広島市の弁護士仲田誠一です。
相続問題のうち、遺言と遺産分割協議との関係をお話します。
遺言がない場合には、遺産分割は、相続人全員の合意により行います。遺産分割合意ですね。
遺産分割協議がまとまらなければ、遺産分割調停・審判手続を行うことになります。
相続人の範囲や相続財産の範囲といった遺産分割の前提問題あるいは使途不明金の問題などは訴訟手続で解決しなければなりません。
一方、遺言があった場合には、遺言に基づいて相続手続、遺贈がなされます。
勿論、その有効性に疑義があれば、遺言無効確認訴訟等が提起されることになりますが、それでも手続は進んでいきます。
遺言があっても、相続人(遺贈がある場合には受遺者も)全員が違う方法で話をまとめたいと希望するケースもあります。
この場合、遺言執行者がいなければ、相続人全員(受遺者がいる場合は受遺者も)の合意により、遺言の内容と異なる遺産分割協議を有効に成立させることに問題はありません。
しかし、遺言執行者がいる場合には、簡単にはできません。公正証書遺言の場合には、遺言執行者が指定されていることが多いでしょうか。
その場合には、少なくとも、遺言執行者の同意を取り付けなければなりません。
遺言執行者がいる場合には、相続人は相続財産に対する管理処分権を喪失し、遺言執行者が管理処分権を有するからです(民法1013、1012条)。
実際に、遺言執行者が同意した上で合意が利害関係人全員でなされた相続財産の処分を有効とした裁判例もあります。
勿論、遺言執行者は、遺言と異なる相続財産の処分に同意をしたとしても必ずしもその職務に反するものではないと解釈されております。
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広島の弁護士 仲田 誠一
なかた法律事務所
広島市中区上八丁堀5-27-602