたくないですよね。
今回は、会社としては従業員の自己破産や個人再生にどういう対応をとるべきなのかをお話ししたいと思います。
企業法務、リスク管理にも大事なことです。
従業員の自己破産は(個人再生も)、たとえ就業規則に解雇事由であると書いてあったとしても、解雇事由にはならないとお考えください。
従業員の自己破産と会社の業務はは基本的には関係がありませんから、従業員の自己破産、個人再生は解雇の合理的理由に該当しないのが原則です。
勿論、自己破産の場合では、警備員や保険外交員など特定の職業や資格が制限されるため(個人再生にはない)、そういった場合は解雇の理由になる可能性がないとは言えません。
ただ、配置転換等の他の処分・方策もあり得るため簡単には認めてくれないでしょう。
会社が従業員へ貸付をしている場合には、会社が損害を被ることになりますので、解雇は別としても、何等かの懲戒処分はできる可能性があります。
企業法務、リスク管理の観点からは、会社として、従業員の自己破産、個人再生には寛容に接すべきです。
むしろ、積極的にサポートをしてもいいぐらいだと考えます。
まず、仮に債権者から従業員の給与等の差押えがなされると会社としては非常に手間です。
債務整理してもらった方がコストが発生しません。
債権者からの督促電話などが会社に来るもの面倒ですね。
また、従業員が自己破産等で経済的更生を図ってもらうことにより、従業員のパフォーマンスが上がってくるでしょう。
多重債務で苦しまれている方は、疲れ切ってしまいます。
どんどん疲弊して会社も辞めてしまう人が珍しくありません。
会社としては早く債務整理をしてフル充電で頑張ってもらいたいですね。
さらに、不祥事防止などのリスク管理の観点から考えても、従業員に自己破産等で経済的に立ち直ってもらう方が得策です。
不祥事の原因は、経営者への恨み、遊興費の捻出など様々ですが、借金苦が原因ということも多いと思います。
会社へ妙な電話がかかってくるなど従業員が借金で悩んでいる兆候が見られた場合には、自己破産等の手続を薦める、あるいはサポートをするべきだと考えます。
当職の顧問先企業様からも従業員さんの債務整理を頼まれることがあります。
従業員さんから借金の整理の相談も来るような会社が望ましいかもしれませんね。
顧問弁護士、企業法務サポートのご用命は是非なかた法律事務所に。
広島の弁護士 仲田 誠一
なかた法律事務所
広島市中区上八丁堀5-27-602