会社の破産申立てには高額の予納金(標準100万円以上)がかかりますので、会社の破産までの費用が準備できないケースがあります。また、経営破たんから時間が経っているケースでは、会社の書類や帳簿等が散逸し破産の準備ができないこともあります。
経営者個人と法人との法人格は別です。したがって、理論上、経営者個人だけの自己破産申立ては許されるはずです。ところが、会社代表者の自己破産申立てをすると、裁判所から法人の破産申立ても勧奨されることがあります。会社を放置するのは望ましくない、
破産管財人が法人も調査できるようにしたい等の理由からのようです。
会社の事業廃止が近いほど強く要請されます。一方、会社の事業廃止から5年以上経っていると、基本的に個人と法人の同時申立ては要請されません。個人の破産も
同時廃止事件での処理が可能です。
裁判所も要請する際には、予納金の減額などの融通を利かしてくれます。当職が経験した例で、「追加の予納金は要らない」、あるいは「調査・書類は不備があっても構わないから申立てだけしてくれ」、とまで言われたケースまであります。